【完結済み】Run from Mariage 〜逃亡中〜   作:とある物書きMr.R

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Mission②

Mission

 

『校内にスペシャルウィークハンターを格納したハンターBOXを設置した。残り時間が90分になるとハンターBOXが解放され、URAファイナルズ決勝で好成績を残すなど活躍したハンターが解き放たれる。

トレーナー諸君は校内を捜索し、暗証番号が書かれた4枚のカードを見つけハンターBOXをロックしなければならない』

 

 逃亡中のトレーナー達に届いたメール。そこに記されていたのはトレーナー達の今後を大きく左右する内容だった。

 ハンターに確保されるリスクを払いながらも、強力なハンター放出を阻止するのか、それともゲーム終了まで隠れ続ける安全策を採るのか、トレーナー達の判断が試される!

 

 ※※※※※

 

 スペシャルウィークの担当である男、南条は誰よりもこのミッションを成功させ、ハンター放出を阻止しようと考えていた。

 

 

(スペの事は俺が誰よりも分かってる。あの末脚は当然だが厄介なのは驚異的なスタミナ! 逃げたところで隠れられなければあっという間に捕まるのは明らか。それにここに撒かれている匂い消しがどれ程の効果があるかは知らんが、掛かるほどヤバい状態のウマ娘が自分の担当トレーナーの匂いを嗅ぎ分けられないとはどうしても思えない……!)

 

 ちなみに南条トレーナーが担当であるスペシャルウィークに恐怖を抱いた瞬間はURAファイナルズ決勝後、彼女に実家のある北海道に一緒に行き育ての母と実の母、二人に会って欲しいと頼まれた時であった。

 もちろんそれも大概重いのであるが、彼女のロッカーからはみ出ていたずた袋、そして数日前に購入を頼まれた『成人男性でも体を縮こまらせれば入れる』ほど大きなキャリーケースの存在が脳裏をよぎれば、脳内の危険信号が点滅するのは当然であった。

 それに加え。

 

「お母ちゃんたちに南条さんのことを紹介したいんです! この人のおかげで私は夢を叶えられた。とっても大切で、特別な人なんだって、これからもずっとずっと、そばにいたい人なんだって!」

 

 ちなみにハイライトはとっくに出走済みである。異次元の大逃げであったと南条は後に振り返った。

 

(スペの事が嫌いとかそんなんじゃない。けど『うまぴょい』はなんかこう、違うだろ……!)

 

 南条は駆ける。己がプライドと未来を賭けて!

 

※※※※※

 

 南条をはじめ一部のトレーナーがミッションに動く一方で、ハンターに遭遇するリスクを嫌った者も存在した。

 彼の名は長山。トレーナー歴15年にもなるベテランで、このゲームはレースに似ていると判断していた。

 

(ゲーム開始からまだ30分も経っていない。今動いて余計なスタミナを消費するのは後半に響く。ここは若い連中にまかせて体力を温存するのが吉だな)

 

 20代のトレーナーと比べれば体力面で劣る部分はあるが、それでも積み重ねてきた経験が確かなことは、彼のトレーナー室に展示されている多くのトロフィーが物語っていた。

 

(ここに隠れてそろそろ20分、ここが使えなくなった時のために潜伏先は多いほうが良いか……)

 

 男がそう考え、行動を起こした時だった。

 

「あっ……」

 

 見なくても分かる、圧倒的な存在感。いつも傍で見続けてきたが、本当の意味で追われる立場になったのは流石にこれが初めてである。

 ヒトが走る時の足音はせいぜいタッタッタという程度。しかしウマ娘が駆け出せば脚音に濁点が付く。

 

「あぁチクショウ!」

 

 見つかった。

 

(この脚音の感じなら相手との距離はだいたい50メートル、上手くやれば逃げ切れない距離じゃねぇ!)

 

 ハンターに発見された時の逃走経路はある程度考えていた男だったが、脚音は男の想定より早く近づいてくる。

 

(もう少し、あそこまで行けば、あそこまで行ければ……!)

 

 慣れない状況、圧倒的強者から叩きつけられるプレッシャー。男にはこれ以上無いほどのデバフがかかっていた。

 そんな状態の中年男性が現役アスリートであるウマ娘に勝てる道理など、無い。

 

「のわあああぁぁぁぁぁ!!」

 

 長山トレーナー確保 残り9人。

 

 ベテランでも、ゲームに絶対は無い。

 

※※※※※

 

「『長山トレーナー確保 残り9人』、あちゃー」

 メールを確認した一人のトレーナーから、ため息がこぼれた。

 彼女の名は宮本。彼女もまたスペシャルウィーク解放阻止のために動いている1人であった。

 

(しかしおっかしいなぁ、私とあの娘は同性だし、第一あの娘特に危ない素振りなんて無かったんだけどなぁ)

 

『掛かりウマに障害無し』。トレセン学園の関係者なら誰もが知る言葉である。当然彼女も気を付けていたし、担当バであるクレイジーインラヴとの距離感に気を使ってもいた。

 

(今思い返しても特に変なことは無かったよね? ……安心するからって尻尾絡ませてきたり、オススメされた女の子同士の恋愛小説は結構面白かったし、温泉旅行は楽しかったなぁ)

 

 無自覚とは恐ろしいものである。

 

(さて、メールに添付されてた地図にはこの体育館に暗証番号が書かれたカードが1枚あるはず……あれかな?)

 

 見ると体育館の中心部にこれ見よがしなテーブルと宝箱が設置されている。

 

「へぇ~結構本格的なんだねぇ」

 

 ぼんやりしているようにも思える宮本ではあるが、思考しながらも周囲の警戒は怠っていない。だからこそ、体育館を出た彼女はこちらに駆けてくる足音に気づき、即座に隠れられたのだった。

 

「ハァッ……フゥ。まずは体育館っと」

 

 南条だ。

「あ、南条さんでしたか」

「宮本さん。宮本さんもミッションですか?」

「はい、ここのカードはゲットしましたよ」

「ありゃ、無駄足でしたか」

「ここから次に近いのはグラウンドですかね」

「そうですね、そっち行ってみます」

「気を付けてくださいね~」

 

 ミッション達成のため学園内を走り回るトレーナー達。しかしそれは、ハンターに発見される、リスクを伴う!




思いついたので投下
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