【完結済み】Run from Mariage 〜逃亡中〜   作:とある物書きMr.R

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Run from Mariage 〜逃亡中〜

 休校となったトレセン学園に集められた、10人のトレーナーたち。

 困惑する彼らに、秋川やよい理事長から衝撃の言葉が告げられる!

 

 

 「傾聴! トレーナー諸君に集まってもらったのは理由がある。

単刀直入に言おう。これから諸君らはとあるウマ娘たちと鬼ごっこをしてもらう!」

 

 

 勢いよく開かれた扇子には『逃亡』の文字。困惑するトレーナーたちを前に秋川理事長は何故このような事態になったのかを語りだした。

 全国から選りすぐりのエリートウマ娘たちが集まるトレセン学園。そこに勤めるトレーナーもまた厳しい選別を勝ち残った文武両道な上に人格面にも優れた優秀な人材である。

 走るために生まれてくるとも言われるウマ娘といえども年頃の女の子、そこに『文武両道』な上に『人格面にも優れた』トレーナーが『3年間』つきっきりで指導するのだ。結果が出ない場合やどうしても反りが合わないは契約解除になるとはいえ、大抵のトレーナーとウマ娘はうまくいく。

 

 

 するとどうなるのか。

 

 

「トレーナーさん、私、貴方のことが好きなんです!」

「…気持ちは嬉しいが俺はあくまでトレーナーだ。君のことは担当ウマ娘としてしか見られない」

「っ!」

「10代の多感な時期、近くに歳上の大人がいたらコロッと行くこともある。気の迷いだ」

「…それなら」

「どうした?」

「それなら、私が今からすることも、気の迷いとして受け止めてくださいね?」

「うわやめっ!?」

 

 

 数日後

 

 

『事務連絡

 

理事長秘書 駿川たづなよりトレーナーの皆さまへ

お疲れ様です。標記の件につきまして、この度御縄トレーナーが特別退職されることになりました。

トレーナーの皆さまにおかれましては、担当バと適切な距離を保ちつつも、指導を行っていただくようお願いします』

 

 

 こうなるのである。もちろん特別退職は寿退職と読み替えるし、トレセン学園ではうまぴょいの隠語で表されることもある。

 

「御縄がうまぴょいされたか…」

「ちくしょう、いいヤツだったのに。いや、いいヤツだったから、か」

 

 ちなみにトレーナーが女性の場合や、高齢の場合でも油断はできない。掛かり気味になったウマ娘に性別や年齢など壁にもならないのだ。

 

「トレーナー諸君! 諸君の担当バにアンケートを実施したところ、残念ながら諸君らは担当バとの距離感を見誤っていたことが判明した」

 

 理事長の言葉で事情を察したトレーナーたち。思いあたる節があったのかそれとも己が未来を想像したのかすでに数名の顔は青白くなっている。

 

「このままでは諸君らはそう遠くない内に特別退職することになる。だが学園的にも一度に複数名のトレーナーが退職するのは大きな損失だ」

 

 繰り返しになるが中央のトレーナーというのは文武両道な上に人格面も良好。担当バのためであれば苦労を苦労とも思わないようなある種振り切れた人間がほとんどで、逆に言えばそのような人間でもない限り中央のトレーナーは務まらない。ではもしそんなトレーナーが一斉退職になったら? 業務の混乱は避けられず、そのような事態は学園に在籍している全ての者に多大な影響をもたらす。

 

 故にと理事長は叫ぶ。

 

「諸君らにはこれからウマ娘たちと鬼ごっこをしてもらうのだ。

今後どのような事態が起きようと、自分の身を守れるように!」

 

 ここで理事長以外の声が響く。集められたトレーナーの1人、トレーナーとしては新人の男、南条だ。

 

「理事長、お話はわかりました。その上で確認したいことがあります。

 我々がウマ娘相手に逃げ切れると本気で思っていらっしゃるのですか!?」

 

 南条の叫びも当然だろう。最高時速60kmで走れるウマ娘と体は鍛えようと所詮はただのヒトであるトレーナーたちのスペック差は、圧倒的の言葉すらまだ生温い。

 

「不可能! こちらとしてもそれは不可能と判断している。これから君たちの相手となるウマ娘たちが諸君らの担当バなら、即座に確保されるだろう」

「ならなぜ」

「ここに集まってもらったのは諸君らの担当バではない。諸君らとは別のトレーナーに想いを寄せる、諸君らの担当と近いスペックを持ったウマ娘たちだ

 その上に!」

 

 理事長が広げた扇子には達筆で書かれた『契約』の2文字。

 

「彼女たちがこの鬼ごっこに参加する条件として『視界からトレーナーが消えた場合でも捜索をしないこと』、『障害物を撤去しないこと』などの条件をつけた。

そして今学園の敷地内には特殊な気体が散布されている。わかりやすく言うと嗅覚を鈍らせる効果がある。そして相当数の障害物やカメラを設置し、諸君らが身を隠したりこちらが状況を把握しやすいようにした。」

 

「それは…」

 

「極端な話だが、トレーナーを追っていたウマ娘が曲がり角を曲がった時にトレーナーの姿が見えず、そこに人ひとり入れる箱があったとしてもウマ娘はその箱を開けてはならない」

 

「それができれば…」

「あぁ、逃げ切れる可能性はかなり上がるな」

 

 実はこの話には裏がある。学園側は色々な意味で危ない状態のウマ娘を把握することができ、参加ウマ娘は各種の制約があるとはいえ、学園公認でトレーナー確保の訓練ができる。決して悪い取引ではないのだ。

 

「理解しただろうか。それでは今から60秒後、鬼となるウマ娘、『ハンター』を放つ。制限時間は2時間、全力を尽くしてくれ!」

 

 それぞれの想い、秘められた思惑、全てが入り混じるトレセン学園。

 

 Run for Marriage ~逃亡中~が、今始まる!




※浮かばない限り始まりません
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