戦場3日目の朝、屍剣士ちゃんが所属する部隊は怒られていた。
神官を怒らせて帰らせたのだ。当たり前と言えば当たり前。
お前ら(上官)が命令したんだろ!と言いたくなった部隊長のだったが部隊のために我慢した。
彼は感情をコントロールできる男なのだ。
「ヘイ!アーミー達!ナイトプール!」
「さー。ないとぷーる。」
部隊による夜襲作戦することが決められた瞬間である。
ファンタジー世界における夜襲は自殺に近い。
夜は死の神の世界だ。
瘴気渦巻き、ゾンビやゴーストが闊歩する世界を生身の人間が進軍するのは危険だ。
懲罰的な作戦で部隊の士気は最悪だ。
「やべえよ、夜の戦場とか死ねって言われてる様なもんだよ。」
「くそお!死にたくねえ!」
「へー、そうなんですねー。」
部隊の面々とは違い屍剣士ちゃんは平常運転だ。
夜に活動できる事を喜んでいる節もある。
既にお昼寝体制に入っているくらいだ。
「おやすみなさーい……ぐぅ。」
「なんてたまだ……。」
「こんな娘っ子が勇気出してんだ!俺達もやるぞ!」
「「おおー!」」
運が良いことに勘違いされた屍剣士ちゃんのお陰で部隊の士気が上がった。
これなら作戦成功間違いなしだろう。
─そして夜、屍剣士ちゃんの部隊は味方の陣を抜け、敵陣に向かう。
士気が上がった様に見えたがみんなブルっており、先頭は屍剣士ちゃんが行く。
進んでも進んでも何故かアンデットに襲われない。
それどころか後ろからついてくる兵士の数が明らかに増えていた。
ファンタジー版百鬼夜行。やられた側はたまったものではない。
敵陣へのゾンビアタックが決まり、屍剣士ちゃんの部隊は無事生還を果たした。
それどころか敵の指揮官の大半を討ち果し、敵軍は今や青色吐息だ。
兵士が死ぬ度に兵士が増えるのだ。意味が分からない。
敵軍に勝ち目などなかった。
「ヘイ!ブレーブラッキーガール!サンキュー!」
「さー。さんくゆー。」
屍剣士ちゃんのいる部隊は一躍時の人である。
夜襲を成功させ、勝利を齎したからだ。
屍剣士ちゃんは先導こそしたものの、鈍いためあまり活躍は出来なかった。
味方の部隊とアンデットが全部やってくれました。
キルスコアは堂々のゼロ。
それなのに屍剣士ちゃんはやりきったと言う顔をしている。
まあ先導してくれたから良いかとなっているのは部隊のみんなが気が良い奴ばかりだからだろう。
もしくは最初ブルって少女を先頭に立たせたからか。
そんなことは露知らず、屍剣士ちゃんは絶賛調子乗り中だ。
ふんぞり返って、後ろ向きに転がっている。
そして、4日目の朝、敵軍の降伏で戦争は終わった。
屍剣士ちゃんの正式なKDレートは驚愕の0/0。
いても居なくても変わらないレベルである。
前線に立っていてこれだ。ある意味で貴重だ。