マリカの白き剣   作:サンサソー

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白き剣のマリルナ

腐った台地『ケイリッド』。

かつて偉大なる英雄と称された赤獅子の将軍、『星砕きのラダーン』が治めた地。その北部にて聳え立つ塔もまたラダーン縁のものであった。

 

『ケイリッドの神授塔』。

今や崩れ果て入口すら塞がった塔。かつてラダーンを導く二本指が座した神域も形無し。

 

 

 

 

もはや残る兵どもも狂い果てた塔、その最下層にて。一つ炎が燃えた。

 

黒く重たい炎はひとしきり燃え盛ると、その内にある人型を外へと排出する。

 

それは滑らかな皮膚を縫い合わせたふくよかな装束で、皮ぎしの脂を残しているのかぶよぶよと柔らかい。

 

かつて宵眼の女王と呼ばれた存在に仕えた、神肌の貴種と呼ばれる原初の使徒。彼、または彼女がここに至ったのもまた、この塔に配属された同族である神肌の使徒に用があるからである。

 

狭い入口を潜れば、少しばかり広い部屋にそれは居た。貴種と同じような、しかし少々簡素な皮膚の装束。それは少しばかり驚いたように身を震わせ、しばし迷った末に片膝を着いた。

 

使徒らは特に気にしないが、本来は貴種の方が位が高い。その現れであるのが装束の違い、扱える神狩りの炎の祈祷である。

 

貴種もまた優雅な一礼を返し、使徒の横を通り過ぎる。部屋の奥に何があるのかを知る使徒はそれを引き止めようとするが、貴種は困ったように笑み━━━━━━使徒をその刺剣で貫いた。

 

使徒は驚愕の表情のまま、打つ手無くその身を黄金の粒子へと変える。落ちた使徒の得物『神肌剥ぎ』を拾い上げる貴種は今一度優雅な一礼をし、部屋の奥へと進んで行った。

 

 

 

使徒が護っていた宝箱。それを開ければ、美しい白剣が顔を見せる。

 

宵眼の女王が使用していた神狩りの聖剣。使徒の扱う神狩りの黒炎はこの剣からもたらされたもの。

 

貴種はその場で膝を着き、祈りを捧げると聖剣を手に取った。そして再びその身を黒炎に包み、聖印を現してその場から消えたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

偉大なる黄金樹。世の豊穣と平和の象徴は燃えていた。

 

そこにあったエルデンリングは、壊れかけの神『永遠の女王マリカ』の内で弱々しく輝いている。

 

それを見るは二つの影。

方や、マリカの王配であった『黄金律ラダゴン』を弑し、さらにはエルデンリングの化身として顕現した『エルデの獣』を打ち倒した褪せ人。

もう方や、黄金律を否定し永遠に続く夜の律を掲げんとする神人『月の王女ラニ』。

 

褪せ人はラニと共に黄金律を廃し、夜の王として遥かな宙へと旅立たんとしていた。

 

「…すべて、終わったのだな」

 

感慨深く、噛み締めるようにラニは言う。壊れかけのマリカの頭部を持ち上げ、しかし身体に戻すことは無く掲げた。

 

「私は誓おう。全ての生命と、すべての魂に。これよりは星の世紀。月の理、千年の旅。すべてよ、冷たい夜、はるか遠くに思うがよい。恐れを、迷いを、孤独を。そして暗きに行く路を」

 

暗い月と冷たい海。それが顕現した黄金樹の中で、マリカは塵と消え、ラニが静かに瞬くのみだった。

 

ラニは静かに振り返り、よく働き、そして己が王配となる褪せ人へと手を差し伸べる。指輪をはめた、約束の手を。

 

「さあ、行こうか…永遠なる、私の王よ」

 

褪せ人もまた、手を差し出した。指輪をラニにはめた、誓いの手を。

 

それらが触れ合いまさに旅立たんとした。ああ、しかし。ソレは現れた。

 

 

 

黒き炎が海を舐め、月を焦がした。

 

