生きろ屍剣士(しけんし)ちゃん   作:おもちぴん様

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屍剣士ちゃん、見世物小屋で働く エピローグ

 公演3日目、屍剣士ちゃんは今日も剣を刺されている。

前の町でやった過激な事は封印しているので最近の観客の反応は薄い。

もっと過激な事をやれと野次が飛んでいる。

 

 ファンタジー世界の流行り廃りは早い。

命が安い世界なので、みんな刹那的に生きているためだ。

観客の要望に応えるのも見世物小屋の仕事だが座長の動きは鈍い。

 

 しかし屍剣士ちゃんは余計な事をする事に定評がある女だ。

そして褒められたがり、煽てられたがりでもある。

前の町と同じ轍を踏まないようにしてきた座長の悩みも何のその、同じことを繰り返すのがこの女なのだ。

 

「皆さんの反応が鈍いのでー、首切りまーす。」

「いいぞ!やれやれ!」

「ジ・アンデットガールの良いとこ見てみたい!」

「誰かあいつ止めろ!」

 

 観客は大喜び。座長は大慌て。

止めることなど座員の誰に出来ようか。

言い方は悪いが三下の集まりである。

一応冒険者の屍剣士ちゃんを止められるはずがない。

 

 "ザンッ"と良い音がして、屍剣士ちゃんの頭と胴体は分かれた。

このままでも死にはしないが、見てくれは最悪だ。

自分の手で頭を持つ姿は、まるでデュラハン。

その姿を見て、勘違いした観客が言った一言で公演は大パニックになる。

 

「あいつデュラハンじゃないか?」

「ほんとだ!剣を刺しても死なないし。」

「頑なに首と頭を斬らせてくれなかったのは、重要な部位だからだ!」

 

 首と頭が重要なのは誰でも同じだ。

屍剣士ちゃんをデュラハン(めっちゃ強いモンスター)と勘違いした観客達は我先にと逃げ出した。

 

「グッズ購入、お願いしまーす。」

「ひぃ!買います!」

「うおおお!買うから呪わないでくれ!」

 

 この日、座長は過去最高の収益を得たが、町の偉い人にめっちゃ怒られた。

そして偶々居合わせた、魔族鑑定士(魔族か魔族じゃないか鑑定する仕事をしている人。ひよこ鑑定士くらい適当。)に魔族であることがバレ、捕まってしまう。

一応屍剣士ちゃんは人間なのでセーフだった。

 

 そして残された屍剣士ちゃん達は解散を言い渡され、座長が溜め込んだ金を分配して各々の道を進むことに。

自立の難しい虎(猫)とケルベロスは耳の短いエルフ(人)が飼うそうだ。

ちなみに最初は屍剣士ちゃんがお世話係として手を挙げたが、絶対お世話出来ないと皆に言われて諦めさせられた。

 

 路銀を手に入れたがデュラハンと勘違いされた屍剣士ちゃん、皆と別れてからの道程は険しく大変であった。

 

 屍剣士ちゃんはとりあえず隣町を目指したが、冒険者に襲われること何と5回。

冒険者に襲われては死んだ振りをして殺し、襲われては死んだ振りをして殺す。

そんなことを続けてK/Dは何と驚異の18/6で3を記録。

モンスターよりも人を殺した回数が多い屍剣士ちゃんはある意味人の皮を被ったモンスターだ。

その内、人食いドラゴンを抜き、トップに躍り出るだろう。

 

 そんなトラブルを乗り越え、屍剣士ちゃんは隣町に到着した。

人の噂も75日。トラブルに巻き込まれながら進んだ屍剣士ちゃんが隣町に到着するのに要した時間は3ヶ月。

町に到着するとデュラハンの噂をする者は消えていた。

 

 無事、元の生活に戻ることが出来た屍剣士ちゃん。

町に着いたついでで冒険者ギルドに寄ったが、自分に合った仕事(楽なやつ)が無かったので、諦めて適当な廃屋を探して屍剣士ちゃんは寝ることにした。

彼女が真っ当な人間に戻れる日は来るのか?

それはまた別のお話。

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