【短編】私がユウリとマリィのお嫁にされるまで   作:ウルハーツ

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後編

 あの後は凄い大変な目に遭った。ルリナからは『今まで何処にいたのか』とか、『どうして連絡しなかったのか』とか、凄い問い詰められてありのままに答えた。色々忙しい事もあって、忘れてましたって。ソニアも一緒に呆れてたけど、仕方ないじゃん! 急に引っ越す事になって、『引っ越すね!』としか伝える暇無かったんだもん。

 

 『これからはちゃんと連絡する事』って約束をさせられた。スマホロトムを引っ越して少ししてから新しくしたから、改めてルリナとソニアの連絡先も登録。中の子(ロトム)は変わってないんだけど、登録情報とかは端末のままだったからね。あんまり使って無かったから、ロトムはちょっと拗ねてたみたい。

 

 

 それで終わり……とはいかなかったんだよね。

 

 久しぶりに再会したユウリとは、まず初めに連絡先を交換。当時、ユウリはまだスマホロトムを持って無かったから。そうして一気に連絡先が増えた訳なんだけど、凄い勢いでソニアやルリナ、そしてマリィとどんな関係なのか? って聞いて来たんだ。それもその間ずっと、私に抱き着いたまま見上げて来る様な姿勢で。可愛らしい行動の筈なのに、何故か力が強くて全然抜け出せなかった。

 

 ソニアとルリナはお友達。そう言ったら2人は私の事を『親友』って言ってくれて嬉しかった。そしてマリィは引っ越した先で出会った妹みたいな子って説明して、ユウリは私からマリィへ視線を向ける。動揺してたみたいで、固まってたマリィも何時の間にか普段通りに戻ってる。そう思ったんだけど、少し違ったみたいで。

 

「何時までお姉さんに抱きついとると?」

 

「……そっか。マリィ、私と同じなんだね」

 

「は? 何の話ばい」

 

「私達、本当に似た者同士だったんだよ」

 

 あの頃より大きくなったユウリが何かを察したみたいにマリィへ語る姿は子供とはいえない様に見えた。その後、気付いたらマリィが私の傍に近づいていて、ルリナはジムリーダーとしてユウリとマリィを見送る為にここへ来たって教えてくれる。殆ど蚊帳の外になってたけど、やっぱり一緒に居る男性2人はジムリーダーの人達みたい。

 

 また後で絶対に連絡する事って言われながら、まずはユウリとマリィのお見送りをするって事で何故か私までエンジンシティを出る事に。しかもそこで大きくなったホップとも出会っちゃって、また色々大変な事になっちゃって……ソニアに助けを求めても全然力になってくれないまま、私は2人に連れられてジムチャレンジを続ける上で次の街であるナックルシティまで連行されるみたいな形で行く事になっちゃった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マリィ、約束の相手ってお姉ちゃんだよね?」

 

「!? 何で分かるの? ……まさか、ユウリの相手って」

 

「うん。でも多分、お姉ちゃんは覚えて無いんじゃないかな。それはマリィも同じみたいだけど」

 

「……そう。お姉さんは覚えてないと。だから、わからせる必要があるけんね」

 

「言ったでしょ? 私達、本当に似た者同士なんだよ。チャンピオンを目指す理由も、お姉ちゃんとの関わり方も」

 

「……負けんとよ」

 

「私も負けない。お姉ちゃんは私が貰うから。……でも、親近感湧いちゃったなぁ」

 

「親近感? マリィ達は敵同士ばい」

 

「うん、分かってるよ。だけどね……敵の敵は味方って言うでしょ?」

 

「あのジムリーダーと、傍に居る女の人の事と?」

 

「そう。親友、だってさ。本当にそれだけだと思う?」

 

「ユウリやマリィと同じ様に、狙ってる可能性はあるばい。……なんしようつもりと?」

 

「私も殆ど同じ境遇だから、マリィの想いは凄く分かるんだ。だからさ、いっそのこと…………私達でお姉さんを囲っちゃおうよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何時までも一緒には居られない。マリィとユウリはジムチャレンジを続ける為に彼方此方の街を巡って、ソニアはフィールドワークの為に同じ様に旅を続ける。だけど私はルリナと会うつもりでソニアに着いて来ていただけで、もう1人の友人である現チャンピオンのダンデは忙しい身だろうから会えないと思っていた。

 

「ふぅ。ただいま」

 

 夜になってスパイクタウンへ帰って来た私は自分の家で短くも楽しかった街の外での出来事に浸る。ソニアもルリナも元気そうで安心出来たし、マリィも順調そう。しかも前の街で仲の良かったユウリとホップにも再会出来て、2人とも元気にジムチャレンジしてる。私にとって短くてもこの旅は実りが多いものだったと言える。

