戦争は終わった。後は帰るだけだ。
屍剣士ちゃんと部隊は戦場近くの町の酒場で戦勝会を行っている。
「「「「乾杯!」」」」
「かんぱーい。」
一拍遅れて屍剣士ちゃんの乾杯の声が聞こえる。
飲食は必要ないが飲食は出来る。何と都合の良い体か。
毒も効かないので蟒蛇(うわばみ)の如く酒を喰らう屍剣士ちゃん。
周りはそれを見てどんちゃん騒ぎだ。
生きて帰ってこれたので何でも楽しいらしい。
夜が明け、部隊の面々はそれぞれ帰路に着いた。
屍剣士ちゃんは暫くこの町に残るらしい。
あまり他の町に来ることがないので観光がてらギルドで働くとのことだ。
◆
「えー、仕事ないんですかー?」
「仕事が欲しかったら朝早く来てください。」
「そんなー。」
今日も今日とて屍剣士ちゃんは仕事を受けられないでいた。
戦争後だから沢山仕事があると高を括っていたが、考えることはみんな同じ。
沢山の冒険者が戦場近くの町に集まっていた。
「しーごーと、しーごーと、しごとがないー。」
「そこの人、ひと働きしませんか?」
「はいー、どんな仕事ですかー?」
「戦場の掃除です。まあ死体集めて燃やしたり、武器とか防具を拾ったりですね。」
「んー、なんでギルド通さないんですかー?」
「手数料掛かるので。これ軍からの委託書です。」
結局、屍剣士ちゃんは戦場に後戻りだ。死体を集めては燃やし、集めては燃やし、
結局1週間は戦場に滞在した。
戦争してた時よりも長い時間戦場にいる謎の現象だ。
みんなの働きもあってか戦場は清潔になった。
戦後に怖いのは死体による疫病とアンデットによる襲撃だ。
それを防ぐ意味で戦場の掃除は重要なのだ。
「皆さん、お疲れ様です。報酬を渡しますのでお並びください。」
「はーい。」
戦争の時よりも活躍した屍剣士ちゃんはどこかやりきった表情だ。
除隊時に貰った報酬よりも袋が重い気がする。
みんなホクホク顔だ。
「あーそれと、この剣誰かいりませんか?」
見るからに禍々しい剣が鎮座していた。
恐らく魔剣の類であろうが明らかに呪われている。
冒険者は命知らず。命知らずだが明らかな地雷は踏まない。
しかし、ここには地雷を踏む者がいた。
そう我らが屍剣士ちゃんだ。彼女には呪いも効かない。
当然呪われた剣だろうが何だろうか何でも御座れだ。
愛用のなまくらの切れ味が最近悪いらしいので新調したかったらしい。
「はーい、欲しいでーす。」
「おいおい、やめとけよ顔色の悪いお嬢ちゃん。」
「そうだぜ、もっと顔色悪くなっちまう。」
「待ったなしですよ!はい!そこの女剣士さん!持ってってください!」
「やったー、ただで剣貰っちゃったー。」
屍剣士ちゃんが剣を持った瞬間、みんなは蜘蛛の子を散らす様に遠くに逃げていった。
呪われた魔剣持ちの剣士。
字面は格好良いが持ち主はのろまの屍剣士ちゃんだ。
きっと大した剣戟はなく、後ろから敵を刺すために使われるだろう。
魔剣が活躍するのはまた別のお話で。