夜が明けて朝が来た。
坊主の有り難い説法を待つ人が広場に集まるが待てども待てども坊主は来ない。
やがて集まった人達は坊主が来ないことに痺れを切らし、それぞれの家に帰っていった。
屍剣士ちゃんはと言うと墓場で惰眠を貪っていた。
やることやったのでこれで良いのだ。
日が昇ると広場に行き、誰も集まっていないことを確認した。
暫くして満足したのか屍剣士ちゃんはギルドに行き依頼を探した。
しかし依頼は何もなかったので墓場に帰った。
墓場に戻ると教会関係者が集まっていた。
討ち入りか?と警戒する屍剣士ちゃん。
彼らは決して討ち入りに来た訳ではない。
むしろ感謝しに来たのだ。
「(屍)剣士殿、お邪魔しておりますぞ。」
「えー、邪魔するなら帰ってくださいよー。」
「違いますよ。社交辞令です。」
「そーですかー。」
12神への信仰を守ってもらった礼を受けた屍剣士ちゃん。
何回か同じ事をして、同じ回数感謝されている筈なのだが屍剣士ちゃんの脳みそはスカスカだ。
昔のこと、特にどうでも良いことは覚えちゃいない。
「それにしても何時見てもお若い。何か秘訣でも?」
「はいー、死んでますのでー、年を取りませんー。」
「これはこれは冗談が上手い。」
「えー、冗談じゃないですよー。」
「ははは!12神様の加護があらんことを。」
「あらんことをー。」
何とか屍とバレずに済んだ屍剣士ちゃん。
バレてもどうとも思わないたまだが、教会関係者にバレると何かヤバそうだ。
教会関係者は勝手に長命種(エルフやドワーフ)の血が入っていると勘違いしているだろう。
屍剣士ちゃんが昼の陽気にウトウトしていると、1人だけ残った教会関係者が話しかけてきた。
お昼寝を邪魔されたくらいでは手は出さないが若干不機嫌そうだ。
「死の神の神官です。あなた屍(グール)ですよね?」
「はいー、さっきからそう言ってますー。」
「どうやってデス様の御加護を?」
「知りませんー。」
「そうですか……。ちなみに教会にご興味は?」
「ありませんー。墓場で寝てるほうが楽しそうですー。」
「残念、デス様の御加護があらんことを。」
「あらんことをー。」
このやり取りも何回かやった気がする屍剣士ちゃんだった。
教会も代替わりしていて昔いた人は墓に入っている。
夜になると一緒に踊っている筈だ。
それが骨かゾンビかゴーストかは分からないが。
─今日も墓場ではパーティーが行われる。
参加者はアンデット、主催者は多分死の神デス。
屍剣士ちゃんも踊る。"ショウキ"であるために。
誰が彼女を殺して、何のために蘇ったのか?
それはまた別のお話で。