ここは戦場、命が最も安い場所。
剣に槍に弓矢のオーソドックスな方法から、奇襲に火攻め、騎馬突撃、果てはトラップ、
死ぬ方法はいくらでもある。
屍剣士ちゃんも賑やかし要員で戦場の何処かで戦っていた。
戦力が拮抗しているなら戦いは数で決まる。
賑やかし要員も必要なのだ。
「不死兵隊を出せ!」
「はいっ!前を開けろ!不死兵隊の出撃だ!」
「ぐおおおお!」
不死兵隊と格好良い名前はついてるが、実際のところはただの薬漬けの兵隊だ。
痛みや死の恐怖から逃れられる有り難いお薬で強化された人にエルフ、
ドワーフに豚人、小鬼に色々。
人種不問、アットホームな部隊です。
「何だあいつら!矢の雨突っ切って来たぞ!」
「やーねー。ぷぷー。」
「矢が刺さってるのに何て野郎だ!」
「あのー、笑うとこですよー。」
「こうなりゃ白兵戦だ!野郎ども抜剣しろ!」
「了解です隊長!」
"ドドド"と小隊が前に走り出した。1人を除いて。
1人陣に取り残された少女は勿論屍剣士ちゃんだ。
遅れて戦闘に参加しようとしたが既に趨勢は決していた。
お味方の小隊総崩れ、敵はピンピン大勢だ。
「おー、皆さん痛そうですねー。」
「「「「うおおおあああああ!」」」」
敵の姿はまるで戦場そのものだ。腕が無い者、全身ハリネズミ、目が無い者、槍が体を貫いているもの……。
この部隊だけで全種類コンプリートできそうな勢いだ。
ある意味で屍剣士ちゃんの下位互換の様な彼らは屍剣士ちゃんを見て固まっている。
紛い物(不死兵隊)と一応本物(屍剣士)、なんと格は屍剣士ちゃんの方が上だった。
「天に召せー。」
「「「「ああああああああ!」」」」
屍剣士ちゃんの謎の祝詞でなんと不死兵隊は天に召された。
神官要素はないが、屍剣士ちゃんは死の神に仕える神官なのだ。
半端者など朝飯前だ。
労せず大手柄を上げた屍剣士ちゃんだが、小隊は全滅。
誰も見てないので武功にはならない。
「ご報告!不死兵隊全滅!」
「うむ、戦果は?」
「小隊1!」
「勿体ぶるな。続きはどうなのだ?」
「ですから小隊1のみです!」
「!」
指揮官は開いた口が塞がらない。
不死兵隊は小隊だ。小隊1落としたところで大した戦果ではない。
目が飛び出る程の金を注ぎ込んでいるのだ。
ただ薬漬けにするだけではなく、用法要領を守って薬を使う必要がある。
黄金のバランスを見つけるまでに何年掛かったことやら……。
不死兵隊は二度と日の目を見ることはないだろう。
「よく生き残ったな小娘!」
「はいー、運が良かったですー。」
「全滅するまで戦うとは相手の小隊も見上げたものだ!」
「たしかにー。死の神の御加護があらんことをー。」
「そうだな、御加護があらんことを!」
戦場1日目、屍剣士ちゃん、何とかなりそうです。