超昂大戦SS 新春奉納! ダイビートかくし芸大会・ここに開演!   作:環 藍河

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※原作第2部7章(閃忍ムツカ登場)までのネタバレが含まれます。未プレイの方はご注意ください。


後編 閃忍バトル勃発!? ルーキーVSレジェンド!

§3 新年初の閃忍バトル!? 出初め式は初笑い

 

「さあ〜、ここまでは前座っ! イノリ、行くわよっ!」

「おー。」

 

ライカが舞台に持ち込んだのは…竹はしご。

「それではお披露目、イノリ、GOっ!」

 

しゅたたたたたっ。

ライカが支えるはしごをあっという間にイノリが登り、その場でまずは、てっぺんの横木に膝裏を掛け、ブリッジのように仰け反る。

観客をでんぐり返しで見下ろすイノリは、怖がるどころか両手でダブルピース。

 

「まずは富嶽三十六景っ!」

イノリのポーズが決まると同時に、ライカがインカムでAIスマートマイクに指示を出すと、プロジェクションマッピングが起動。

舞台は一瞬にして、富士山を背景に鷹とやっこ凧が飛び交う、元旦の晴れ空に。

 

「おおお〜〜っ…!」

(ククク…まだまだこれからなのだっ!)

 

「続きましては、名古屋城は金のシャチホコっ!」

スマートマイクが反応し、舞台は一転、ライトアップされた天守閣に。

イノリは両手ではしごの縦木のてっぺんを握り、体操選手も顔負けの海老反りでピタリと静止。

 

 ひゅ〜〜〜っ、どんっ!

 ぱらぱらぱらぱらぱらっ。

 

決まった瞬間、大輪の打ち上げ花火が夜空を彩る。

 

わあああ…っ!

(よお〜し、温泉チケット、貰ったあああっ!)

 

 「ちょ〜っと、待つでござるよっ!」

 (〘!?っ!〙)

 

「シャチホコなら、もう1体並べねば、収まりが悪くはござらんか?」

割って入ったムツカ、そう言うや否や、縄を2本天井の梁に投げて結ぶと、そのままイノリの横までするする登り、イノリと対称にシャチホコポーズをキメる。

 

 おおおっっ!!

(こ…コレ、私らの得点? それともムツカさんの割り込みポイント?!)

 

「むぐう〜〜〜っ!!

びしょうじょ! ジャマっ!」

「ほおれほれ、悔しかったら、拙者に負けないお主のスゴ技、披露するでござるよ?」

 

ばっ。「鯉のぼりいっ!」

イノリははしごの縦木を握り、胴体まるごと真横へ。

「ほほう〜。しからば拙者は。よっ!」

ムツカ、縄からイノリのはしごへ飛び移り、真上で同じポーズ。

「えっ…!!」

「拙者が真鯉でお父上、お主は緋鯉でお子ちゃま、お子ちゃま。」

「むぎぎぎぎい〜っ!!」

 

ぴょんっ。「なっ!?」

しゅたっ。

イノリはムツカの上に登り、I字開脚のつま先立ち。

「それは…何でござるか?」「えっ…?」

イノリ、ムツカに下を取られないことしか考えてなかった。

 

  「…チンアナゴっ!!」

 

 ぶっ…!

 

「ち…チンアナゴおっ!?」

 

  ぱっ。

 

「ぶ…ぶひゃひゃひゃひゃひゃーーっ!!」

ライカが思わず繰り返した声に、AIスピーカーが律儀に反応。

背景が一転、海底の砂場とチンアナゴの群れに変わり…イノリが同化。

…笑いの神が、降臨した。

 

「〜〜〜っっ!!」

イノリ、耳まで真っ赤っか。

「びしょうじょおっ! 

今年こそっ、お前、倒すっ!」

「ほほお〜、お主にでっきるっかなあ〜?」

しゅたっ。

「表に出ろおおおっ!!」

 

イノリとムツカの場外乱闘、開幕待ったなし…!?

