ここは〇〇町改め新魔王城。
魔王を目指して屍剣士ちゃんは走った。(本人基準。)
魔族やら知性のあるモンスターに見られているが味方と思われたのか無視されている。
顔色が悪いし、堂々と表を走って(歩いて)いるからだろう。
屍剣士ちゃんにスパイの才能があるとは……。
屍剣士ちゃんは何の考えもなしに走っている訳ではない。
多分、町長の屋敷に魔王が居るだろうなあというふんわりとした理由で屋敷を目指していた。
そんなあからさまなところに魔王を配置するかと言うとしてないのである。
影武者もとい、対暗殺者用の腕利きが配置されていた。
屍剣士ちゃんなんかデコピンでダウンだ。
◆
「こんにちはー、魔王さんいますかー?」
「居ないから帰って。」
「はーい。」
「本当に帰らないで!」
「えー、居ないんですよねー。」
「いますから!何の要件ですか?」
屍剣士ちゃん対門番だ。今のところは屍剣士ちゃんが優勢だ。
門番は門番で魔王様の本当の居場所を知らないとは新参者だなと変な事を考えていた。
「はいー、殺しにきましたー。」
「わはは!面白い冗談です!まあ良いでしょう、お入りください。あ!失礼のないように!」
「わかりましたー。」
こうしてまんまと偽魔王のところに忍び込んだ?屍剣士ちゃんは偽魔王と対面した。
偽魔王は所謂吸血鬼であった。弱点は聖属性、大抵の毒は効かない、
再生能力……こう聞くと屍剣士ちゃんみたいである。
共通点が多過ぎて悪口みたいになったが屍剣士ちゃんみたいな弱々屍(グール)とは違い、
偽魔王は強々吸血鬼だ。
普通に戦えば勝てない。勝てるはずがない。
「何だお前は?」
「お命ちょうだいー。」
「舐めているのか?血を吸わせろ。」
「えー、美味しくないですよー。」
「いいから。」
「はーい。」
"ガブリ"と首元から血を吸われる屍剣士ちゃん。
暫くして偽魔王がよろめきだした。
何だこれはと喚く偽魔王、駆けつける門番、首元から血を流す屍剣士ちゃん。
場は混迷を極めた。門番に事情を聞かれ、屍剣士ちゃんは正直に答える。
地を飲まれたと。勘違いしがちな門番は食中(しょくあた)りかと考え、門の前に戻ってしまった。
誰もいなくなり、チャンスだと思い、屍剣士ちゃんは剣を抜いた。
屍剣士ちゃんの血(やばい毒)で苦しむ偽魔王の首に一閃。
ついでに心臓にも一突き。さらに一突き。もう一突き。
念には念を入れる屍剣士ちゃん。
魔族は丈夫という事は知っていたので3回刺した。
やがて偽魔王は砂になり消滅した。
屍剣士ちゃんは満足したのか屋敷を出る。
◆
屋敷を出ると門番が話しかけてきた。
先程の吸血行為の詫びをするらしい。
「迷惑かけてすまねえな。あれは本当の魔王様じゃねえんだ。」
「えー、そうなんですかー。」
「ああ、本当の魔王様は墓場にある家に居る。」
「あー、そこ自分の家ですねー。」
「わはは!お前見るからにアンデットだしそうかもな!」
「そうなんですよー。」
のほほんとした会話をする2人。
ちゃっかり魔王の居場所を知った屍剣士ちゃんが次に取る手とは?