3人は来た道を戻る。多分正しい道を戻ってる筈だ。
さっきからコロコロと石が転がる音がする。
屍剣士ちゃんのポッケから鉱石が落ちる音だ。
当たり前だが角張った鉱石をポッケに入れればその内破ける。
屍剣士ちゃんの知能は幼児並みかも知れない。
「こっちで合ってるよな?」
「合ってるはずだぜ。」
「あってますよー。」
「……不安になってきたわ。」
「奇遇だな、俺もだ。」
◆
来た時間の倍は歩いたがまだ縦穴の出入口に着かない。
3人は迷った。それも凄く。
ある意味で毒ガスよりも怖いもの、それは迷子だ。
周りの風景は変わらず、全て同じ道に見える。
動けば動くほどドツボにハマる。
3人は無限地獄に入った。
◆
─マッチョの日記。
縦穴に降りて3日目、まだ出口につかない。
食料と水は残り僅か。カナリアを食べるしかない。
5日目相棒の気が狂った。嬢ちゃんは。相変わらずだ。
怖いはずなのに勇ましい。無事に出れたら謝ろう。
─7日目。
「うーん、重たいですー。」
奇跡的に縦穴の出口に到着した屍剣士ちゃん。
屍剣士ちゃんに背負われてマッチョも無事だ。
数ヶ月に及ぶ穴掘りで屍剣士ちゃんもマッチョになっていたのだ。
ひと2人くらい背負って歩くくらい訳がない。
マッチョは衰弱していたが、命に別状はなかった。
背嚢の鉱石も無事だ。しかしポッケは穴ボコ。成果はゼロだ。
◆
結局、タダ働きになった屍剣士ちゃん。
今日もツルハシを振るい、穴を掘る。そして怒られる。
自由に眠れないのは不満だが真面目に働いている。
そして気付いた。別にここで働く必要がないことに。
「なにー?仕事を辞めたいだと!?」
「はいー、もっと楽したいのでー。」
「そうか、そんな仕事あったら俺にも紹介してくれ。」
「えーと、冒険者ですー。」
「ぼうけんしゃあ?危ねえ仕事の代表格じゃねえか!」
「えー、そうでもないですよー。」
「まあ、嬢ちゃん意外と力持ちだから良いのかもな。元気で暮らせよ!またな!」
「ではまたー。」
鉱山を出た屍剣士ちゃんは早速冒険者ギルドに向かう。
自分にあった仕事、1週間で1日くらい働けば良いやつ。
もちろんそんなものはないのだが。
屍剣士ちゃんが紹介された仕事はまた穴掘りだった。
今度は塹壕だ。新魔王軍の魔法攻撃を避けるために塹壕戦を行うらしい。
◆
「あのー?おやすみはー?」
「あーん?戦争終わるまでなしだ!」
「そんなー。」
楽をしようとして墓穴を掘った屍剣士ちゃん。
戦争が集結するのはこれから1年後。
ある意味、新魔王軍復活の原因となった屍剣士ちゃんは必然なのか、
偶然なのか戦争に巻き込まれることになった。