「……そうか。やはりどこまでも、お前は裏切るのだな」

 

ラニは半ば呆れたように、褪せ人を立ち上がらせた。その目は褪せ人の後ろへと冷たく向けられている。

 

褪せ人も素早く振り向けば、出迎えたのはまさに己を穿とうとする刺剣の輝き。褪せ人の頭に大穴が空くかと思われた一撃はしかし、冷たい色をした光に阻まれ弾かれた。

 

「我が王よ。まだ一つ、やり残したことがあるようだ。あれは我らの律を阻まんとする者。奴を殺さぬ限り、我らは旅立てん」

 

黒炎に包まれた下手人、神肌の貴種。右手に刺剣『神肌縫い』を持つのは褪せ人が相対してきた貴種と同じだが、どういう訳か左手には使徒の『神肌剥ぎ』を握っている。

 

「……すまぬ、我が王よ。アレは少し分が悪い。手助けはできぬ……待っているぞ」

 

褪せ人はラニの言葉に頷き、『暗月の大剣』を構える。神肌の貴種もまた、優雅に刺剣と両刃剣を構えた。

 

 

少しばかり、静寂が訪れる。黒炎が燃え弾ける音がしばし場を支配する。

 

先に静寂を破ったのは褪せ人だった。大剣を空高く掲げれば、暗い魔力が剣身に迸る。その隙を突かんと、貴種は刺剣による鋭く深い踏み込みで距離を詰めた。

 

褪せ人は間一髪その突きを躱すことに成功するが、次いで放たれるのは両刃剣による連撃。範囲も広くさらには黒炎まで纏う攻撃に、褪せ人は距離を離すしかない。

 

しかしそれを許さず、貴種は刺剣による差し込みで褪せ人を追い詰めていく。だが褪せ人も数多の強敵と戦い抜いてきた英雄。地を転がりすれ違いざまに貴種の巨体を大剣で切り裂いた。

 

「……?」

 

妙な手応えだ。大剣は確かに深く貴種のローブを切り裂いたが、血も吹き出なければ貴種の動きにも乱れは無い。本当に、装束だけを切り裂いたような……。

 

その疑問は貴種の次の動きで解決することになる。

 

なんと貴種の身体が突如伸び、上半身を大きく振り回してきたのだ。貴種の身体に吹き飛ばされた褪せ人はすぐさま体勢を立て直せば、貴種もまた身体を元の大きさに戻した。

 

貴種が使用したのは使徒の能力。身体を伸ばし遠くの敵にまで攻撃を届かせる異形の技。

なんということは無い。貴種の装束を纏ってはいるがしかし、その中身は使徒と同じタイプなのだ。

 

褪せ人を襲った驚愕はそれだけに尽きなかった。

 

貴種が大きく腹を突き出せば、装束が膨らみ一層巨体となる。そのまま飛び上がると、身体を横にして回転し始めた。

これは貴種の異形の技。己が巨体を武器として敵を引き潰していく、その優雅な剣術とは裏腹な技。

 

回避しても回避しても追尾してくる貴種に、褪せ人は今までの神肌の使徒たちとこの貴種を別物として捉えた。

崩れ行くファルム・アズラにて戦った『神肌のふたり』。それが合わさったようなものだと簡単に咀嚼する。

 

転がっていた貴種が飛び上がる。身体は大きいまま、貴種が使っていたプレスか。褪せ人はまたもや攻撃を回避し、お返しに大剣を振るい冷たい魔力の光波を飛ばした。

 

光波は魔力による攻撃であるとともに、冷たい冷気を纏うものでもある。貴種に命中したそれは身体を凍えさせ、次いで放たれた光波によって冷気は爆発した。

 

凍傷した貴種は大きく怯み、その間に褪せ人は飛び上がり大剣を振り下ろした。

 

ローブが切り裂かれ、今度こそ出血を確認した。確かに今の攻撃は肉体を傷つけた。

 

