異世界チート三重奏《トリニティ》   作:naogran

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とある世界。この世界の大草原で、2つの国の戦争が勃発していた。

『こんな事は、誰も想像しなかった。』

凛「リベレイトスペル!ショック!」

周囲の敵兵士達を、凛が魔法で吹き飛ばした。

『数ヶ月前、太一と凛と幹也は極普通の高校生だった。平凡で穏やか、けどそれなりに充実した日々。だがそれが・・・』

敵兵士「フンッ!!」

ミューラ「ハァッ!!」

敵兵士が振り下ろす剣を避けたミューラが炎魔法を放ったが、兵士が盾で防いだ。

ミューラ「遅い!!」

その瞬間ミューラが高速接近し、兵士を倒した。

『こんな事になるとは。』

敵兵士「ら、落葉の魔術師・・・!!」

レミーア「ほう?私の名前を。大正解だ。褒美をくれてやろう!」

落葉の魔術師のレミーアが指輪から竜巻魔法を発動させ、敵国兵を吹き飛ばした。




敵国の駐屯地。

敵兵士「ん?あ、あれは・・・!!」

上空から、2人の人物が現れて着地した。

敵兵士「き、貴様ら・・・!そんな・・・ある訳が・・・!」

幹也「あらよっと!!」

パニックになる敵兵士達を、幹也が蜘蛛の糸で束縛した。

太一「ったく、つくづくこれってチートだよな。」

幹也「全くだな。」

太一が魔法を発動し、幹也が蜘蛛の鉄球に炎を纏わせた。


第1話・異世界からの『迷い人』

それは、数ヶ月前に遡る。

 

 

 

 

日本・東京都内。

 

凛「太一!」

 

太一「ん?」

 

凛「おっはよう!」

 

太一「おう、おはよう。」

 

この2人は西村太一と吾妻凛。同じ高校に通う幼馴染み。

 

太一「今日も放課後テニスの練習か?」

 

凛「うん。大会も近いしね。

 

太一「そっか大変だな。」

 

凛「太一も部活とか何かやらないの?」

 

太一「いいよ 面倒臭い。」

 

凛「えぇー、子供の頃から運動神経だけは良いのに。そう言うの宝の持ち腐れって言うんだよ?」

 

太一「だけって・・・」

 

???「よう、相変わらず仲が良きです事。」

 

太一「おわっ!?幹也!」

 

後ろから幹也が出て来て太一がビックリした。

 

幹也「おはようさん。」

 

彼は雲居幹也。太一と凛の幼馴染み。

 

幹也「また部活の話か?好きだねぇそう言うの。」

 

凛「太一が部活を面倒臭いって言うんだよ?幹也も何か部活入ったら良いのに。」

 

幹也「俺もいいよ。部活なんて性に合わないしさ。それに入ったら、俺の自由時間が潰れちまうだろ?」

 

凛「もう、幹也もつれないなぁ〜。」

 

幹也「つれなくて結構。なぁ太一、放課後ゲーセン寄ろうぜ?今日こそ俺が勝つからさ!」

 

太一「またぁ?」

 

謎の声『太一・・・』

 

太一「ん?」

 

突然誰かが太一に囁いた。

 

太一「ッ!」

 

後ろを向いた太一が目にしたのは・・・

 

 

 

 

スマホしながら自転車を走らせる男子生徒だった。

 

 

 

 

太一「凛!」

 

凛「え?」

 

幹也「どした?」

 

 

 

 

 

 

とある世界の城。ローブを身に纏った女性が巨大魔法陣を描き上げた。完成した魔法陣が光った。

 

男「遂に・・・遂に完成したのですな!殿下!」

 

殿下「えぇ。これでお父様のお言いつけ通り・・・」

 

男「ぐああああ!!」

 

突然男が何者かに殺されてしまった。

 

殿下「何事です!?」

 

後ろには、仮面の男がナイフを持っていた。

 

殿下「何故・・・!?どうしてここが・・・!!」

 

仮面の男「・・・・・」

 

ナイフに付着してる血が魔法陣の上に落ちた。その瞬間、魔法陣の光が一瞬で消されてしまった。

 

殿下「嘘・・・!ダメ!そんな!」

 

仮面の男はナイフを振り上げ、殿下を殺そうとした。

 

