「貴族様、あんた目が腐ってんのか?」
「おい馬鹿!貴族様になんて事言うんだ!」
「だってよお……」
「いや、そうだけどよお……」
酷い言われようである。
屍(グール)と人間の恋があっても良いじゃないか。多分。
「皆さん何を言っているんですか、この方は素晴らしい人ですよ!」
「身を呈して私を助けてくれました!それにお礼も不要と。この厳しい時代にこんなことが言えるなんて立派な人だ。」
「えへへー、それほどでもー。」
全部事実なのだが、何だか納得いかない町民達。
恋は盲目、貴族様の目には屍剣士ちゃんが天使に見えている。
まあ、それでも、すぐボロが出るだろうと町民達は納得し、仕事に戻った。
◆
「どこにお住まいで?好きな食べ物は?趣味は何ですか?」
「えーとー、お墓、みずー、寝ることでーす。」
「(はか?)お水好きなんですね、寝ることが趣味とは素晴らしい!」
何が素晴らしいか全く分からないが聞いた本人が幸せそうだから良いのだ。
しかし、貴族様はイケイケである。
流れる様に住居と好みを聞き出している。
相手が屍剣士ちゃんでは、柳に風、暖簾に腕押しであるが。
結局この日は解散となった。
明日の昼過ぎにお屋敷で会うことになったらしい。
・・・
一旦、解散した町民達であるが、彼らは娯楽に飢えている。
あることない事が町中に広まり、やがて屍剣士ちゃんは貴族様と結婚することになっていた。
貴族様が流石に可哀想である。命を賭した結婚詐欺だ。
「剣士ちゃん聞いたよ!」
「お貴族様に見初められたんですって!」
「いやー、それほどでもー。」
「明日、屋敷に行くんだって?」
「これ着ていきな!」
「いやいやこっちの方が似合うよ。」
あーでもないこーでもない、お節介なおばちゃん達による
"屍剣士ちゃん着飾り作戦"が発動された。
屍剣士ちゃんがあまりの打ち合わせの長さに気を失っていると、
いつもとは違う綺麗めな屍剣士ちゃんが誕生していた。
有り体に言えば、死んだ花嫁みたいな感じた。
明日はこれを着て行くんだよと言われた屍剣士ちゃんは、疲れた顔で墓場に帰った。
屍剣士ちゃんが寝るところは墓場である。
下は地面、寝るとどうなるか。そう、衣装が汚れてしまう。
寝相も悪い、屍剣士ちゃんはまるで乱暴されて、山に捨てられた様な格好で
貴族様のお屋敷を訪ねることになった。
屍剣士ちゃんに恋をしている貴族様がそれを見てどう思うか?
激怒である。無駄な犯人探しが始まった。
容疑者は町民全員。良君から暴君へ。屍剣士ちゃんの責任は重い。
屍剣士ちゃんと町民達は無事に誤解を解くことが出来るのか?!
雪すごいですね。
皆さんも暖かくして寝てください。