ぼっちちゃんに好きな人がいると知って脳が破壊されぶっ倒れる虹夏ちゃん概念 作:虹夏の脳を破壊し隊
突然だけど、私の名前は伊地知虹夏。結束バンドのドラマーを担当してる。
結束バンドは私とベースのリョウ、ギターボーカルの喜多ちゃん、そして……
「え、えへへ……」
ゴミ箱の中で笑ってるギターのぼっちちゃんの四人で活動してるんだ。
ぼっちちゃんは今の結束バンドを作ったと言っても過言ではないくらい、頑張ってくれてる。
喜多ちゃんを戻してくれたり、四人揃っての初めてのライブで勢いを取り戻したり、ヒーローみたいな存在。
というか、ギターヒーローとして活動してるから、本当にヒーローなんだけどね。
うん、本当に…ヒーロー…
正直に言って、私はぼっちちゃんに恋をしてる。
ぼっちちゃんは急に叫んだり、急に変形したり、急に爆発したり、急にめちゃくちゃネガティブになったり、と思ったらちょっと褒めたらめちゃくちゃ調子に乗るし。
ギターのこと以外に関しては本当にダメダメだけど、逆にそこが良いっていうか……
じゃなくて、すっごい変人だけど、かっこいいんだ。
で、ここから本題なんだけど……そんなぼっちちゃんが最近おかしい。
急に笑いながらゴミ箱に入ったり、笑いながらモップで床掃除したり、なんか、おかしいんだ。
リョウや喜多ちゃんに聞くと、「それいつも通りじゃん」「おかしいのはいつもですよ?」なんて言うんだ。ひどいよね、その通りだけど。
でもいつもの変な感じじゃない。
勘で言うなら……誰かを待っている、みたいな……うーん、よく分からない。
そんなもやもやを抱えながら最近過ごしてる。
「虹夏、そろそろぼっちちゃんに仕事をやるように言ってくれ。私が言っても聞かないんだけど」
「はいはい、ぼっちちゃーん仕事するよー!」
「グェッ、………あ、はい…」
「ゴミ箱を逆さにして出すとか、お前意外と雑だな」
バイトの時間が終わって、バンドの練習中。
なんだかぼっちちゃんがいつもより上の空だ。
「ひとりちゃん、大丈夫?」
心配になったのか、喜多ちゃんが声をかける。
「あっ大丈夫です……」
「ぼっち、いつもよりキレがない」
「あっすいません……」
返事も覇気がない。ってそれはいつもか。
「ぼっちちゃん、何か、悩み事?」
「あっいやそんなことは……」
「今のぼっちじゃいい演奏にならない」
「う"っ!」
「リョウ先輩の言う通りよ!さぁ、言ってみて!」
「え、えっとぉぉぉ……」
「ぼっちちゃん!」
そう三人で問い詰めれば、ぼっちちゃんはついに吐いた。
「あ、明日家に知り合いが来るんです……」
……知り合い?
「どんな人なの?ひとりちゃん」
「え、えっと、とても無口ですけど、いい人です…あとちょっとだけギターも教えてもらいました……」
そう言うぼっちちゃんはどこか嬉しそうだった。
「悩みじゃないんだ」
「あっはい、どっちかと言うと、嬉しいっていうか…」
「明日はバイトもバンドも休みの日だったね。ぼっちがそこまで懐いているなんて、ちょっと気になる」
「え、えへへ……じゃ、じゃあ、来ますか…?」
「え、いいの!?」
ぼっちちゃんの提案に大きな声が出ちゃった。
「は、はい、ロインで結束バンドのこと話したんですけど、気になるって言ってましたし」
ちょっと、いや凄い気になるけど……
「ホントにいいの?邪魔にならない?」
「あ、じゃあロインしてみますね……だ、大丈夫です…」
「返信早いな」
「じゃあ明日のお昼行くわね!」
「ぼっち、ご飯は出る?」
「で、出ると思いますけど…」
「行く」
「リョウ!もう……じゃあ明日行くね?」
「あ、はい、待ってますね……」
あの人見知りのぼっちちゃんが……どんな人なんだろう……
そして翌日。
ぼっちちゃんの家の前に私とリョウと喜多ちゃんは立っていた。
「じゃあ、行こうか」
「はい!」
「そんなに覚悟決める必要ある?」
インターホンを押す。数秒後、扉が開いた。
