ながめる。   作:白凪ゆん

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2.//.とある人間をながめる。

 

 邪神の気まぐれか、スキルなるものが千差万別様々な人間に無作為に配られるようになってしまった現代、多少なりとも平和だった毎日は、見えない危険が潜む毒沼のようなものとなってしまった。

 

 国民に負担をかけるような政治を行っていたいくつかの国が、元々反抗心を抱いていた、スキルを手に入れた者たちによって壊滅したことが伝えられ、他ならぬ僕たちの国、海成(みせい)も、異能及び異能持ちの存在を厳重に警戒するようになっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[現在発見されている奇妙な力により、世界の情勢が目まぐるしく変わっていっております。これに対し、明地総理は、スキル持ち及び異能持ちの人間への対応を急ぎ確定させ、我が国の平和を守ってみせる、と、強い意志を表明し───]

 

 

 

 

 

 

 端末を操作してネットニュースを閉じる。

 

「スキル…か…。」

 

 右手を軽く握りしめ、自分の体内に感じられる謎のエネルギーに少し意識を向ける。

 

「……この力も、なるべく隠さないとな」

 

 

 

 

 政府は、国の平和を守っていく、とかなんとかいっていたが、スキル持ちの人間の対応なんて無理に決まってる。特にこの地域の人間なら、スキル持ちの人間に対して人は無力であることを良く知っているのだ。

 

 何故なら─

 

 

 

 

 ドゴォォン!

 

 

 

 家の外、遠方から轟音が響いた。

 

 

「…またか。」

 

 

 ここ最近繰り返されるこの轟音にももう慣れてしまった。

 

 恐らくこれは一人の爆発系の異能持ちによる犯行だろう。

 

 ネットニュースによると、うちの高校の一年A組の生徒達の家で連続爆発事件が起こっているらしい。幸い、死傷者は今のところ出ていないようだが、いつ死傷者が出てもおかしくない状況だし、

 

 …同じ高校とはいえど、こんな犯罪を犯すような奴は僕の友人の中にはいない。

 

 だが僕はC組で、友人というのもC組だけの話だ。他のクラスのことはわからない。

 

 犯人探しをするつもりはないが、自分にも危険が及ぶようならあるいは──

 

 

 

 プルルル、プルルル。

 

 

 遠方でも誰とでもコミュニケーションが自由自在にとれる万能SNSアプリ、REX(リレイションエクステンション)に着信がきた。

 

 これは…グループのほうか。

 

 

 ピッ。

 

 

「おはよう、神前《かんざき》」

 

「おはよう」

 

 

 Cクラスにいる友人達の中でも特に仲のいい親友のうちの1人が、挨拶は基本、のモットーに有言実行をする男、森勇気。特にこれと言った外見的特徴はないが、非凡なる才能を数多その身に秘めるモブ顔の天才。

 

 

 

「フィアもおはよう」

 

「おはよ〜〜」

 

 

 そして、森の挨拶に間延びした声で挨拶を返すのが麗しい銀髪に究極の美声を持つ超絶美少女ルーフィア。彼女も俺のもう1人の親友。某国からこの国、海成(みせい)に亡命してきたらしい。スキルによる大規模なクーデターに巻き込まれそうになった元王族だと明かされたときは、現実感がなさすぎて逆に驚くことができなかったものだ。

 

 

「爆発騒ぎで学校も休みだし、カラオケでもいこうぜ。どうせお前ら暇だろ」

 

「いいよ〜〜」

 

「どうせ暇とか勝手に決めつけないでよ…。まあ暇だから行くけど…」

 

「じゃあ9時にいつものとこで待ち合わせな。」

 

「いいよ〜〜」

 

「おっけー」

 

 

 相変わらずいいよ〜〜botと化しているかわいいフィアはいいとして、僕も確かにすることはない。断る理由もないので参加することにしよう。

 

 

 

 

「せっかくだし、誘った俺から歌うか」

 

 

「いいよ〜〜」

 

「よろしくー」

 

 HUEと呼ばれる、最近開発された超高性能AIが搭載されているここのカラオケボックスは、俺の結構上手い(フィア談)歌を、80点以下だと酷評してくる。

 

