生きろ屍剣士(しけんし)ちゃん   作:おもちぴん様

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屍剣士ちゃん、穴を掘る2

 3人は来た道を戻る。多分正しい道を戻ってる筈だ。

さっきからコロコロと石が転がる音がする。

屍剣士ちゃんのポッケから鉱石が落ちる音だ。

当たり前だが角張った鉱石をポッケに入れればその内破ける。

屍剣士ちゃんの知能は幼児並みかも知れない。

 

「こっちで合ってるよな?」

「合ってるはずだぜ。」

「あってますよー。」

「……不安になってきたわ。」

「奇遇だな、俺もだ。」

 

 来た時間の倍は歩いたがまだ縦穴の出入口に着かない。

3人は迷った。それも凄く。

ある意味で毒ガスよりも怖いもの、それは迷子だ。

周りの風景は変わらず、全て同じ道に見える。

動けば動くほどドツボにハマる。

3人は無限地獄に入った。

 

 ─マッチョの日記。

縦穴に降りて3日目、まだ出口につかない。

食料と水は残り僅か。カナリアを食べるしかない。

5日目相棒の気が狂った。嬢ちゃんは。相変わらずだ。

怖いはずなのに勇ましい。無事に出れたら謝ろう。

 

 ─7日目。

 

「うーん、重たいですー。」

 

 奇跡的に縦穴の出口に到着した屍剣士ちゃん。

屍剣士ちゃんに背負われてマッチョも無事だ。

数ヶ月に及ぶ穴掘りで屍剣士ちゃんもマッチョになっていたのだ。

ひと2人くらい背負って歩くくらい訳がない。

マッチョは衰弱していたが、命に別状はなかった。

背嚢の鉱石も無事だ。しかしポッケは穴ボコ。成果はゼロだ。

 

 結局、タダ働きになった屍剣士ちゃん。

今日もツルハシを振るい、穴を掘る。そして怒られる。

自由に眠れないのは不満だが真面目に働いている。

そして気付いた。別にここで働く必要がないことに。

 

「なにー?仕事を辞めたいだと!?」

「はいー、もっと楽したいのでー。」

「そうか、そんな仕事あったら俺にも紹介してくれ。」

「えーと、冒険者ですー。」

「ぼうけんしゃあ?危ねえ仕事の代表格じゃねえか!」

「えー、そうでもないですよー。」

「まあ、嬢ちゃん意外と力持ちだから良いのかもな。元気で暮らせよ!またな!」

「ではまたー。」

 

 鉱山を出た屍剣士ちゃんは早速冒険者ギルドに向かう。

自分にあった仕事、1週間で1日くらい働けば良いやつ。

もちろんそんなものはないのだが。

屍剣士ちゃんが紹介された仕事はまた穴掘りだった。

今度は塹壕だ。新魔王軍の魔法攻撃を避けるために塹壕戦を行うらしい。

 

「あのー?おやすみはー?」

「あーん?戦争終わるまでなしだ!」

「そんなー。」

 

 楽をしようとして墓穴を掘った屍剣士ちゃん。

戦争が集結するのはこれから1年後。

ある意味、新魔王軍復活の原因となった屍剣士ちゃんは必然なのか、

偶然なのか戦争に巻き込まれることになった。

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