 

 

§4 閃忍結束! 絆の輪を描こう

 

「あ、さて♫ あ、さて♪」

(〘【?!】〙)

 

舞台袖からお囃子に合わせ、レジェンド閃忍が歌って登場。

「さては南京玉すだれ、これに見えるは普通のすだれ♬」

ハルカが手に持つのは、太巻き寿司を作るには少し大きい、日本家屋で陽射し避けに吊り下げるような、すだれが1張り。

 

しゅるっ。ぴたっ。

「ちょいと伸ばせば、おさかなさんっ。」

次の瞬間、ハルカのすだれは棒が継ぎ目の糸からしゅるしゅる伸びて、3メートルはあるマジックハンドのような形に様変わり。先がすぼんで、なるほどサンマかタチウオのように見える。

 

後からスバルも続き、こちらは。

「ちょいと伸ばせば釣り竿一本、釣れるは魚にチンアナゴ。」

すだれの棒が真っすぐ伸び、先がしだれて吊り下がる。

 

(…っ! そうか…!)

イノリは、ハルカとスバルが助け船を出してくれたことに気づき、I字開脚のポーズを取り直し、アドリブでスバルに釣られる。

「おお、こいつは大漁だ。」

 

 どっ…!!

 

先ほどの失笑が一転、和やかでハートほっこりの笑いに包まれる。

 

「ちょうどいいわね。ナリカ、アレを3人に。」

「オッケー!」

そう言って、舞台袖でお囃子を奏でていたナリカが、イノリ・ムツカ・ライカにカラフルなすだれを、ぱぱぱっとスローイン。

ぱしっ。

「あっ…あたしもおっ!?」

うろたえるライカに微笑んで、ハルカが自分の真似をするようアイコンタクト。

同時にスバルが3人の立ち位置を指示。前列にライカとイノリ、後列に自分とハルカを挟んでムツカ。

 

「ちょいとひねれば、ちょいとひねれば…」

「世界平和の、五つの輪っ!」

5人のすだれが輪を形取り、色は左から青・黄・黒・緑・赤。

お囃子のナリカも含めて6人、新年の活躍が期待される閃忍の、一致団結であった。

 

「オリンピックの五輪マークっ!」

ライカの声で、舞台背景もオリンピックの国立競技場に早変わり。

 

 おおお……っっ!!

(ぱちぱちぱちぱち…!!)

 

つい先ほどまでの一触即発ムードが嘘のよう。

完全に毒気を抜かれ、イノリもムツカも照れくさそうに苦笑いしていた。

 

「ありがとうございましたっ!」

こうして、ハルカの機転で大トリの曲芸をうまく被せ、かくし芸大会は円満に幕を閉じた。

……

(ハルカ…その、…ありがとう。)

(ふふっ、イノリちゃんは笑っているときがいちばんいいわね。今年もよろしく。)

 

(お前も少しは、あと先を考えて動くがよい。)

(いやあ〜? あやつは磨くほど光るでござるからなあ、事あるごとに手を出してみて、出たとこ勝負で伸ばしてみたいのでござるよ。

…ぶふっ…!)

(?)

(さ…さすがに拙者も、読めなんだでござるが…、言うに事欠いて、ち…チンアナゴ…っ…!!)

ムツカ、妙にツボに入ったらしい。

 

ともあれ、昨年はいがみ合いもあったが、紆余曲折を越えてムツカとイノリは一時休戦。

今年はハルカたちの差し伸べる手を握り、一致団結、ノロイに立ち向かうのであろう。

 

…そんなイイ話のさなかでも。

(お…美味しいところ、全部ハルカさんたちに、持っていかれたあ〜〜っ!!)

…ライカはブレずに我欲を剥き出しにしていた。

 

 

§5 結果発表、そして新年の幕が開く

 

「さあ、今年も司会はわたくしっ、【勝手に】ダイビート【公式チャンネル】フェリニちゃんです! 果たして優勝賞品の温泉ペアチケットは誰の手にっ!?