仮面の男「ぐおっ!?」

 

しかし、家臣の男はまだ生きており、握った剣で仮面の男の背中を突き刺した。

 

男「で、殿下・・・!!」

 

仮面の男を殺した家臣の男は、そのまま倒れて息絶えた。

 

殿下「っ!・・・い・・・いやあああああああ!!!!」

 

彼女の叫びと同時に、魔法陣が再び光った。

 

 

 

 

 

 

再び日本・東京都内。

 

幹也「おーーい!!待ちやがれコラーーーー!!!」

 

スマホ自転車の男子生徒はそのまま去って行った。

 

太一「凛、大丈夫か?」

 

凛「え?あぁ、うん・・・」

 

太一「ったく、何処見て運転してんだ。」

 

幹也「全くだ。ながら運転すんじゃねえよ。」

 

凛「ん?ねぇ・・・」

 

太一「え?」

 

凛「これ、何・・・?」

 

太一「ん?なっ!?」

 

足元に突然魔法陣が出現した。

 

幹也「何だ?」

 

太一が移動すると、魔法陣が移動した。

 

太一「何だよこれ?」

 

幹也「魔法陣?」

 

その魔法陣は、3人を取り囲んだ。

 

太一(どう言う事だよ?これってまるでゲームとかの・・・)

 

凛「太一・・・」

 

幹也「お前・・・」

 

太一「凛と幹也は外に出てろ!」

 

凛「え、でも・・・」

 

太一「いいから出ろって!」

 

幹也「凛!」

 

凛「うわっ!」

 

急いで凛を引っ張った。

 

太一「くっ!!」

 

魔法陣の光が激しくなった。

 

凛「太一!!」

 

しかし凛は太一の腕を掴んだ。

 

太一「っ!!」

 

幹也「太一!!凛!!」

 

凛の後ろから幹也が駆け寄り、魔法陣に入った。そして魔法陣が3人を包み込んで消滅した。現場には、凛のラケットバッグと、幹也のスクールバッグが残された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

青空が広がる大草原。

 

幹也「・・・・・・」

 

気を失って倒れている幹也の右手に、小さな蜘蛛が登った。その蜘蛛が。

 

”ガシッ!!”

 

幹也「痛・・・!!」

 

その蜘蛛に噛まれ、幹也が痛みで目を覚ました。

 

幹也「何だ一体・・・?ん?蜘蛛?」

 

その蜘蛛は幹也を見て口を動かした後、何処かへ去って行った。

 

幹也「何だあの蜘蛛・・・ん?」

 

周りを見ると、見知らぬ地形が彼の目に映った。

 

幹也「何処だここは・・・あ!太一!」

 

倒れてる太一を発見し、彼に駆け寄る。

 

幹也「太一!しっかりしろ!太一!」

 

太一「・・・ん・・・?」

 

倒れてる太一が目を覚ました。

 

太一「幹也・・・?」

 

幹也「良かった、目が覚めたんだな。」

 

太一「・・・あ!凛!!」

 

近くに倒れてる凛を発見し、太一が凛の上半身を支える。

 

太一「凛!凛!起きろ凛!」

 

幹也「凛!しっかりしろ!」

 

凛「・・・ぁ・・・太一・・・幹也・・・」

 

太一「良かった。無事か?」

 

凛「え?えっと・・・あの・・・」

 

太一「あ!あ、あぁ・・・」

 

幹也「ヒューヒュー。」

 

太一「お前・・・!それよりその・・・怪我してないか?痛いとことか。」

 

凛「ううん、大丈夫・・・ありがとう。大丈夫だけど・・・でも、ここどこ?」

 

幹也「見た所、俺達が知らない世界なのは確かだ。」

 

 

 

 

 

 

夕方。3人が大草原を歩いている。太一と凛はスクールバッグを持ってるが、幹也は丸腰。

 

凛「ダメか・・・取り敢えず誰か人の住んでいる所を探して連絡しないと。」

 

スマホは圏外。

 

太一「って出来るのか?今どき携帯の使えない田舎ってどこだよ?」

 

凛「ここでしょ。」

 

幹也「極端な解釈。」

 

太一「なぁ・・・ここってさ、そもそも俺たちの住む世界なのか?」

 

凛「え?」

 

3人が立ち止まった。

 