そこにいたのは、ぼっちちゃんでもぼっちちゃんの家族でもなく、
「………」
身長の高い、顔がいい女の人だった。
開けたまま、黙った状態でこっちを見てる。
ずっと黙ったままで、動かない。
「………」
「…あの!私達、ひとりちゃんの友達で、話を聞いてると思うん、ですけど…」
「………
キターン全開喜多ちゃんが話しかけても、びくともしない。
困っていると、女の人の後ろからどたどたと音がした。
「あ、あの!皆さん!」
女の人の後ろからぼっちちゃんが現れた。
「す、すいません!どうぞ上がってください!」
ぼっちちゃんが女の人をどかして私達を中に入れる。
そのまま五人でリビングまで動いた。
リビングには沢山の御馳走があった。
キッチンにはぼっちちゃんのお父さんが料理をしていた。
「お、よく来たね!そこの青い子は、初めましてかな?」
「初めまして、山田リョウです。早速ですが、これは食べてもいいんですか」
「リョウ!」
「うふふ、いいわよ。さ、座って座って」
「虹夏ちゃん喜多ちゃんいらっしゃい!」
飲み物を運んでいたぼっちちゃんのお母さんとふたりちゃんに促されるように座る私達。
「あの、私手伝います!」
「いいのよ、それより天野さんと話してあげて?あの人、ちょっと喋るの苦手だから」
そうお母さんに言われてしまったのでその天野さんという人と話すことにした。
「私、伊地知虹夏です。この喜多ちゃんと、リョウと、ぼっ、ひとりちゃんと結束バンドっていうバンドしてます」
「………」
な、何にも喋らない……
「あ、天野さんは私と違うタイプのコミュ障なんです」
そうぼっちちゃんは言うけど、顔をずっと見られた状態で静かだと怖いよ!
「……すまない、ひとりの言う通り私はこのように喋るのが得意じゃない」
「あ、喋った」
「リョウ先輩!」
「…私は天野
そう言って天野さんは頭を下げた。
「いやいや、私達がやりたくてやってますから!」
「……ひとりはギター以外は控えめに言ってクソ雑魚、私のように友達無しで高校生活を過ごすと思っていた」
ナチュラルにぼっちちゃんの悪口を言ったよ!?
「………だけど、良かった。いい友達を持ったね、ひとり」
そう言って天野さんは横に座ってたぼっちちゃんの頭を撫でた。
ん?
撫でたぁ!?
撫でられたぼっちちゃんはえへへと見たことない可愛い顔で笑ってた。
まさか、ぼっちちゃんはこの人に……いやいや、まだ分かんないから!
そう思いながら二人を見ていたら、天野さんは手をぼっちちゃんの頭から離す。
「あっ……」
ぼっちちゃんは名残惜しそうな顔をした。
「ひとりちゃんもあんな顔するんですね!」
「うん、まるで恋する女の顔みたいだ。…虹夏?」
あはは、なんだか頭が痛くなってきた。
「皆~から揚げできたよ~!」
その後は皆でご飯を食べた、んだけど…
「ひとり、から揚げ」
「あっありがとうございます」
天野さんがぼっちちゃんにあーんをしたり、
「あ、天野さん、口に…」
「ん、ありがとう」
ぼっちちゃんが天野さんの口を拭いたりして、ひと時も落ち着けなかった。
………よし。
私は決断した。
「ぼっちちゃん、お手洗いどこ?」
「あ、それならそこを…」
「案内してくれない?」
「え、えっと…」
「……ひとり、連れていってあげればいい」
「あ…あ、天野さんが言うなら……」
その言葉にも、ちくっと痛みが走った。
「えっと、ここですけ「ぼっちちゃん」ヒャ!?」
「聞きたいことがあるんだけど……」
「な、なんでしょうか…?」
「ぼっちちゃんってさ、天野さんのこと好き?」
「え…?」
「だってぼっちちゃん目が恋する乙女だったよ?」
ぼっちちゃんはうーと呻く。
お願い、勘違いであって、そんなことないって変形して。
そう願った。けどぼっちちゃんは顔を赤らめて
「……はい……」
って言った。
それを聞いた私は乾いた笑いが出た後、目の前が真っ暗になって倒れた。
最後に聞こえたのはぼっちちゃんの私を呼ぶ声だった。