 

「ふぁ~、疲れたなぁ。ふふっ。楽しみ」

 

 ユウリにホップにマリィと、3人ともジムチャレンジに今のところ問題は無いみたいだった。当時はポケモンを持っていなかったからユウリは未知数だけど、ホップはチャンピオンの弟で才能は絶対にある。マリィもモルペコを筆頭に、ジムリーダーのお兄さんであるネズと同様『あく』タイプを扱う才能が大いにある。

 

「懐かしいなぁ。ポケモンバトルか……」

 

 ソニアとダンデが楽しそうにポケモン達を戦わせていた光景が今でも目を閉じれば瞼の裏に蘇る。私はまだサーナイトがラルトスだった頃、あの子が傷つくのを見たくなくて極力バトルは避けていた。今でもそんなにする訳じゃ無いけど、あの2人のお蔭でそれが決して悪い事じゃないんだって分かったんだ。バトルが出来るっていうのは、ポケモンとの信頼があってこそ。確かめるって意味でも、やる価値がある。

 

「もしダンデに勝てたとして、新チャンピオンか。きっと忙しくなっちゃうんだろうなぁ」

 

 ダンデは強い。でもあの子達ならそれを超えられるかもしれない。だけどマリィがもしチャンピオンになったら、きっと今までの様には過ごせない。ユウリやホップにしたって同じ。とても忙しくなるだろうし、私の事なんて忘れてしまうくらいには大変だと思う。……ダンデは私の事、覚えてるかな? 忘れてるかな。会ったら思い出してくれるかも。

 

「ふぁ~。……駄目だよね。皆、成長してるんだから」

 

 ちょっと寂しいと思ってしまっては駄目。子供の成長を喜ぶのが、大人の責務なんだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数日後。リーグセミファイナル前、控室。

 

「あの話、考えてくれた?」

 

「……正直悩んでる。でも、悪くないかもって思ってる。お姉さんは街でもそれなりに人気で、本人は全くそれに気付いてないから何時だって無防備なんだ」

 

「何となく想像出来るなぁ~。後、私が知ってる頃よりも大きかった。フワフワしてた」

 

「前に聞いた。Gだって」

 

「G!? それは大きいよね……。多分、寝起きとかあれで薄着のまま背伸びとかするんだよ?」

 

「ボタンが弾けるの、一回見た事あるばい」

 

「……」

 

「……」

 

「もし他の誰かがお姉ちゃんと結ばれたら」

 

「……駄目。絶対にくらす」

 

「耐えられないよね。だからさ、私達で、ね?」

 

「うん。でもチャンピオンは譲らんとよ」

 

「勿論。勝った方がお姉ちゃんの本夫だよ」

 

「夫? 妻じゃなか?」

 

「お姉ちゃんが夫って、違うと思わない?」

 

「そうちゃけど……まぁ、よか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ソニアに誘われて、私はシュートシティに来ていた。ユウリ、マリィ、ホップの3人は無事に全てのジムチャレンジをクリアしてセミファイナルにまで進んだって聞いた時は嬉しかった。最初にジムチャレンジが開始された時は沢山人が居たのに、最後には4人しか残ってなかったんだって。その内3人は妹や弟みたいな存在だと思うと、自分の事じゃないのに胸を張れる気分。

 

「最初はホップ君だってさ。ここまで来たって事は、かなり強くなってるんでしょ?」

 

「だろうね。でも相手も同じだから、油断は出来ないよ? ホップもそれは分かってる筈」

 

「えぇ。ダンデの弟って事で、注目も集めてるみたい」

 

 ホップの試合から会場は大盛り上がり。ここまで挫けずに8人の強者(ジムリーダー)達を倒した者達のバトルってなれば、その迫力には誰もが期待するよね。ダイマックスも出来るみたいだから、攻撃の余波には気を付けないと。

 

 試合が始まれば、そこからは会場の人達が一体となって大盛り上がり。結果的にホップは無事に勝利を収めて、その後の試合は……ユウリ対マリィ。

 

「ねぇ、ソニア。私、どっちを応援すれば良いのかな?」

 

「さぁ? 好きにしなよ。それこそ、どっちを応援したって罰は当たらないでしょ」

 

 相手の方には申し訳無いけど、ホップの時は相手を知らない事もあって彼だけを応援していた。だけど2人の場合は全然違う。嘗て妹みたいに交流のあった子か、今妹みたいに交流のある子か。どっちにも勝ってほしい。だけどバトルにおいて勝者は1人だけ。必ず何方かが敗者になってしまう。

 

 迷っていると、2人が観客達を見回して……私と目が合った様な気がした。気のせいかもしれないけど、少し驚いてるみたいに見える。届くか分からないけど小さく手を振ってみたら、2人とも振り返してくれた。という事は、本当に私に気付いてくれたのかな?

