【完結済み】Run from Mariage 〜逃亡中〜   作:とある物書きMr.R

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アプデ中の暇つぶし向けに初投稿です。


覚悟

『現在トレセン学園全域がゲームのフィールドになっているが、これを時間経過と共に縮小する。縮小開始時点でエリアに残っている者は、トレーナー・ハンターに限らず脱落となるので注意されたし。

 残り時間15分 トレーナー棟周辺エリア

 残り時間10分 体育館周辺エリア

 残り時間5分 グラウンド』

 

 Mission 閉鎖エリアから脱出せよ!

 

 ※※※※※

 

「はぁ……」

 

 メールに書かれていたミッション内容を確認した左右田トレーナーはため息を吐いた。トレーナーという激務をこなす都合上そこらの一般人よりは体力があるとはいえ元々左右田は病弱だった身である。これまでの逃亡劇でもそこまで体力を使わずに立ち回ってきたが、強制的に移動させられるともなればスタミナの消費は避けられないだろう。

ましてや相手はヒトとは桁違いの体力を持つウマ娘だ、多少粘れる他のトレーナー達と違って、左右田の場合下手を打てば明日以降のトレーニングに響いてくる。己が担当ウマ娘達に迷惑をかけられない以上、左右田は頭脳をフル稼働させて対策を練るのであった。

ちなみに左右田の現在地は体育館周辺エリア。残り10分未満で閉鎖される場所である。

 

(時間ギリギリまで粘れば移動の際に不足の事態が発生した時に詰みかねない。

 となれば5分程度時間に余裕を持って移動するのが吉か……

 まさか5分前行動の重要性をこんな形で体感することになるとは)

 

 妙な事になったと口元を歪める左右田の近くに、ハンター。

 

「ッ!?」

 

 幸運にも先にハンターの存在に気が付いた左右田は、とっさに近くにあった大きな物体の傍に身を潜めた。

 

(これは、理事長謹製の重機……?)

 

 コースを整えるためとの理由で突然導入された重機の存在は、色を含めた見た目の派手さや、巨大な重機を動かす小柄な秋山理事長というインパクトも相まって、多くの生徒や教職員、トレーナー達の脳裏に刻まれていた。

 

(これを使えばやり過ごせる! 助かっ……た……)

 

 思考が途切れたのは、予想外の事態が発生したからだ。

 

「Well…… この辺りからトレーナーさんの匂いがするのですが……」

 

 最強マイラー タイキシャトル。左右田に迫っていたのは彼女であった。

 左右田の不幸はこれでは終わらない。

 

「あら、タイキちゃんもここにいたんですね~」

「クリーク!」

 

(なん、だと……?)

 

 永世3強が一角 スーパークリーク。彼女までもが左右田の近くにいたのである。

 今は重機の存在もあって長身の左右田は見つかっていないが、左右田の担当が揃っている今、彼が見つかるのも時間の問題であった。

 

(これは、詰みですかね)

 

 分かってしまった。前後左右、どの方向に逃げても次の瞬間には見つかり、瞬く間に確保されるだろうということが。

 思わず俯く左右田。ここまでか、そう思った時。

 

(あ……)

 

 唯一の活路が、目の前に飛び込んできた。

 

「トレーナーさん、いないデース……」

「おかしいですね…… 確かにこの辺りにいると思うんですが……」

 

(そんなことはありません。左右田はとっくにここから逃げていないんです、だから早くどこかに探しに行ってください……!!)

 

 左右田が見出した活路。それは、重機の下にあった。

 重機と地面の間に、成人男性が潜り込むだけの隙間があることを確認すると、彼はそこに飛び込んだ。

 

 当然だが重機やトラックの後方および下面に入ることは非常に危険であり、事故により命を失う事すらあり得る。今回のゲームのために学園中に設置された障害物などは厳重に固定されており、地震等の非常事態も想定されている事を申し添えておく。

 

 左右田の姿を探し、周囲を歩き回る2体のハンター。

 

(それはルール違反、とは言い切れませんか。彼女たちは『この辺りを歩き回っている』だけですし)

 

 グレーではあるが、確かにルール違反には当たらない。

 刻一刻と迫るタイムリミット。グラウンド閉鎖まで、あと3分。

時計を確認した左右田は、決断を下した。

 

(このままここにいれば、いずれ2人は安全圏に行く。そして他のトレーナーさん方の脅威になる。ならば……!)

 

 残り時間2分。移動する素振りを見せた2人の後ろから、左右田はその姿を現した。

 

「どうも、お2人とも」

「えっ?」

「トレーナーさん!? どこにいたんです?」

「実はこの重機の下に潜り込んでいました」

「エーーーー!!??」

「そんな! 危ないですよ!」

「いやはや、申し訳ない。とっさに体が動いてしまいました。

 さて、これから安全圏に移動したいお2人には申し訳ありませんが、ここで私と時間切れまで付き合ってもらいますよ」

 

 残り時間、1分。

 ウマ娘の脚力であれば容易に安全圏まで脱出できるが、その場合左右田を置いての脱出になる。目の前の2人にそれができない事は、左右田が1番よく理解していた。

 

「……ふふっ。ズルい人」

「コレがオトリ作戦なんデスネ!?」

「えぇ、大人はズルくて欲深い生き物なんですよ?

 

 ――1つと言わず、全てを手に入れたくなってしまう」

 

 瞬間。2人の元へ飛び込んだ左右田は、両の腕でスーパークリークとタイキシャトル、それぞれを抱きしめていた。

 

「!?」

「What!?」

 

「世間体、立場、しがらみ。色々と私を縛るモノは多い。

 それが何だ。

 そんなモノ、君たちを想うこの気持ちに蓋をする理由になんてならない」

 

 ※※※※※

 

 一方、コントロールルーム。

 

「!? 理事長、コレを!」

「感嘆ッ! 左右田トレーナー、漢を見せるか!

 たづな!!」

「はい!」

 

 放送設備のボタンを押す駿川、グラウンド周辺のスピーカーから、音楽が流れだす!

 

 ※※※※※

 

『いいよね? このまま、世界中敵に回っても』

 

「トレーナーさん、その、いいんですか?」

「トレーナーさんがワルモノみたいに言われたりして……」

「構わないし、そんな声はこれまでの実績で黙らせるとしましょう」

 

『いいよね? このまま

 離さない 譲れない 逃がさない 渡さない』

 

「私は――自分で思っていたよりワガママなようです」

 

『ドキドキってもっと Phantasia 手を伸ばし、掴もう』

 

「トレーナーさん……」

「トレーナーさぁん」

 

『キュンとギュッと鼓動が、こんなに苦しい

 ねぇ、やっと逢えたこの時 素直にありがとう

 ずっとずっと待っていた 私は Flowering phantasia』

 

「クリーク、タイキ

 愛しています」

『ありがとう』

 

『左右田トレーナー、スーパークリーク、タイキシャトル エリア縮小により失格』




彩 Phantasiaって、ウマ娘→トレの時点で見ても愛が重バ場だけど、トレ→ウマ娘として見ても覚悟ガン決まりだよねっていう。

感想もすっごい嬉しいけれど、評価も押して?南条トレーナーがなんでもするから。
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