それでは審査委員長のユーノさん、選考結果を、お願いしますっ!!」

 

「え〜と、パフォーマンスのクオリティでは圧倒的に雅さんでしたが…。」

ユーノが言葉を濁す。

「もともとあの温泉宿は、エリーたちが提供しとる宿じゃからのう。儂も楽隠居としてさんざん満喫しとるし、優勝賞品に貰っても意味が無いでな、固辞いたそう。」

「あと…マユリさんもマッハちゃんと意気投合して埠頭に走り出しちゃったし…。

虎は論外よねえ。」

 

そうなると。

「ハルカちゃんたちの当意即妙なチームワークが見事だったもの。やっぱり優勝は、レジェンドチームっ!」

 

 わああああーーーっ!!

 

満場一致の歓声で、審査結果に納得の声が上がる。

 

へなへなへな〜っ…。

「そんなあ〜っ…た…タダ働きっ…!!」

ライカだけ、崩れ落ちた。

 

「あっ、次点の出初め式ペアには敢闘賞、想破の里特産の新米が俵一俵、贈られるわ。イノリちゃん、ライカちゃん、おめでとう。」

「う…嬉しく、ないーーーっ!!」

※ダイビートは食堂食べ放題です

 

 …じゅるり。

「あ…あのね、スバル、ナリカ、…いいかな?」

「ああ、仕方ないな。」

「3人でペアチケットじゃ、どう分けても角が立つものね。美味しく炊いて、仲良く食べよっ!」

 

「あ…あの、ライカちゃん?

その…良かったら、温泉チケットと、とっかえっこ…してくれる?」

「…はい?」

「おー、ハルカはごはん好きだったな!

ハルカが喜ぶ、ライカも喜ぶ。

これ、うぃんうぃん?」

 

 交換成立。

 

「だ…大逆転、サヨナラホームラあああーーーンっ!?

ゆ…夢の豪華温泉じゃあ、静かで優雅な一夜じゃあ〜〜っ!!」

ライカさん、狂喜乱舞。

 

「ところでライカー。これ、行ける日、ある?」

「…へっ?」

 

 【土日祝の前日・繁忙期を除く】

 

ペアチケットの但し書き。

「と…頭領、コレ…。」

「月想館学園の創立記念日なら、平日の休みが取れるんじゃないか?」

「ウチの創立記念日は1月1日ですーーーーっっ!!!」

 

「…ライカ、もしも怪しいズル休みしたら、報告上げるからね。」

「せ…せつにゃ様っ!?」

「ライカー、正々堂々。」

「うっさいっ! イノリっ、あんた次の任務でほどよく負傷しなさいっ!

あたしはその看病で温泉湯治っ! よしっ、これならアリっ!」

「やっぱりコイツはアウトだあっ!!」

 

ホントにいつか相棒を売りかねないライカは、今年はいったい何度、邪悪に頬をゆがめることだろうか。

だが、その小賢しさはジョーカーのように、大化けしてダイビートの秘密兵器になるかもしれない。

イノリとライカ…二人の真価が問われる新年でもある。

 




筆者の環です。長文読破いただき、感謝申し上げます。
…出てくる曲芸が古くさいのはご容赦を。

メインストーリーが保留され(この2ヶ月は新規イベント「秋深し」「六連星」「クリスマス」「お年玉」と2周年+復刻イベント)ておりますが、イノリやライカの魅力が深まるメインストーリー展開になるといいなあ、なんて思っています。特にイノリがハルカ&ハルナ好きなので、2人プラスライカに背中を押されながら、自分の生き方を拓いていく…なんて王道展開になるのでしょうか。

頭空っぽでお読みいただけるギャグSSのつもりでしたが、最後はちょっと「マジメかー」要素入りでシメました。

次作はマジメ系、季節合わせのSSを1本考えていますが、リリースタイミングまで間が空くので…。
余力があればリメイク(リテイク?)をやりたいんですが…初期作を振り返る羞恥プレイに耐える精神力があるかどうかによります。環の明日はどっちだっ!?
ではまたお会いいたします。
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