幹也「確かに。あの魔法陣みたいなの、あれはCGとかそんなものじゃない。現実に現れたんだ。」

 

太一「きっと何か特別な力みたいなのを感じた。」

 

凛「やめて。」

 

太一「ゲームじゃあるまいしって俺も思う。でもやっぱりここは・・・」

 

凛「やめてって!そんなのある訳・・・!」

 

幹也「ん?おい!あれ!」

 

凛「え?」

 

太一「どうした?」

 

 

 

 

突然3人の前に、一本角を生やした漆黒の馬が現れた。

 

 

 

 

凛「何あれ・・・?」

 

幹也「黒い・・・馬・・・?」

 

そのモンスターは、3人を睨んでる。

 

太一「逃げろ!!」

 

3人が急いで逃げる。馬のモンスターが3人を追う。

 

太一「伏せろ!!」

 

凛「きゃっ!」

 

幹也「っ!!」

 

3人が伏せて、モンスターを避けた。

 

太一「あれは俺らの知ってる馬じゃない!まさか俺達は・・・!」

 

幹也「本物の異世界に来ちまったのか・・・?」

 

凛「そんな・・・!」

 

太一「走れるか?凛。幹也。」

 

凛「え?」

 

幹也「太一?」

 

太一「出来るだけ俺から離れて、何処かに身を隠せ。」

 

凛「太一何言ってるの・・・?」

 

幹也「お前まさか・・・!」

 

太一「俺が囮になる。その隙に逃げろ!」

 

凛「でも!」

 

太一「行け!」

 

凛「嫌だよ!そんな事したら太一が死んじゃう!」

 

太一「だからだよ!」

 

凛「え!?」

 

太一「だからだよ。こんな所で死ぬのは1人でいい。」

 

凛「・・・・・」

 

幹也「太一。俺を置いて死ぬのは感心しないなぁ。」

 

太一「幹也?」

 

幹也「俺も行く。俺達で奴の注意を引こう。」

 

太一「幹也・・・分かった!」

 

凛「そんな!幹也まで死んだら嫌だよ!」

 

幹也「心配するな。俺達は運動神経の宝の持ち腐れだ。ここで本領発揮してみせるさ。」

 

太一「早く行け。こんな時位、幼馴染みに良いカッコさせろよな。」

 

幹也「早く行け!!」

 

2人がモンスターに向かって走り出す。太一は左、幹也は右へ回った。

 

凛「太一!!幹也!!」

 

 

 

 

太一「おーーーい!こっちだ馬野郎!」

 

幹也「お前のご飯はここだぞーーー!!」

 

モンスターは左右を走る2人に困惑してる。

 

太一(ごめん凛・・・けど俺はお前を・・・)

 

落ちてる石を拾った。

 

太一「これでも喰らえ!!!」

 

その石をモンスターに投げた。だが石はモンスターに通用しない。

 

太一「マジかよ・・・まるで効いてねぇ・・・」

 

幹也「こいつを拝みな!!!」

 

右から幹也が木の枝を持って走り出し、モンスターの右前足を突き刺そうとしたが、枝が折れた。

 

幹也「げっ!!」

 

急いで後ろへ下がった。

 

幹也「効く訳ないか・・・」

 

投石と枝が効かないモンスターに、2人が挑発を仕掛けた。

 

太一「ざまあみろ!お前のエサは俺だ!ほら俺を追って来い!」

 

幹也「お前のご飯はここにも居るぞ!!どっちを食べるかお前の自由だ!!」

 

モンスターの怒りが上昇していく。

 

太一「そうだ怒れよクソったれ!とっとと来いよ!」

 

幹也「そのでかい図体は飾りか!?このウドの大木!!」

 

挑発に激怒したモンスターが幹也に火炎放射した。

 

幹也「そうだそのまま来い!!炙って俺を食え!!」

 

火炎放射が幹也に直撃しようとした次の瞬間。

 

”ガチン!!!!”