 

「そうだね。どっちも応援する。ユウリ、マリィ、どっちも頑張れー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お姉ちゃん、見に来てくれたんだ」

 

「隣の人が呼んだんでしょ」

 

「ソニアさんか。そうかもね。あはは、手を振り返してくれたら更にやる気が出て来たよ!」

 

「勘違いせんと。お姉さんはマリィに手を振り返したばい」

 

「むぅ。そんな事無いよ。……きっと、『私達』にだよ」

 

「……さっち、そうちゃん。お姉さんはそういう人やけんね」

 

「マリィも熱くなって来たみたいだね。凄い言葉に出てるよ」

 

「仕方なかと。それだけ、ばりちゃちゃくちゃらに盛り上がっとるたい!」

 

「ふぅ。それじゃあ……やろっか? どっちがチャンピオンに挑めるか、お姉ちゃんの本夫になれるか、勝負だよっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれから本当に色々な事があった。だけど結果だけいうと、現チャンピオンのダンデに勝利して新チャンピオンになったのはユウリだった。ダンデの無敗伝説を打ち破って新たなチャンピオンになったユウリはメディアでも引っ張りだこに。それぐらい凄い事なんだから、仕方ないよね。

 

 おめでとうって会って言いたいけど、予想通りチャンピオンになった彼女は大忙し。会いに行けるタイミングが全然なくて、ここ数日はテレビの画面越しにユウリの顔を見るばっかり。最初の頃と数日経ってからで、少しだけ疲れというか様子が違う様に感じたのは見間違いかな?

 

 そしてもう一つ。マリィがネズの後を継いで、スパイクタウンのジムリーダーに。引継ぎとかで大忙しなのか、こっちも最近は全然会えてない。しかも何故かこの前見掛けて声を掛けようとしたんだけど、凄い悔しそうな顔で私を無視して……ショックだった。ちょっと家に閉じ籠って寝込んじゃったくらいには。ジムチャレンジで大人になって、ジムリーダーにもなって、妹みたいだったマリィはもう居なくなっちゃったのかも。

 

「? どうしたの?」

 

『!』

 

 家でちょっと傷心しながら過ごしていた私は、突然何かに焦った様子で私の手を掴んで何処かへ行こうとするサーナイトに困惑する。まるで何かから逃げようとしてるみたいな……でも自宅で危険な事なんて何も無い筈なんだけど。

 

 

――――――ピンポーン

 

 

 お客さん? 前はマリィが遊びに来る事も多かったけど、今だとあんまり人は来ないんだよね。何かの勧誘とかだったら嫌だなぁ。でも流石に出ないと良くないよね。

 

「誰かな? って、本当にどうしたの?」

 

『!!』

 

 何故かサーナイトが出ようとする私の前に立って道を塞ぐ。本当にどうしたんだろう?

 

 

――――――ピンポーン

 

 

 またチャイムが鳴った。留守だと思うならこれで終わりになっちゃう。居留守を使うつもりは無いんだけど、サーナイトが退いてくれない。

 

 

――――――ピンポーン

 

 

 三回目? 念のためかな? 早く出ないと、

 

 

――――――ピンポーン

――――――ピンポーン

――――――ピンポーン

 

 

 ちょっと怖くなって来た。だってこんなに何度もチャイムを鳴らす人なんて、普通居ないから。サーナイトが止めてるのは、何かを感じてるからなの? この子の言う通りに、出ない方が良いのかな?

 

 

――――――お姉ちゃん

――――――お姉さん

 

――――――私だよ(マリィばい)

 

 

「え? なんだ、2人なら大丈夫。もう、怖がらせないでよ」

 

『!!!』

 

 私は相手が誰だか分かって安心しながらサーナイトを退かして玄関へ向かう。ここ最近会えなかった2人。チャンピオンになっておめでとうって言いたい。マリィが私のところに来てくれて、嫌われていなかったって安心した。2人を出迎える為に、ドアを開ける。

 

「ユウリ! マリィ!」

 

 

――――――迎えに来たよ(迎えに来たと)お姉ちゃん(お姉さん)

 

 




おまけは同日22時に公開予定。


常時掲載

【Fantia】にて、オリジナルの小説を投稿しています。
また、一部先行公開や没作の公開もしています。
下記URLから是非どうぞ。
https://fantia.jp/594910de58
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