ザクザクと穴を掘る音が聞こえる。
ここは対新魔王軍最前線の数ある内の1つの塹壕。
今日も穴掘り名人達が1cmでも多く進むための塹壕を掘る。
屍剣士ちゃんもその一員だ。
未だ穴掘り上手くらいのレベルだが前よりかはマシだ。
人間対人間の戦争とは違い、魔族との戦争は魔法戦が主になる。
同族との争いを辞め一致団結するためか、基本的に選りすぐりの魔法使いが集まる。
そして選りすぐりの魔法使いが集まると絶えることのない砲撃戦が始まるのだ。
面と面でのぶつかり合い、半端な反魔法装甲では吹き飛ばされるだけだ。
自ずと戦争は機動戦から陣地戦に変わる。
塹壕の何が良いかって魔法が直撃しないことだ。
角度をつければ当たらないこともないが、そんなことをしたら良い的だ。
一斉射撃でお陀仏してしまう。
直撃しなくても死ぬときは死ぬが威力は減衰するのですぐに死の神に面会する確率は低い。
戦争の話に戻るが戦況は人間側が有利になりつつあった。
全人類対一部の魔族の構図になるので、必然長期戦になれば人間側が勝つ。
ファンタジー世界でも実家が太いほうが強いのだ。
◆
「地下道を見つけたぞー!」
「やっとかよ!2年くらい掛かったか?」
「うし!冒険者鉄砲玉軍団出撃!」
「「「「おー!」」」」
「おー。」
ここは人間側の陣地。地下道を掘り当てることに成功し、
新たな作戦を決行しようとしているところだ。
町の古い地図から地下道があることは分かっていたのだが、場所が悪く2年掛かりで
漸く掘り当てることが出来た。
この地下道を使えば魔法を喰らわずに町の中に侵入することが出来る。
ファンタジー世界の町は町というよりも城塞だ。
モンスターや盗賊達の襲撃から守るためそこそこ堅牢な作りになっている。
正面から抜くのは大変だが、地下道を使えば……。
そう言った希望的観測から地下道を使った作戦が建てられた。
作戦は簡単、命知らずの冒険者共をひたすら送り込むというパワープレイだ。
屍剣士ちゃんもご多分に漏れずメンバーの一員である。
「いくぞおらー!」
「いてまえ!」
冒険者達はアホだ。声を出したら奇襲の意味がない。
当たり前だが地下道の存在は魔族に勘付かれ、逆に奇襲されることになる。
不利な状態での遭遇戦となるが流石は命知らずの冒険者達、力押しで状況を打開した。
当初いた30人のうち10人(1人は屍剣士ちゃん)しか残らなかったが……。
「うおーし!敵のボス倒す係と魔法使い倒す係に分かれるぞ!」
「俺は魔法使い倒す係だぜ。」
「俺もだ。」
「わたくしはーボス係ですよー。」
「よし!魔法使い倒す係は9人だな!行くぞ!」
「「「おお!」」」
「おー。……あれー?」
冒険者は脳筋なので割り算ができないし、融通が効かない。
事前に決められた係で進むことになった結果、ボスを倒すのは屍剣士ちゃん1人となった。
ついに魔剣が活躍する時がくるのか?
それはまた別のお話で。