できたよ先生。生徒がとびっきりの悪夢を見る装置だ!   作:フォトンうさぎ

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陸八魔アル:天秤

「はい、便利屋68(シックスティーエイト)です。あら、先生。……えっ? 護衛の仕事?」

 

 昼下がりのオフィスルーム内。先生からの電話に、学生にて社長である陸八魔(りくはちま)アルは『近頃運が良い』とほくそ笑んだ。

 制服とスーツが合わさったようなデザインの服装をしたアルは、スリット入りのスカートのセクシーさを誰かに見せつけるように足を組む。窓から入り込む光で、赤髪もアルの未来も鮮やかに。

 

 電話の向こうにいる先生が言うには、ある重要なオーパーツを学校から別の学校に運ぶ仕事があり、その護衛役として便利屋68を雇いたいらしい。ゲヘナに属するが、ほとんど関与しないほぼ不登校の状況かつ、依頼で得た情報は必ず漏らさない便利屋68にはうってつけの内容だった。

 

 先生はアルを始めとした便利屋68の面々に食料や弾薬の提供など良くしてくれるし、アル達もまんざらでもなく先生に対して恩返しすることが多い。仕事を提供しやすい、受け取りやすいという関係だった。

 

「ふふふっ、私達の力で必ず守ってあげるわ。任せ――」

 

 そこまで言いかけて、アルはカレンダーをちらりと見て、短くあっと声を出してから押し黙る。

 

「ご、ごめんなさい先生。その日にその時刻は……」

 

 高価な報酬が貰える、別の仕事とダブルブッキングになってしまっている。カレンダーのメモとスマホに映る詳細な依頼内容を見て、アルは申し訳なさそうにごにょごにょとしてしまった。

 

 依頼人の個人情報や依頼内容の秘匿は絶対である。先生から頼りにされるのは嬉しいものであるが、便利屋68の今後に関わる依頼と別の依頼を(はかり)にかけると、どうしても今後のための依頼に傾く。

 

 今アルが座っている柔らかな肌触りのチェア、オフィス内に鎮座するシックなデザインの高級ソファとテーブル。その他のコーヒーメーカーやへんてこなデザインの絵画。どれも、アルが依頼人の信用を勝ち取るために見栄を張って財布を空にして買った高級品である。

 つまり、新しいオフィスを借りて家具を揃えた最近は、可能な限り食費や生活費を減らす貧乏生活。

 

「え、ええ。そうなの……」

 

 大事な仕事が入っているんだね、気にしないで。先生の優しい答えに、アルは思わず頭をぺこぺこ下げて、たった今に入ってきた先生からの依頼を断ることになった。

 先生には他に頼りになる生徒が複数いるし、アルも愛する社員たちとこれ以上、1つのカップラーメンから麺とかやくを取り合うのは嫌であった。

 

 他の所に依頼するよ、お仕事頑張ってね。穏やかな先生の答えに、アルはもう一度頭を下げてから受話器を置いた。

 

 


 

 

 依頼を満足に完遂した後日の夜。依頼人には見せられないごちゃごちゃした仮眠室でさて休もうかと、アルは大きな欠伸(あくび)をした。

 

 が、まだ眠っては駄目というように、固定電話が鳴る。こんな遅い時間帯での呼び出し音は不安を煽る感じがして、アルは内心恐る恐る受話器を取った。

 

「はい、便利屋68……ああ、シャーレの。えっ? な、なにを言ってるのかしら……?」

 

 先生が仕事の途中で撃たれて、今病院で亡くなった。回線の向こうにいる生徒は、震える声でアルにその事実を伝えた。

 嗚咽(おえつ)交じりの言葉で、詳細に何があったのか聞き取れない。だが、ただ先生が死んだという事実だけは必死に伝えようとしていた。

 

 珍しいオーパーツが裏でどれほど必要とされているか、先生は読み間違えた。別の学校へ護送する途中に予測できなかった大規模な抗争が起き。オーパーツは移送できたものの、先生が流れ弾を受けた。急遽病院に搬送されて治療を受けたが、大きな手術も虚しく息を引き取った。

 

 アルは受話器からの声を、もうこれ以上理解することができなかった。くらりと世界が回るような錯覚と足元が崩れ落ちる違和感を感じ、机に手をついて項垂れる。

 

 ――私が、先生を守らなかったから?