 だが、このトップバッター、森は才気煥発、文武両道。

 

 このHUEカラオケで、95点を下回った時を見たことがない。

 

 フィアの究極的美声と比べても遜色のない素晴らしい声を持っている、とフィア厨の僕でも断言できる。

 

 

「ーーーーーー♪♪!」

 

 

 森の声は幅広く、表現力が高い。脳を通して感情を揺さぶられるような響きだ。

 

 こいつの歌と比べると僕の歌も見劣り…聞き劣りするのは間違いない。これに関しては僕も素直に負けを認める。

 

 

「森くん歌うまいね〜〜」

 

「さんきゅ。」

 

 フィアに褒められるとか羨ま死ゾ森ィ!!

 

 っし!俺も本気でいくぜっっっ!

 

 

「つぎ、わたし〜〜」

 

「おつぎはどうぞ!フィア様!」

 

「お前本当にフィアのこと好きだよな…」

 

「当たり前だろ!フィア様は人類の中で最も美しい声を持ってらっしゃるんだぞ!」

 

「えへ〜〜」

 

「それにはまあ同意するけどな…」

 

「わ〜〜」

 

 

 

 

 

 

 

「〜〜〜〜〜〜〜♪♪」

 

 

 

「〜〜!!〜〜〜〜〜〜〜♪…」

 

 

 

 気づいたら目から雫を零していた。

 

 頭の中にしゅわしゅわと染み込んでくるこのふわふわできらきらな神の声に高音ソプラノボイス…beautiful…

 

 

 

「何で泣いてんだお前…」

 

「おまえ〜〜」

 

 フィア様の歌も超超超超大好きだけど、この天然じみた所やぽわぽわした喋り方が一番すこなのだ!!!(迫真)

 

 フィア様という存在は宇宙の宝だ。

 

 

 

 

「フィア様の御後に我が愚歌をお聞かせするのは誠に申し訳ないが、我、歌うのすこすこ侍、義によって助太刀致す…!」

 

「フィアが関わると壊れるよな神前…」

 

「かんざき〜〜」

 

 

 

 あ゛ー、ずぎっっっ!!

 

 

 

 名前まで呼ばれちゃったらしょうがないね…

 

 本気を出すか…!

 

 

「〜!ーーーー〜!〜〜〜〜♪…ーーーー!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 72点でした。

 

 

 #HUEを許すな

 

 

「わたし100点まんて〜ん〜〜」

 

 

 #HUEの採点は超正確

 

 

 

 

「ところで、ちょっと話したいことがあるから、このあと神前の家寄ってもいーかー?」

 

「ん…わかった。いいぞ。」

 

「わたしもいく〜〜」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 □ □ □ □ □

 

 

 

 

「相変わらず、お前の家は古風でかっけーな。」

 

「そうか?ありがとう」

 

「かっけ〜〜」

 

「ぇへ、でへへ、ワぁ゛」

 

「………」

 

 

 

 

 

 

 

 

「話したいことっていうのは、最近の連続爆発事件について?」

 

「そうだ」

 

「そ〜なの〜〜?」

 

「そうだよ〜♡♡」

 

「そ〜なのか〜〜」

 

「あ゛っ(尊死)」

 

「話していいか?」

 

「んん゛!…よし、いいよ」

 

「おーけい。じゃあまずはこの事件についてだが─」

 

 

 

 

 森は、そういって現在起こっている事件について、考察を始めた。

 

 森は正義感が強く、人助けをせずにはいられないような奴だからな。

 

 今回の事件も、死傷者が出る前に早急に解決させたいんだろう。

 

 

 

 

 あの事件を二度と繰り返さないように。

 

 

 

 

 

 

 同じ空間にいるだけで総毛立つ。

 

 認識するだけで命の危機に晒される。

 

 規格外。

 

 他のスキル持ちとは桁違いの出力、源を分かつ力を保有する、人からも異能持ちからも外れたナニカ。

 

 最初の邂逅の時、僕らはお互いをそう捉えた。

 

 

 




各所文章表現を修正いたしました。
不審な部分が見つかりましたら、誤字脱字報告よろしくお願いします。
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