【完結済み】Run from Mariage 〜逃亡中〜   作:とある物書きMr.R

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担当バとの距離感を見誤りうまぴょいの危機に瀕したトレーナー達。
彼らの明日はどっちだーー??


Mission

(どうしてこうなった……)

 

 男は思考する。人生で誰しも1度は考えるであろうその問いを、男もまた自らに対してい投げかけていた。

 男はトレーナーである。思い返しても死ぬんじゃないかというほどの努力の末、中央のトレーナーバッジを勝ち取ったのは数年前。ベテラントレーナーの元で下積みをし、この度ようやく初めての担当と共にトゥインクルシリーズを駆け抜けたばかり。URAファイナルズの決勝戦こそ同期でライバルな桐生院トレーナーとその担当バであるハッピーミークに敗れ2着となったものの、新人トレーナーとしては相当優秀な男だった。

 

(一体何を、どこで間違えた……?)

 

 記憶を辿れど、思い当たる節は無い。

 男は、彼の担当バであるスペシャルウィークと適切な距離感を保っていると本気で考えていたのだ。

 

(だいたい、ありえないだろ。俺はあの娘を勝たせてあげられなかった。トゥインクルシリーズ最後の大一番、URAファイナルズ決勝のあのターフ。最後の直線でスペの末脚をもっと活かすことができたはずなのに……ッ!?)

 

 思考を強制的に遮断。息を殺し、柱の影に身を隠す。

 今の彼は逃亡者であった。そして彼の視線の先に、ハンター。

 

(あれは……スペのクラスメートだったか? 名前はなんて言ったっけか)

 

 余計な思考が混ざったのがいけなかったのか、物陰として使っていた金属製のロッカーにつま先がぶつかり、コツンと音が鳴る。その音は無人の校舎に、大太鼓のように響いた。

 

(マズい!?)

 

 頭の半分程度を出してハンターの様子を伺っていたのが幸いし、男はハンターが振り向くより早く首を引っ込めることに成功した。

 しかし男は気づく。見つかったのならダッシュで近づいてくる足音が、離れていくなら遠ざかる足音が聞こえるはずなのに

 

(何も、音がしない。探してるのか……!?)

 

 そう。全くの無音なのである。こうなると逃亡者である男は身動きがとれない。ハンターとの距離は30メートルほどか、しかし直線でヒト男がウマ娘に勝てる可能性など文字通り万に一つも無い。

 男は後ろを振り返る。20メートルほど先に階段が見えた。

 

(あのハンターがこっちに来るようなことがあれば、全力であの階段まで逃げる。で2階に駆け上がり目についた障害物に即座に隠れる!)

 

 加速する思考。耳が痛いほどの無音。この鼓動はハンターに聞こえてないだろうか。

 永遠にも思える時間は、実際には10秒にも満たなかった。

 コツ、コツ……

 

(離れてく! 助かった!)

 

 足音が聞こえなくなったのを確認してから脱力。無意識に特大のため息がこぼれた。

 

 プルルルル! プルルルル!

 

 メールだ。男は階段方面へ駆け出した。

 

 ※※※※※

 

 一方、トレセン学園内のゲームエリア外に設置されたコントロールルーム。

 そこでモニターを見つめる存在があった。

 

 

「おー、トレーナーさん危ないところでしたね!」

「機敏! あとコンマ数秒反応が遅れていたら発見されていたな」

「うーん、でもトレーナーさん逃走ルートは確保していたようなのでもし見つかっても大丈夫だったと思います」

「そうなんですか? 流石ですね、スペシャルウィークさん」

 

 そこにいたのは、ゲームマスターである秋山理事長。その補佐を務める駿川たづな、そして今まさに危機を乗り越えた男の担当バであるスペシャルウィークであった。

 

「ではそろそろ準備をお願いしますね」

「はいっ! けっぱって行きますよー!」

 Mission スペシャルウィーク参戦を、阻止しろ!

「スペ!? そんな、なんで、理事長は参加しないって……あっ!」

 男は思い出す。

 

『不可能! こちらとしてもそれは不可能と判断している。これから君たちの相手となるウマ娘たちが諸君らの担当バなら、即座に確保されるだろう』

『ならなぜ』

『ここに集まってもらったのは諸君らの担当バではない。諸君らとは別のトレーナーに想いを寄せる、諸君らの担当と近いスペックを持ったウマ娘たちだ

 その上に!』

『彼女たちがこの鬼ごっこに参加する条件として『視界からトレーナーが消えた場合でも捜索をしないこと』、『障害物を撤去しないこと』などの条件をつけた。

そして今学園の敷地内には特殊な気体が散布されている。わかりやすく言うと嗅覚を鈍らせる効果がある。そして相当数の障害物やカメラを設置し、諸君らが身を隠したりこちらが状況を把握しやすいようにした。』

 

 そう。

 理事長は一言たりとも参加トレーナーたちの担当バが参加しないとは言っていないのである。

 

(クソッ、やられた。これもしかして理事長たちもグルなのか……?)

 

 

 思考も体も止めずに男は走る。後方からの足音は聞こえないが、先ほどの着信音がハンターに気づかれた可能性を考慮し、あらかじめ立てておいた逃走ルートを移動していたのだ。

 

「ハアッ……ハアッ……ここまでくれば大丈夫か?」

 

 

 周囲を確認。ハンターもトレーナーの姿も無し。腕のケースに入れたトレーナー専用端末を確認する。新着メールを開くのがここまで怖いのは初めてだった。

 

「『校内にスペシャルウィークハンターを格納したハンターBOXを設置した。残り時間が90分になるとハンターBOXが解放され、URAファイナルズ決勝で好成績を残すなど活躍したハンターが解き放たれる。

トレーナー諸君は校内を捜索し、暗証番号が書かれた4枚のカードを見つけハンターBOXをロックしなければならない』……はぁっ!?」

 

 トレーナー達の身に危機が迫る!




なんか続いたでござる
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