【完結済み】Run from Mariage 〜逃亡中〜   作:とある物書きMr.R

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トレーナーとは

「『南条トレーナー確保 残り8人』何やってんだろあの人……」

 

 物陰でメールを見ながらため息をついたのは小宮トレーナーだ。

 先ほどまでミッションのためとはいえ少々大胆に動きすぎていたことを自覚している彼女は、しばらくの間リスク低減のため潜伏することを決めていた。

 

 

彼女がいるのはチーム棟が立ち並ぶ区画。建物と木立が程よくあり、かつ校舎方面から向かってくる存在を見張るには最適の場所だった。

 

だからこそ。

 

「おや、見回りしている間にお客様がいらしていたとは」

 

 後ろからかけられた声に、小宮はその場で飛び上がった。

 

 ※※※※※

 

「いやはや、大変失礼いたしました。まさかあれほどまで驚かせてしまうとは」

「いえ、こちらこそ失礼を……」

 

 少しして、チーム棟周辺の物陰で頭を下げあうトレーナー2人の姿があった。小宮を驚かせた側のトレーナーの名は左右田(そうだ)、190センチ近い長身に冷たさすら感じる顔立ち、どこか陰のある雰囲気も相まって、初対面の相手にはまず警戒される悲しい宿命を背負った男でもあった。

 

「突然私のような男に背後から声をかけられれば誰だって驚きます。配慮が足りず申し訳ありませんでした」

 

 しかし彼と少し交流すれば、彼が見た目から連想するような冷酷な男ではない事はすぐに分かるだろう。少し交流する所までなかなかいかないのが最大の問題なのだが。

 

「左右田トレーナーはずっとこちらに?」

「えぇ、本当は先ほどのミッションにも挑戦したかったのですが、私はスタミナが足りないので……」

 

 自嘲気味に笑う左右田だが、中央のトレーナーとしてはスタミナが足りないという意味であり、しかも彼の武器は多少のスタミナ不足など問題にもしなかった。

 

「ちなみに左右田トレーナーはこの後の展開をどう思います?」

「推測の域を出ませんが、ミッションが3つ。内容としてはハンター放出の阻止およびハンター削減に向けた取り組み、最後あたりに脱落したトレーナーの復活チャレンジといった所でしょうか」

 

 左右田トレーナーの最大の武器。それは頭脳であった。

 幼少の頃、身体の弱かった左右田は身体を動かす遊びをほとんどしたことがなかった。だが自分もみんなと遊びたい。自分があの遊びをするならこうするのに、そう来る日も来る日も考え続けた。

気が付く頃には複数の運動部で参謀を任されていた。どのような陣形で、どのような順番で、どのような戦法で。複数のスポーツのルールを当たり前のように理解し、戦術を組み立てる彼の頭脳は、強豪の大学やプロチームからお金を払ってでもウチに欲しいと言われる程のもので。

 

それでも彼はトレーナーを目指した。高校生の頃から独学でトレーナー試験の勉強をこなし、スポーツ医学を始め必要な知識を片っ端から脳に刻み込み、中央トレセン学園でも数少ない高卒でのトレーナー試験合格者となった。

彼の原点は、立脚点は、病室の窓から見た、楽しそうにかけっこをする子どもたちの姿だったから。みんなと一緒に、それが叶わなくてもできるだけ近くで、あのキラキラした輪に入りたかったから。

 

「クリークさんやタイキさんはこんな私のどこが気に入ったんでしょうかねぇ」

「えぇ……(ドン引き)」

 

 左右田の頭脳は、彼の担当バであるスーパークリークやタイキシャトルが彼に想いを寄せている事を理解していた。だが理解はできたが納得ができない。自分のような日陰者が2人のようなキラキラした女性に好かれる要素など無いと心の底から思っているし、彼女たちを支えてきたのはあくまでトレーナーとしてであるし、それだって巡り巡って自分のためなのだと考えてもいた。

 

 トレーナーとして見るなら、ステイヤーとマイラーを同時に指導して結果を出させるバケモノであるし、怜悧な普段の面と時折見せるギャップ、例えば猫舌な上に甘党なため、冬のコンビニではホットココアを購入し、チビチビ飲んでいる所や、実は飼い猫の写真を待ち受けにしている所などまさにギャップのあるスパダリな左右田にすっかり夢中になってしまったというのが真相であった。

 

 ちなみにトレーナーは総じて顔が良い。別に容姿で合否が左右される訳ではないが、ハイスペックな人間は容姿もハイスペックな事が多かった。救いは無かった。

 

 警戒しながらも談笑していた2人の携帯が、メールの着信を告げる。

「これは……」

「おそらくはミッションでしょうね」

 

「『Mission ハンター大量放出を、阻止せよ!

 プール棟にハンターBOXを設置した。残り時間が45分になると開放され、合計20体のハンターが放出される。

 これを阻止するためには、学園内4か所に設置した認証カメラに、2人以上で顔認証を行わねばならない。

 カメラ1か所の認証につき5体のハンターが削減され、ミッション達成でハンターの開放は無くなる。

 なお、1度認証したトレーナーは再度認証することはできない』……えぇぇぇぇ!?」

「これはまた……」

 

 8人のトレーナーに、最大の危機が迫る!




某人気番組あるあるの大量放出阻止ミッション

書き溜めしようとした途端に思い浮かばなくなったので思いついたら投げる方針に戻します
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