生きろ屍剣士(しけんし)ちゃん   作:おもちぴん様

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屍剣士ちゃん、伝来する1

 ここは海の上、船の上。

屍剣士ちゃん、波に揺られて、ぶらり旅。

屍剣士ちゃんはミイラとして遠方の国に送られようとしていた。

当然モノ扱いなので、棺桶の中に入れられ、塩漬けにされている。

 

 そもそも屍剣士ちゃんが何故こんなことになっているかと言うと、先般の見世物小屋事件が原因である。

たまたま遠方の国の人が見に来ており、屍剣士ちゃんの不死性に目をつけたのだ。

後は、甘い言葉で屍剣士ちゃんを棺桶の中に連れ込み、塩漬けするだけ。簡単なお仕事だ。

 

 流石の屍剣士ちゃんも塩漬けは初めてなのか、棺桶の中で静かにしている。寝ているだけかも知れない。

やがて水分が抜けて乾燥屍剣士ちゃんが完成するだろう。

 

 屍剣士ちゃんを載せた船は何のトラブルもなく、遠方の国に到着した。

屍剣士ちゃんは現地の寺院と思われる建物に運び込まれる。

 

「僧正、依頼のモノを持ってきました。」

「依頼のモノ?何じゃっけそれ?」

「何か神々しいモノをって話でしたよね。」

「そうじゃそうじゃ、いやあ120年も生きると物忘れが酷くてな。」

「それでは御開帳!」

「何じゃこれ?木乃伊か?」

「ええ、不死の木乃伊です!」

「動かんぞ。」

「動きませんね。」

「「……」」

「まあ良いか。ほれ礼金じゃ。」

「こんなに!流石は僧正!無駄に長生きしてねえ!」

 

 人身売買された屍剣士ちゃん。

まだ寝ている。体中の水分が奪われたというのに。

 

 僧正と呼ばれた爺は取り敢えず屍剣士ちゃんを椅子に座らせ、お供え物をした。

これからどうやって屍剣士ちゃんで金儲けしようかと思案顔だ。

結局その日は思いつかなかったのか僧正は寝た。

 

 そして、その夜、屍剣士ちゃんは動き出す。

お供え物の水を飲み、乾いた体が潤う。

しかし、お供え物では足りないのか、寺院中の水を飲み始めた。

 

 瓶(かめ)の水と花瓶の水、果ては井戸の水まで。

飲んでは飲み、飲んでは飲み、やがて寺院の水は尽き、ぐうたらモンスターの屍剣士ちゃんが復活していた。

 

 朝、何も知らない僧正が起きて、顔を洗うために井戸に行き、水汲み用の桶を下ろすが、カランと音がして、桶を引き上げても水が取れない。

 

 それならばと瓶に溜めていた水を使おうとすると、瓶の水もない。

困り果てた僧正が寺院の広間に行くと、広間の真ん中に見知らぬ者、そう屍剣士ちゃんを見つける。

 

 今の屍剣士ちゃんは潤い度驚異の120%で歩くと床が濡れる怪物だ。

広間はびしょびしょ、床はツルツル。

 

 そんな床を爺が歩くとどうなるか?

そう滑って転ぶのだ。

例に漏れず滑った僧正は頭を強打し、120年の長い人生に終止符を打った。

屍剣士ちゃん、異国の地にて早速1キルを達成。

これから一体どうなるのか?

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