 

 あの時先生の依頼を受けていれば。見栄を張って高級家具を揃えていなければ。私が先生の近くにいればこんなことには。もっと思慮深く行動していればこんなことには。なぜ、どうして、何を間違えていた、どうすればよかったのか。

 

 頭の中で延々と、運命の分岐点と自分の選んできた選択が反芻(はんすう)し続ける。攻撃する暴徒のような生徒が悪いのかもしれないし、予測を間違えた先生が悪いのかもしれないが、己が選択を間違えたのだと自分を責め続ける。

 

 受話器が落ちた音で目覚めたハルカが仮眠室を出ると、オフィス内には床に手をついて泣きながら謝罪を続けるアルの姿があった。

 

 


【後書き】

 

 アルちゃん可愛いよアルちゃん。白目大好きいっぱい驚いて。

 

 アルちゃんはね、ポンコツで愛おしくて、やることなすこと全てが面白くて、ネタにされるほど実力が低いわけではなくむしろ高くて、いざという時には重要な決断を下せるリーダーじゃなきゃいけないの(同担拒否マ○マさん)。

 

 アルちゃんは成長したら、きっと今まで以上にナイスバディでセクシーなリーダーになりますよ。便利屋68のメンツもきっとそう。まぁ成長したみんなの目が、活き活きとしているか死んで掠れたものになっているかは置いといて。

 

 カヨコはポニテほどいてロングヘアになっているでしょうし、ムツキはたぶん髪バッサリ切ってショートカット。ハルカは髪のふわふわさが増しているんだ。俺は詳しいんだ、未来を掴んでいる(仮面ラ○ダーカブト感)。

 まぁ、4人の目つきがいつもの4人か、ガチの仕事人として厳しいものになっているかは置いといて。

 

 アルちゃんはね、公式外伝漫画でわかる通り、パニックになるアクシデントが起きてもやることはちゃんとやるし、戦闘面でもめちゃくちゃ頼りになるんです。はぁ~、物事に縛られる先生と縛られない自由人のアルちゃんベストマッチですわ~、これは正規ヒロインですわ~。

 

 はい、正規ヒロインなのでラスボスまで一緒に来てくれます。

 

 でもねー! ラスボスを倒した後にねー! 世界を救うには先生の大人のカードと先生自身に宿った(妄想設定)神秘の抽出(銃殺)が必要になるんだー! こんな重たい依頼、信頼できるアルちゃんにしか頼めなーい!!

 

 ななな、なんですってー!? という白目の後に、ガチトーンでもう一回なんですってと聞いてくるんだ。何かの聞き間違いとか他の方法はないのかとか色々焦りながら聞くんだけど、先生は静かに首を横に振るだけなんだ。おのれ黒服許せねー!!

 

 幾度かの問答の後に、もう時間が無いという先生。覚悟を決めたアルが、涙を流しながら先生の頭をスナイパーライフルでぶち抜く―!! やったー! 先生の勇気で世界が救われる、かっこいー!

 二人は幸せなキスをして先生の命が終了。救いは無いんですか? そこに世界があるからありますね。

 

 泣き崩れるアルちゃん。さようなら先生と呟いて、崩れ落ちていく場からコートをなびかせて去っていくアルちゃんハードボイルドでアウトロー。

 

 その後、便利屋68は姿を消して、本当にキヴォトスに存在していたのかってくらい存在感や情報が無くなります。でも裏の裏の裏、影の影の影からアルちゃんは実にダークな守護者としてキヴォトスを守っていくんです。

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