水星の病んでる魔女   作:隣の家に晩飯凸する止まらないゴルシ

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おや〜二期始まりましたね!
ノレアの声優が悠木碧ときいてへいきへっちゃらじゃ無くなりました。
ノレア…いいよね!(語彙力


ノレア・デュノクの壊れた愛情

 壁があった。一枚の、分厚い壁。

 

 それは、壁の向こう側とこちら側を隔てた。人類が宇宙に進出して以来、その壁の厚さは増す一方だ。なら、壁のこちら側にいる人間を、向こう側に行かせてやれば、全て綺麗にまとまる。

 

 それと同じ。貴方は私を拒絶して、拒絶して、私との壁に厚さを増して、私から遠ざかっていくけど、そんなのは無駄。

 

 私はあなたを逃さない。私と同じアーシアンで、その癖に同じアーシアンである私の愛を拒絶する貴方を、私はそれでも逃さない。

 

 だって、愛しているんだもの。当然でしょう?

 

 

 

 ばっちりと目が覚める。午前四時───休日にしては早すぎる起床だった。結局、今回もあの悪夢に魘されてろくに眠れなかったのだ。

 

 毎晩、毎晩、光の宿らない瞳をしたノレア・デュノクに追いかけられる夢を貴方は見ている。もし夢の中で彼女に捕まれば、ナイフで脅され、獣の様に性的捕食を受ける。普通ならラッキー程度で済ます淫夢だが、この夢はどうもそんな気分になれなかった。

 

 原因は分かりきっている───彼女のストーキングだ。

 

 数週間前の放課後、人目の付かないところで彼女に呼び出されたことがあった。「これから、この先ずっと私について来てほしい」と言うえらく抽象的な頼み事だったが、けれど彼女の真剣な眼差しで、ふざけて言っているわけでは無いと分かった。きっとそれは彼女なりの告白だったのだろう。

 

 でも、貴方は恐怖を感じた。「恐ろしい」という本能が訴える根源的な恐怖。きっと、彼女の望みに応えていれば、後には退けていなかったのだ。だから、懇切丁寧に彼女の望みを断り、安寧を享受したのだ。

 

 だが、永遠に続く安寧など、あり得はしない。

 

 彼女は何処からか来ては、貴方に「どうか」「お願い」「何でもするから」などと言って懇願し始めた。それは何日も続いた。懇願されたとて、己の本能が恐怖を訴え、拒絶するのだ。受け入れるなど、到底そんなつもりはなかった。

 

 もう一度懇切丁寧に断った貴方は、次にストーキングを受ける様になった。何処からかじっと、彼女の粘りつく様な視線を向けられる様になった頃、自室から物が消え始めた。なんとなく、勘づきはした。だが、決定的証拠があるわけでも、ましてや、決闘で誰かに勝てる技量があるわけでもない貴方は、それを見過ごす他になかった。

 

 深夜の四時では、今更眠り直す気にもなれず、出来るだけ物音を立てず、他の地球寮の寮生を起こさぬよう自室から出てゆく。

 

 寝巻きのまま外に出てきたせいで、いささか肌寒い風が肌を撫でてきた。その風に心地よさを感じながら、どうしたものか、と考える。

 

 決闘により全てを取り計らうと言っても過言ではないこの学校において、物が一つ二つ消えた程度で教師が生徒の為、しかもアーシアンの為に動くとは思えなかった。八方塞がりだった。

 

 ため息を吐く。

 

 すると、別の人間の吐息が、微かに聞こえてきた。後ろを見る。

 

 そこには、光の消えた瞳で此方を覗き込むノレア・デュノクその人がいた。

 

 咄嗟に走り出した。彼女は手にナイフを持っていたのだ。あの悪夢は、ついに貴方の目の前に降りかかった。

 

 自室に逃げ込もうと駆け、後ろを見る。いや、見てしまった。もうさほど距離も開いていない位置に、彼女がいた。

 

「………ようやっと、捕まえた」

 

 恐怖で震える。

 

「取り敢えず、貴方の部屋に行こう」

 

 

 

「んッ……ふっちゅ、んちゅ………んぅ………」

 

 部屋に入った途端押し倒され、唇に舌をねじ込まれる。ディープキスだ。息継ぎの為に口を離すと、彼女は首筋にキスマークを付け、それからは貴方の全身を舐め回し始めた。最初は首を。次に、肩、二の腕、胸、腹部、とそこで止まり、貴方に覆いかぶさる様になっている彼女は語り始めた。

 

「……貴方に拒絶されても構わない。そんなの、どうでもいい。私にとって必要なのは、どんな形であれ、貴方が私を見てくれていることだけだから」

 

 言い終え、彼女は貴方の耳に口を近づけ、「ここ……もう固いよ」と囁く様に言う。彼女の左手は、貴方の股間部に当てられていた。

 

「襲われてるのに、興奮しちゃうんだ。大丈夫、その内もっと気持ち良くなるから」

 

 彼女はそう言い終えると、貴方の衣服を剥ぎ取り、貴方の性的捕食に取り掛かった。

 

 

 

 ばっちりと目が覚める。目には見知った自室の天井が映り込んできた。そして、貴方は安堵した。

 

───あぁ、結局、あれも所詮夢だったのだ。

 

 夢なら、実際の被害にはあっていない。ならば、実際に襲われるより百ほどマシだ。

 

 さぁ、休日なんだから遅めの朝食を取ろう───そう考えた時、違和感に気づいた。

 

 右腕に重みがある。不可解な、それでいて覚えのある重み。貴方は錆びついたブリキ人形の様に、ゆっくりとそちらを見た。

 

「おはよう、昨晩は───ふふふ、楽しかったわね」

 

 そこには、やや紅潮した頬で語るレノア・デュノクがいた。彼女が貴方の耳に一言囁いた。

 

───いっばい私に出して良いのよ。そうすれば、貴方は私から離れなくなるから。

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