貴種はようやく立ち上がると両刃剣を回転させる。そこへ黒炎が纏われ炎の渦となった。大剣を振り下ろしたばかりの褪せ人はすぐさま離脱するも、その身は黒炎に焼かれた。

 

黒炎は重い炎。その身をじりじりと焼き焦がす。褪せ人は緋雫の聖杯瓶を飲み傷を癒せば、貴種は回転させていた両刃剣をそのままに飛び上がり突進した。

 

見たことがある。英雄のガーゴイルの技だ。褪せ人は焦らず姿勢を低くして回避すると、後方へと行った貴種へ光波を飛ばす。

 

大技を放ったばかりの貴種に光波が命中し、体勢を崩す。褪せ人は貴種の胸にその大剣を叩きつけることで空を仰がせると、その胸へ深々と突き刺した。

 

貴種が吐血し、後方へと倒れ込む。褪せ人もまた『黄金律ラダゴン』『エルデの獣』と続いての連戦に疲れ果てていたが、なんとかラニの元へと戻ろうと背を向けた。

 

 

 

「……駄目だ、我が王!まだ終わっていないぞ!」

「っ!?」

 

 

ラニが叫ぶのと、褪せ人が吹き飛ばされるのは同時だった。

 

黒炎の爆発。それは貴種が地に突き刺した、『神狩りの剣』から発せられたものだった。

 

黒炎が神肌の装束を焼いていく。その内から現れたのは、赤い髪を携えた、男とも女とも見分けがつかぬ白い鎧の人。

 

その歪な、しかし強靭な肉体には異形の印が見て取れた。頭と肩から鎧をものともせず突き出た角、折りたたまれた三対の翼と尾が解放され、ゆっくりとそれは立ち上がる。

 

褪せ人はそれに幻影を見た。忌み子。坩堝の騎士。そして、巨大な竜。

 

「知っているか。神肌の貴種は原初の生命に近い。すなわち忌み子。坩堝。前史の存在……竜だ」

 

それは神狩りの剣を引き抜き、黒炎を撒き散らす。その中に暗い光が見えていたのを、ラニは見逃さなかった。

 

「あれは最も古き使徒。仕えていた『運命の死』の一端を宿した古き王配であり、ほんの一時とはいえ女王の寵愛を得てなお祝福に見放された裏切り者」

 

ゆっくりと此方へ目を向けるそれに、褪せ人は幻視する。死のルーンを解放し、黄金律を護らんとした黒き剣を。

 

「マリカには二振りの剣があった。一つは、従属の獣であり義弟であった獣の司祭『黒き剣のマリケス』。一つは、原初の生命を宿し一時の王配であった神狩りの英雄……」

 

 

「『白き剣のマリルナ』。マリカを愛し、黄金律に背いた大罪人だ」

 

「ゴオォォオオオオッッ!!!」

 

マリルナが咆哮する。獣でないというのに、その様は確かに『黒き剣のマリケス』を彷彿とさせる。

 

合点がいった。黄金律を裏切ったとしても、夜の律をも受け入れない。マリカを排した我らを襲うのは至極当然のことだったのだ。

 

マリルナが坩堝の騎士の如く飛び上がり、剣で地を裂きながら突き進んでくる。裂かれた地からは黒炎が吹き出し、それから逃れるべく褪せ人は横へと飛び退いた。

 

しかしマリルナは突進を一度で終わらせない。二度目、三度目と地を剣で切り裂いたマリルナは、最後に褪せ人へ剣を突き立てんと急降下した。

 

褪せ人は咄嗟に地を転がることで回避する。マリルナの突き立てた剣は少しばかり黒炎を燻らせ爆発し、その勢いを利用してマリルナは少しばかり離れた場所へ着地した。

 

距離があけば余裕がある。褪せ人は今一度大剣を掲げ魔力を巡らせる。さて奴はと見れば、マリルナは剣に『運命の死』を宿し、次々と死の光波を飛ばしてくるところだった。

 

驚き無様に地を転がる。それによってかろうじて被弾することは避けたものの、マリルナは次の手に移っていた。

 

