「どこだーここー?」
─屍剣士ちゃん、絶賛迷子中。
新しい剣を手に入れてウキウキの屍剣士ちゃんは自分の町に帰ることに。
来る時は馬車で来た屍剣士ちゃん、道は覚えたのでお散歩がてら歩いて帰ることを選択。
それが間違い、勘違い。
哀れ屍剣士ちゃんは道を逸れて、深い森の中に迷い込んでいた。
◆
道に迷ったらその場から動かない─、これは遭難時の鉄則である。
しかしここはファンタジー世界、貴人でもない冒険者が1人いなくなったところで
捜索隊が出る訳でもなく。
つまりは、自分の力で何とかしないといけない。
この前の依頼では都合よく先達(ガイド)が雇えたのと地図が合ったので
迷うことなく遺跡に行けた。
帰りは先達はいなかったが地図が合ったのでノロノロと帰り着くことが出来た。
今回は何もない。屍剣士ちゃんただ1人だ。
決して死なないが町に戻ったら1年過ぎていた事態にこのままではなりかねなかったのだが、
ここはご都合主義の世界、運Aの力がそんなことは許さなかった。
「おー、煙が上がってますねー。」
煙が上がっている場所に向かって歩く屍剣士ちゃん。
その姿は火に群がる羽虫の様だ。
深い森の中で煙が上がっていたら、それは高確率で人ではない。
小鬼や豚人などの亜人だ。
稀に理性がある者もいるが稀である。
「こんにちはー。」
「?!誰だお前は!?」
「えーと、迷子ですー。」
運が良いことに火を焚いていたのは話の通じる森人(エルフ)だった。
入れ墨が沢山で明らかにカタギではないが……。
稀な方を引いた屍剣士ちゃんであったが、森に潜む理性のある者は大体犯罪者だ。
この者も例に漏れず犯罪者だった。
「迷子ー?シッシ!早くどっか行け!」
「えー、道教えてくださいよー。」
「あっちに行けば集落がある。そこでまた道を教えて貰え!」
「あっちですかー?ありがとーございますー。」
「そっちじゃねえよ!向こうだ向こう!」
すっかり警戒心の解けた森人は親切なことに集落まで案内してくれた。
何でもやばい薬のバイヤーをやっているらしい。
集落は昔からやばい薬の製造工場とのことだ。
そんなこと自分に教えて良いのかと聞く屍剣士ちゃん。
お前はアホだから大丈夫だと言う森人。
出会って間もないのに大した信頼である。
間違ってはいないだろうが……。
「と言うことでこいつを街道まで案内してやってくれ。」
「突然だね薬売りの旦那。」
「お願いしますよー。」
「仕方ねえなあ。鈍そうな姉さん来な!案内してやる!」
「すまねえな!」
「良いってことよ!」
ラッキー!屍剣士ちゃんは街道までの道案内を手に入れた。
無事に帰れると良いね。