─戦争は終わった。既に追撃戦にフェーズは移っている。
屍剣士ちゃんもえっちらおっちら、新魔王軍を追いかけている。
追撃戦は騎兵隊、散兵が主になる。
散兵の大半を占めるのは冒険者軍団である。
冒険者はろくな装備を持っていない。つまりは身軽だ。
追撃にはもってこいだ。
防御力はカスなのですぐに死んでしまうが。
◆
「まてまてー。剣の錆にするぞー。」
「はん!ノロマめ!」
「馬鹿が!そいつはおとりだ!」
素晴らしい連携で魔族を打ち取る冒険者達。
ノロマではあるが運Aの力で次々に隠れている敗残兵を見つける屍剣士ちゃん。
冒険者達で嗅覚に優れる者は屍剣士ちゃんを利用するのが良いと判断し、
ダウジングペンデュラムの如く屍剣士ちゃんを酷使した。
屍剣士ちゃんがいるところに敗残兵あり─砂糖に群がる蟻の様に
屍剣士ちゃんを中心に塊が出来ていた。
「ひーん、休ませてくださーい。」
「駄目だ嬢ちゃん、敗残兵を探せ。」
「敗残兵発見装置ちゃん!早く動け!」
「そんなー。」
◆
─森の奥深くに魔族が2人。
1人は新魔王(屍剣士ちゃんが逃した奴)、もう1人は骨牛人だ。
素晴らしき主従、2人は深い絆で結ばれていた。
何か良い雰囲気だが屍剣士ちゃんには関係ない。
冒険者から逸れ、道に迷った屍剣士ちゃんが着実に近付いていた。
屍剣士ちゃんは必死だ。このままだと遭難してしまう。
自分の勘を頼りに進んでいるので正しい道を進んではいないがとにかく必死だ。
そして偶然なのか必然なのか3人は出会うことになる。
「あー、魔族見つけましたー。」
「くっ!ここまでか……。なんだ1人か。牛よやってしまえ。」
「カラカラカラ。」
骨牛人対屍剣士ちゃん。3秒で骨牛人の勝ち!
哀れ屍剣士ちゃんはぺっちゃんこだ。
"フゥ"と息を吐く新魔王。屍剣士ちゃんに背を向ける骨牛人。
立ち上がる屍剣士ちゃん。"えい"と魔剣を振れば骨牛人はなんと真っ二つ。
そして哀れ、灰となる。
─遂に魔剣が魔剣っぽい活躍をした。魔剣の中身も大喜びだ。
「な、なんじゃと!」
「えいやー。」
グサリと新魔王の背中に剣が生える。その数秒後にいつもの使われ方をした魔剣。
屍剣士ちゃんにとっての魔剣はその辺の数打ちと変わらない。
腹をぶち抜ければ何でも良いのだ。
新魔王を倒した屍剣士ちゃんだったが町に戻る手掛かりを完全に失う。
手柄を上げても帰られなければ無意味。
結局、屍剣士ちゃんが町に戻るには3ヶ月の月日を要した。
その頃には戦争の熱狂も消え、当然追撃戦の褒美も貰える訳はなく、
屍剣士ちゃんの頑張りはタダ働きとなった。
持って帰った首も3ヶ月の放浪でボロボロのデロデロだ。
ばっちいので持ってきた屍剣士ちゃんはみんなに袋にされた。
平穏が戻った町で屍剣士ちゃんは何をやらかすのか?
それはまた別のお話で。