【完結済み】Run from Mariage 〜逃亡中〜 作:とある物書きMr.R
結論から言うと、追加で1人のトレーナーが確保され、ミッションは失敗した。
『ミッション失敗 4か所中2か所での撮影がされたため、10体のハンターが削減され、残り10体のハンターが放出されることになった』
そして、プール棟では10人のウマ娘、否、10体のハンターが出走の時を待ちわびていた。
彼女たちが入っているハンターBOXは箱というよりもレースで使用されるゲートのようであり、その形状からハンター達のやる気を大いに向上させていた。
「トレーナーをゲットするのは、私デース!」
「あらあら、タイキちゃん張り切っているわね~」
「イエース!」
すでに好調から絶好調の間にある彼女たちのやる気、それを天元突破させるが如く天井のスピーカーからあの曲が流れ始める。
『う~ すきだっち! う~ うまほい!』
『うまぴょい伝説』。本来であれば数千人が在籍するトレセン学園の頂点、URAファイナルズ決勝の舞台でなければバックダンサーすら務められないこの曲が流れるとあっては、ウマ娘ならやる気が湧かない方が難しい。
そしてゲートに入るハンターの中には、左右田トレーナーの担当バであるスーパークリークおよびタイキシャトルの姿もあった。2人ともハンターの制服である黒いスーツ・サングラスを着用し、気合十分といったところである。
そして数秒のイントロの後、ドライアイスの煙が勢いよく放出され、同時にゲートが開く。
『キミの愛バが!』
放射状に走り出す10体のハンター達。興奮と高揚で一部のハンターの周りにはオーラの様なものすら立ち上っていた。
彼女たちは走る。瞳に映る、勝利(うまぴょい)だけを目指して……
※※※※※
ハンターが放出された頃、宮本と左右田は潜伏場所と決めていたチーム棟周辺にいた。
「ハンターが10体も追加投入されたら私たちに勝ち目なんてないですよ……」
「ちょっとどうすればいいか分かりませんね……
残り時間が45分ほど、いくらトレセン学園が広いといえど既に1時間以上動き回った我々と今スタートしたばかりのハンターでは勝負にすらならない。最初にいたハンターが2体、スペシャルウィークさんが投入されて3体、そして今10体追加されて合計13体……おそらく今から10数分でまた何人か捕まるでしょうね」
「そんなぁ……」
「残り5人の我々としては、捕まるトレーナーが1人でも少ない事を祈るのみですね。
私がゲームマスターの立場なら、ハンターの数とトレーナーの生き残りの数で調整を入れるのですが、これは私の願望になるでしょう」
現実は非情である。残り5人になったトレーナー達に、13体ものハンターが襲い掛かる!
※※※※※
「過剰! やはり先ほどのミッションはやりすぎていたようだな」
「そうですね、試算になりますが現状のままですと残り20分程度でトレーナーさん達は全滅するでしょうね」
「それはいけない、次のミッションは本来ならもう少し時間を置いてから発動する予定だったが、それなら少し前倒しするとしよう!」
※※※※※
左右田の予想は的中し、残り時間30分になるまでにさらに2人のトレーナーが確保された。残り3人になったトレーナー達にできることは、それぞれの潜伏場所でハンターに見つからないよう祈るだけであった。
Prrrrr!!
メールだ。宮本が内容を確認する。
「『トレーナー諸君に朗報だ。現時点を以て全てのハンターの活動を停止し、また学園各所にアイテムBOXを設置した。
アイテムBOXの中にはトレーナー復活カードまたはハンター凍結カードが入っており、それぞれのカードに記載されているコードを校舎正面に設置した入力パネルに入力することで既に確保されているトレーナーを復活させるか、エリアに放たれているハンターをゲーム終了まで行動停止させることができる。
アイテムBOXはゲーム終了まで設置し続けるが、ハンターの活動が停止しているのは残り20分までの間だけである。諸君らの奮戦に期待する』……あと10分ちょいしかないじゃないですか!」
宮本の叫びに対して、左右田の判断は早かった。
「宮本さん、ここからは別行動にしましょう。私は今から校舎正面に向かい、入力パネル前で待機します。宮本さんには申し訳ないのですが、学園内を捜索し、凍結でも解放でもカードを見つけ次第私に電話してコードを伝えてください」
「え、もう攻略法見つけたんですか!? ……でも分かりました! もう一人のトレーナーにも出会えたら伝えますね!」
「お願いします」
別行動に移る2人のトレーナー。潜伏場所から移動してすぐに複数のハンターを見つけて冷や汗を流すのは別の話で
ある。
※※※※※
少し息を切らせた左右田が校舎前に到着する。タッチパネルに向かいながらも左右田は口を開いた。
「貴女達がここにいるとは、少し驚きです。クリークさん、シャトルさん」
「トレーナーさん、お疲れ様です。私、勘は良いほうなんです」
「ハウディ―! トレーナーさん、少し疲れているみたいデース」
「そうですね、流石に少し疲れました。私は肉体労働は専門外なんですがねぇ」
「それならこっちに来てください、私の膝ではありますが少し休めますよ?」
「ワタシも貸しマース!」
「あぁ、それはとても魅力的ですねぇ。でもそれはこのゲームが終わった後にしましょうか。
……お2人の気持ちは分かっていたつもりでした。大前提になりますが、トレーナーとしてその想いには応えられません。ですが、どうしても分からないのです。お2人は素敵な女性です。私のような根暗にはもったいないとすら言えます」
「トレーナーさん、それ以上は『めっ』ですよ?」
「そんな事言われたら、ちょっと怒りマス!」
「……本当に、私は恵まれていますね。
それはそうと、このゲームには勝たせてもらいますよ」
「少しはほだされてほしかったなぁ、なんて」
「Booo、いけずデース」
「貴女達ウマ娘と同じくらい、私達トレーナーという生き物も勝ちにこだわるんですよ」
残り3人にまで減少したトレーナー達にとって、最後にして最大のチャンス。活かしきることができるのか!?
掛かり状態のダスカ(成人済み)に押し倒された状態のトレーナーが頭ポンポン発動したらどうなるんだろうという妄想。