飛び上がり突進を仕掛ける。対し褪せ人は冷たい光波を飛ばすことで迎撃せんとする。光波はマリルナに命中したが勢いは衰えない。

大剣を振り切った状態であった褪せ人は腹を剣で貫通され、マリルナが大きく剣を振るったことで投げ飛ばされた。

 

転がりながら緋雫の聖杯瓶で傷を回復した褪せ人がもう一度光波を飛ばす。しかしマリルナは軽やかに躱すと、手に黒炎を握り投げつけてきた。

 

黒炎は手から離れると複数に分裂し褪せ人を襲う。なんとか大剣を盾にして防ぐが、やはり黒炎の性質は防げない。

 

マリルナは手を目の前で握り、天へ向かって掲げる。すわ『狙いすます雷撃』かと褪せ人は空を見上げれば、降ってきたのは雷ではなく黒炎の塊。しかも複数だ。

 

まるで『冒涜の君主ライカード』の呪いの雨と『暗黒の落とし子アステール』のアステール・メテオを合わせたかのような黒炎の嵐。

ゆっくりとした、しかし質量のある黒炎弾を回避しつつマリルナを見れば、手を掲げた状態のまま。どうやらこの技は動けないものらしい。

 

何かを閃いたのか褪せ人は壺を取り出した。そしてそれを投げつければ、薄紫の靄が未だ動かないマリルナを包み込んだ。

 

靄が晴れれば、膝を着き顔を抑えるマリルナの姿がある。褪せ人は隙だらけのその姿に光波を幾つも叩き込み、最後に胸へ剣を突き刺した。

 

薄紫の靄は、子守唄に似ている。聖女トリーナの祈祷の力が込められた『眠り壺』は、相手の眠りを誘うのだ。

 

マリルナは少しふらついた。褪せ人の攻撃に身体が悲鳴をあげているのだろう。あと一息だと褪せ人が踏み出した瞬間。

 

マリルナが腹を突き出し、衝撃波が襲った。『貴種の腹芸』。元は神の怒りであったが、貴種の神狩りの勲章として認められた神狩りの祈祷である。

 

衝撃波で怯んだ褪せ人の前で、もう一度身を丸めるマリルナ。間髪入れずに放つは『黄金の怒り』。エルデンリングが砕かれた際に見出された祈祷は褪せ人を大きく吹き飛ばした。

 

意識も朦朧としていた褪せ人は、僅かな意思で残り一つの聖杯瓶を飲み干し立ち上がる。マリルナを見れば、その場でかがみ祈りを捧げている。

 

黄金の光がマリルナを中心に広がり、マリルナの傷が癒え淡い光がマリルナを覆っている。『黄金樹の回復』と『黄金樹の恵み』、見たことがある祈祷だ。

 

これらは女王マリカと関わりのある祈祷。黄金律を嫌っても、黄金樹の祈祷を捨てることは無かったのだろう。

 

何はともあれ、褪せ人にとっては最悪の事態だ。マリルナは回復し、さらには少しずつ調子が戻っていく。完全に回復しきる前に倒さなければ正気は無い。

 

「ゴオォォオオオオッッ!!!」

 

マリルナが死の咆哮をあげる。距離は離れている。注視すべきではないかと褪せ人が駆けたその時。

 

褪せ人がいた場所に赤い雷が降った。

 

「っ!?」

 

かの竜王とまではいかずとも、次々と振る古竜の赤い雷は褪せ人を襲う。そうだ、マリルナは原初の生命。坩堝の騎士のように竜の力を扱えても不思議では無い。

 

マリルナへと光波を放ち咆哮を牽制すると、マリルナはまだ距離がある褪せ人へと尾を振った。それは坩堝の祈祷の如く肥大化し、距離など関係なく褪せ人を薙ぎ払う。

 

地を転がる褪せ人は、これ以上は喰らってはいけないとすぐさま体勢を立て直す。マリルナは自身を覆う冷気を煩わしく思ったのか、手に黒炎を握り自らの内へとおこした。

 

