だが書いた事は後悔していない。
覚悟はいいか?俺はできてる。
水星からの編入生。そう聞いた時は特に何も考えず、ただただ珍しいものを見るような目で貴方はスレッタ・マーキュリーの決闘を見ていた。
ホルダーになったその人との邂逅はそう遠くなかった。
「あっ、す、す、すみませんっ!」
前方不注意でぶつかって来たスレッタ・マーキュリーに貴方は大丈夫である事を伝えた。それを聞いた彼女は安心したと言った様子で、「よかったぁ……」と小声で呟いた。もっとも、貴方には聞こえていたが。
「あ、あああああのっ! その、お、お詫びにっ! 何か奢らせてくれませんか!?」
相変わらずおどおどとしている彼女は、何かしら申し訳なさを貴方に感じたのか、奢らせて欲しいと言ってきた。貴方は少しの間思案し、断る理由もなかったのでそれを承諾した。
がこん、と自販機から音がする。自販機でアイスバーを2本買った彼女が、道端に座りこんでいる貴方に歩いてゆき、アイスバーを一本手渡した。
「あ、あのう、さっきはすいませんでした。ち、ちょっと浮かれちゃってて………」
消えいるような声で申し訳なさそうに言った彼女に向けて、貴方は気にする事はない、とだけ言ってアイスバーの封を開ける。
「え、えへへ………そう言ってもらえると助かります………………あ、あのっ! よ、よよよ良かったら連絡先交換してくれませんか!?」
先程とは一転し、生徒手帳───の皮をかぶった優秀な端末───を彼女は取り出した。断る理由も見当たらない貴方は、それを了承した。
それから数週間が経ち、何度か彼女と食べ歩いたり何処か散歩に行ったりと行動を共にした貴方は、唯一無二と言っても過言では無い親友と話していた。
「えっ! 君もスレッタさんに会ったの!?」
同級生───否、親友のニカ・ナナウラに奇妙なものを見る目で驚かれた貴方は、事実を認めると共に、その反応にいくらかの不服を覚えた。
「『何もそんな反応すること無い』………って、そんな反応する事あるよ! だって、君全然友達とか作らない人じゃん!」
お前はどうなんだ、お前は───とは言わず、いつの間にか親友に抱かれていた『自分』の像にショックを受ける。
「それで? どこまでいったのぉ〜?」
卑しい笑顔を浮かべながら、可笑しな質問をしてくる。貴方は事実を述べるまでである。それを聞いたニカは、「それもうデートだよ!」と、どこか興奮しながら貴方の話を聞いていた。
正し貴方がこの親友に会ったのは、こんな雑談をするためではなく、相談に来たのである。相談事というのは話題のスレッタ・マーキュリーの事で、彼女との散歩───ニカ曰くデートらしい───の事である。回数を重ねるごとに段々とスレッタの表情は柔和になってきており、貴方には特に親しく接している彼女は、直前の散歩でとうとう腕まで組んできたのである。
嫌がるわけでは無いが、最近はメールも一日二十件を越えるようになってきており、流石の貴方もこれでは些か動きにくい、はっきり言って仕舞えば少しの鬱陶しさを感じていた。
漸く本題を聞いたニカは、ううんと唸りながら一つの結論を貴方に教え出した。
「ズバリ! 恋、でしょ!」
貴方は脳が少しフリーズし、即座にそれを否定する。仮にそうだとしても、恋する人物を間違えているだろう、と貴方は言う。だがニカはそんな事はないと言った。
「君はちょっと鈍感じゃないかな……案外ウチのチュチュも君に懐いてるんだよ?」
思わずあの辛辣チュチュが!? と貴方は驚く。がしかし直ぐに思考を元に戻すと、再び考え込む。誰から見てもわかる常識人のニカがそう言うのだから、自分は鈍感なのだろう。ひとまずそう考えて、今までの散歩を思い出す。己は彼女に好かれるような事をしたか、と。
頭の中で三度ほど木魚が鳴る。していた。口元についたアイスを指先で拭ってやったり、雨が降った時は相合傘をしたり、案外鈍感な過去の自分はスキンシップをとっていた。
「その反応を見るに、結構スキンシップ取ってたんだね……取り敢えず、門限もあるから寮に帰ろうよ。続きはまた明日聞くからさ!」
門限まではまだ余裕があるので、ゆっくりとした足取りで貴方はブリオン寮へと歩いていた。ふと立ち止まる。貴方は今自分がいるところが、スレッタ・マーキュリーその人と初めて出会った場所であると分かった。何か食べようかな、と考えたは貴方は、近くの自販機でアイスバーを買おうと考えた。
それ故に、自販機の方は意識が向いたため、後ろに忍び寄る脅威には気づかなかった。
目が覚めると知らない天井が見えていた。辺りを見回すと、大した光源はなく、全体的に薄暗い倉庫のようなところにいるのだと分かった。窓は無いので、外の時間は分からない。手足はロープでしっかりと拘束されており、抜け出すのは難しそうだった。
「あっ、起きてくれた」
不意に声が聞こえた。自分の頭上にはスレッタ・マーキュリーがいた。彼女はぶつぶつと何かを呟きながら、冷たい地面に転がされている貴方の隣に転がり、貴方を抱きしめた。
「はあぁぁ〜いい匂い……私、ずっとこの匂い嗅いどきたいです…………ねぇ、何でメール返信してくれなかったんですか?」
困惑したまま彼女を見る。薄暗いから見間違いかもしれないが、彼女の瞳に光は宿っていなかった。
「知ってるんですよ………全部。ニカさんと話してたんですよね、何を話してたのかは聞き取れなかったけど、私の事を鬱陶しいって言ってるのは聞こえたんです」
ぎくり、鳴らない音が聞こえた気がした。
「私、貴方のこと大好きなんです。貴方の息が、髪の毛が、匂いが、血が、爪が、全部全部大好きなんです。なのに、何でニカさんを見るんですか? 何で何で何で───」
貴方は必死に弁解する。違う、そうじゃないんだと。しかし彼女は聞く耳を持たず、貴方に馬乗りになった。
「貴方がニカさんの事を見るなら、私の事だけ見させます。貴方がニカさんと話すなら、私とだけ話させます。ミオリネさんは婚約者って言ってるけど、卒業して結婚するかとか分からないから問題はなんにもないんです。だから、一緒に──────」
─────気持ちよくなりましょうね。
ゆっくり更新していきます。受験生なのでね!!!!(マ大佐クオリティ
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