「エイヤッハー!」
「エイヤッハー!」
町のそこら中から奇妙な掛け声が聞こえる。
屍剣士ちゃんの住む町は絶賛新興宗教の侵略を受けていた。
屍剣士ちゃんはこれでも信心深い。
屍(グール)になってからは専ら死の神デスを信仰している。
「えいやっはーって、なんですかー?」
「あっ!(屍)剣士ちゃん!何でも祭りの神フェスティへの祈りらしいよ。」
「祭りの神〜?聞いたことないですねー。」
「迫害されてたとか何とか。」
「12神様以外は居ないはずですがー。」
「そうなんですか?」
「はいー、そうなんですー。」
屍剣士ちゃんの目に光が宿る。いや宿った様に見えた。
スカスカの脳みそで論破しに行くらしい。
剣を持ち鎧を着込んで。
冒険者は血の気が多い奴ばかりだ。
屍剣士ちゃんも例に漏れず血の気が多い。血色は悪いが。
説得(恐喝)するには暴力が一番だ。
そんなこんなで武装した屍剣士ちゃんは有り難い説法をしている広場にやって来た。
沢山の人が集まっている。
屍剣士ちゃんが進もうとすると何故か人波が割れ、進む道が出来た。
説法師の坊主まで一直線だ。
坊主の周りには護衛と思われる破落戸が数名。
「嘘をつくのは辞めなさーい。」
「嘘とは何ですか?顔色の悪いお嬢さん。」
「12神様以外ー、神様はいませんよー。」
「おお!嘆かわしい!そんな嘘を信じるなんて!」
「うーん、うるさいですよー。」
"グサリ"と剣が破落戸の胸を貫く。
唖然とする坊主と破落戸、やっぱりかと言う顔で見守る町民。
屍剣士ちゃんはのんびりしている様に見えるが神様関連の揉め事は気が早い。
また1人破落戸が倒れる。
「神は12柱だけでーす。わかりましたかー?」
「ひぃぃぃ!分かりました!」
「皆さんも解散ですよー。お金は孤児院か修道院に寄付してくださいねー。」
「「「「「はーい。」」」」」
平和に場を収めた屍剣士ちゃんは満足顔だ。
暫くしたらねぐらに帰るだろう。
一方の坊主は口ではああ言ったものの、納得はしていなかった。
脅迫してきた屍剣士ちゃんに反撃しようと策を練っていた。
「かしらぁ!どうしますかあの野郎!」
「ちょっと待て、今策を練る。」
「そういやあ町民から聞いたんですが、あいつ墓場がねぐららしいですよ。」
「墓場ぁ?あんな奴が墓守してんのか?」
「墓、はか……そうだ!何でも良いから死体を集めて来い!」
「へい!何でですか?」
「墓にはなあ、瘴気が集まりやすい。」
「ふむふむ、それでどうなるんすか?」
「瘴気を浴びた死体はアンデットになる。アンデットは見境なく人を襲うからな。
あいつもお陀仏よ。」
「なるほど!早速集めて来ます!」
坊主の策により、死体が増えた墓場。
屍剣士ちゃんの無事は如何に!