今からおおよそ100年前、屍剣士ちゃんに屍が付いていなかった頃のお話。
屍剣士ちゃん改め剣士ちゃんは今と変わらず冒険者をしていた。
今よりかは多少素早いがやっぱりノロノロと仕事をしている。
13歳で冒険者になり、今は15歳でランクは2。
有り体に言えば落ちこぼれだ。
今日も町の中で雑用をさせられている。
本人の愛想が良いので雇用主や買い物客からは気に入られており、
店番としてはそこそこ優秀であった。
じゃあ店番として働けば良いじゃないかと言う話であるが、
それが剣士ちゃんのタダでは転ばぬところ。
毎日働きたくないから冒険者をしているらしい。
基本的に冒険者ギルドに来る町民からの依頼は緊急である。
急な傷病での助っ人や、急なモンスターの出現、普通に働くよりもお賃金は高い。
基本的に月に2日休めれば良い方であるが、寝ること以外趣味のない剣士ちゃんは
出費を最小限に抑えて、週休1日を達成していた。
花の10代の乙女が何をしているのかというところである。
◆
「らっしゃーい、安いですよー。」
「剣士ちゃん、今日も可愛いね。これください。」
「ずるいぞてめえ!変わらず可愛いね!俺にもくれ!」
冒険者はアホだ。若い女の子がニコニコして売り子をしていれば多少高くても物は売れる。
剣士ちゃんは今日も店頭でニコニコ立っているだけで哀れな男達から金をむしり取っていた。
一応剣は持っているのだが売り子として商品を手渡す回数のほうが
剣を振った回数よりも多いことは間違いない。
出来高も契約の内なのでそこそこ稼いでいる。
そんな冒険しない冒険者の剣士ちゃんだが、強制的に冒険せざるを得ない時がある。
迷子探しの山狩だ。
ファンタジー世界に消防や警察はいない。
人探しには何でもやる冒険者が駆り出される。
今回の山狩の対象はお貴族様の三男坊。
モンスター退治に意気揚々とお付きの人と出掛けたが予定の日を過ぎても帰らない。
恐らく貴族の口減らしなのだろう。
知ってか知らずか冒険者達は諦めムードだ。
どうせ見つからないし適当にやろーぜという空気が流れている。
結局、一度頂上まで下から登って、その後、また下まで降りて捜索終了しましょうねという話になった。
良い落としどころだと冒険者達は喜ぶ。
さて、山狩に参加した剣士ちゃんはというと、いつも通りだ。
のほほんとしている。
スリーマンセルで行動することになっているので、死ぬことはないだろう。
みんなそう思っていた。そうはいかないのがご都合主義の辛いところ。
屍になる剣士ちゃんが酷い目に合うのは定められた運命。
「な、何じゃあこいつら!」
「ちっ!見つかったか!おい片付けるぞ!」
「あのー、見てないことに出来ませんかー?」
「なんだあ小娘、できねえ相談だ。」
「そんなー。」
貴族の3男の殺害現場に出くわした、剣士ちゃん含むスリーマンセルズ。
相手は人間相手のプロだ。
一体どうなってしまうのか?