冷気が消え、身体を黒炎が纏う。恐らくは『火の癒しよ』と似たものなのだろう。黒炎の滾る姿を見る限り『黒炎の護り』の効果もあるのだろうか。

 

マリルナは再び飛び上がり、地を剣で三度切り裂きながら迫る。突進を躱して大剣で切り付ければ、マリルナは大剣である『神狩りの剣』を軽々と振り回し対応してきた。

 

特異な技も目立つが、元々卓越した技量の必要な『神肌剥ぎ』や繊細な『神肌縫い』を自在に扱う時点で、剣術もまた凄まじいの一言である。かの『ミケラの刃、マレニア』にまでは行かずとも、真っ向からの接近戦は不利だと褪せ人は理解した。

 

マリルナが大きく飛び上がったのを良いことに褪せ人は距離を空けようとするが、マリルナはそれを見越したように地へと勢いよく剣を突き刺した。

 

瞬間、褪せ人を襲ったのは無数の斬撃。『運命の死』。マリケスが使用した見えぬ無数の剣撃である。

 

死のルーンによって体力を削られながらも、褪せ人は光波を飛ばすことをやめない。凍傷になれば、マリルナは黒炎を内におこし解除する。

 

褪せ人はこれに勝機を見た。凍傷になる度に治されるのであれば、また凍傷による大ダメージを狙える。

 

黒炎をおこすためか、立ち止まったマリルナへ褪せ人が光波を飛ばす。しかしマリルナは何度も同じ手を受け続けるような愚物では無かった。

 

その身を黒炎に包み姿を消す。光波は何も無い所を通り過ぎ、褪せ人は悪寒に従い地へと転がった。

 

褪せ人がいた場所で黒炎の爆発と共にマリルナが出現する。現れるままにその場で回転し、大剣で広範囲を薙ぎ払った。

 

こういった瞬間移動を使う相手は初めてではない。霊体の失地騎士たちや『暗黒の落とし子アステール』、『竜王プラキドサクス』や『黄金律ラダゴン』などなど、今までの戦いの豊富な経験が褪せ人の命を助けたのだった。

 

魔力を巡らせ直した大剣から光波を飛ばす褪せ人。いよいよマリルナも余力が尽きてきたのか、『神狩りの剣』に黒炎を灯し黒炎の長剣を形成する。

 

それを縦横無尽に振り回し、褪せ人もまたそれに捕まらぬように範囲外へと逃げる。振り回していた剣をマリルナは最後に地へと突き刺せば、かの『火の巨人』か用いた『火よ、焼き尽くせ』の如く黒炎の柱が次々と生えていく。

 

それが治まった頃、マリルナは疲労からか片膝をついていた。この機会を逃す訳には行かない。褪せ人は魔力を巡らせた大剣を構え突貫。マリルナをその剣身で貫いたのだった。

 

 

 

 

 

両膝をついたマリルナは、終始言葉も無く倒れた。少しばかり手を伸ばしたのは、マリカが崩れている場所。その手も落ち、マリルナは黄金の粒子となって弾けて消えたのだった。

 

 

黒炎は消えた。冷たい月は再びの輝きを放ち、星々が褪せ人とラニを照らしている。

 

「……終わったな。私が出れば魂まで殺されてしまうからな……さすがは私の王だ」

 

褪せ人は何も言わず、ラニへと手を差し出す。先程とは逆だなと、ラニは褪せ人へと手を差し伸べた。

 

「さあ、行こうか……冷たい我らの路を」

 

これより来たるは星の世紀。黄金を想う悔恨は、既に残り火も残らず散ったのだった。

 

 

 

 

 

白き剣の追憶

 

黄金樹に刻まれた

白き剣のマリルナの追憶

 

指読みにより、主の力を得ることができる

また、使用により莫大なルーンを得ることもできる

 

マリルナは、女王に抱かれた最初の使徒であった

マリカは王配に、黄金律の守護者たるを望み

後にそれを裏切られたのだ

 

 

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