生きろ屍剣士(しけんし)ちゃん   作:おもちぴん様

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屍剣士ちゃん、魔剣を振り回す?3

 公開処刑から数時間、士気が大いに上がった新魔王軍は人間連合軍を押し返した。

そのため、地下道がある陣地が使えなくなり、戦争は泥沼化の体を成していた。

屍剣士ちゃんはというと地下道を使って人間に夜襲を掛けるメンバーの一員になっていた。

どうしてこうなった。

メンバーはリッチ、デュラハン、マミー、ゾンビ、スケルトン……そして屍剣士ちゃん。

夢の魔族人間アンデットオールスターだ。

 

「なにー?戦場のアンデットも連れて行くだあ?」

「無理無理、あいつら知性ないからな。」

「そんなー。」

 

 屍(グール)よりも格上なアンデット達は屍剣士ちゃんの意見は無視だ。

彼ら?も一応死の神に仕えるものなので本当は神官の屍剣士ちゃんの方が格上なのだが……。

アンデットに襲われないというメリットだけで敵陣(屍剣士ちゃんの味方)に突っ込む面々。

魔族も基本的に脳筋だ。ファンタジー?中世?世界の教育レベルを舐めてはならない。

頭が良いのは貴族と僧侶だけ。

元冒険者のアンデットなんぞリッチだろうが脳筋だ。

突撃と撤退以外の作戦は存在しない。

 

「うわあ!アンデットの襲撃だあ!」

「神官は何処だ?!なに!後方だと!」

「急いで呼んでこい!」

 

 夜襲はないと高を括っていた人間の陣はてんやわんやだ。

夜は寝るもの、そう決まっている。

奇襲を成功させたアンデット達はそこで終われば良いものを更に敵陣の深くに進んだ。

待っていたのは神官達。

哀れアンデット軍団は全滅した。弱点は少ないがとことん弱点に弱いピーキーな種族なのである。

屍剣士ちゃん?屍剣士ちゃんは足が遅いので被害を免れた。

 

「ひー、待ってくださいー。」

「何だお嬢ちゃん、生存者か?」

「ラッキーだな!アンデットの襲撃から生き残るなんて!」

 

 ちゃっかり元鞘に戻った屍剣士ちゃん。

町の中への襲撃メンバーだったことは誰も覚えていなかった。

元々、使い捨てと思われていたので誰も顔を覚えられていないのだ。

それに襲撃から1日経っても戻らないし、敵の抵抗が強くなったから、

忘れられるのは必然とも言える。

 

 ─夜が明け生者の時間がまたやって来た。

人間連合は押された軍を再構築し、攻勢を強めている。

これなら後数日すれば、以前の最前線まで陣を貼り直せそうだ。

 

 屍剣士ちゃんは相も変わらず穴を掘っていた。

そう遠くない未来、地下道を使った作戦にまた参加させられるだろう。

何で失敗したのに、また同じことやるかって?

誰も覚えてないからだよ。

みんな自分の手柄を上げるために黙って作戦を立案、実行しているんだ。

変なところで頭が回る。指揮官は貴族様だからね、仕方ないね。

頑張れ屍剣士ちゃん。魔剣を振り回すその日まで。

 

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