 

火炎放射が何かに弾かれ倒れた。

 

幹也「え?何だ?・・・ん?」

 

右手を見ると、白い物体が付着していた。

 

幹也「うえっ!何だこれ!?気持ちりぃ!」

 

モンスターが標的を太一に変えて、太一に火炎放射した。

 

幹也「あ!太一!!」

 

太一「っ!!」

 

 

 

 

???「エアカッター!!」

 

 

 

 

真横から光の刃が飛び、モンスターの首を斬り裂いた。

 

太一「え?」

 

幹也「何だ?」

 

???「悪くねぇ啖呵だったぜ!坊主達!」

 

スキンヘッドの男が、大剣を持ってモンスターの胴体を切った。モンスターが火炎放射を吐いて暴れる。すると茂みから弓矢が飛び出し、モンスターの腹部に突き刺さり、モンスターが討伐された。

 

???「やっぱり硬いな黒曜馬は。ミスリルの矢を使って正解だった。」

 

茂みから弓矢を持った若者が出て来た。

 

太一「黒曜馬・・・?」

 

幹也「あの馬の名前か・・・?」

 

若者「あの頭の角、あれ黒曜石で出来ているのさ。で黒曜馬。この辺りじゃ一番強い魔物だよ。」

 

幹也「成る程。だから木の枝で刺されない訳だ。」

 

スキンヘッド「馬のくせに火を吹くわ、肉食で人を襲うわ、とんだ厄介者だが・・・」

 

魔法使い「お金にはなる。こんがりやる。離れてて。」

 

現れた魔法使いの少女。

 

スキンヘッド「あんまり派手にやるなよ。」

 

若者「さぁ、お嬢さんはこちらに。」

 

然り気無く凛をエスコートした。

 

魔法使い「フレイムランス!!」

 

炎の魔法で黒曜馬を燃やした。

 

太一「凄え・・・」

 

幹也「本物の魔法だ・・・」

 

スキンヘッド「お見事。」

 

若者「流石メヒリャ。えげつない。」

 

メヒリャ「角はラケルタ、あなたが回収。」

 

ラケルタ「えー、力仕事はバラダーの役目でしょ?」

 

バラダー「ま、これでしばらくは食い繋げるな。」

 

 

 

 

この時、太一と幹也は確信した。

 

魔物にミスリルの矢、それに魔法。まるでRPGの世界だがここは確かに存在するリアルな世界だって事。

 

そして何の因果か知らないがあの魔法陣によって彼等はこの世界に飛ばされて来たと言う事。

 

ありえない無茶苦茶な設定かもしれない。だが1つだけはっきりしていること。それは・・・

 

この異世界で太一と凛と幹也は何としてでも生きていく。

 

そう言う事。

 

 

 

 

 

 

その夜、太一と凛と幹也は3人から話を受けた。

 

ラケルタ「ところで君達、何処から来たんだい?」

 

太一・幹也「え?」

 

ラケルタ「だってこの辺りの出じゃないだろ?黒曜馬の事も知らないし。」

 

太一「それは・・・」

 

ラケルタ「その服も変わってるな。仕立ては最高だし格好良いけど。」

 

幹也「俺達は・・・」

 

2人が凛を見ると、凛は外方向いた。

 

バラダー「余計な詮索はよせ ラケルタ。人には色々事情があるもんだ。」

 

メヒリャ「話したくないなら話さなくていい。」

 

太一「すみません・・・」

 

幹也「ありがとう・・・」

 

バラダー「だが旅をするなら丸腰は危険だぞ。特にこの辺りは最近魔物の襲撃が増えている。」

 

ラケルタ「ま、僕ら冒険者にとっては仕事が増えてありがたいけどね。」

 

太一(冒険者・・・)

 

幹也(・・・・・・)

 

メヒリャ「良くない。町へ向かう荷馬車が襲われている。人も消えている。」

 

バラダー「あぁ。どうもこの頃酷くなるばかりだ。」

 

幹也「なぁ、 今町って言ったよな?」

 

バラダー「ん?アズパイアの事か?」

 

太一「助けて頂いた上に、図々しいお願いかも知れませんが・・・」

 

バラダー「ハハッ!遠慮するな。勿論連れてってやるよ。」

 

ラケルタ「君達2人は兎も角、凛ちゃんみたいな可憐な乙女をこんな場所に丸腰で放り出せる訳ないしね。」

 

メヒリャ「人助けも冒険者の仕事の内。」

 

太一「皆さん・・・」

 

バラダー「けどその代わり、そこの嬢ちゃんとは朝までに仲直りしとけよ?」

 

太一・幹也「・・・・・」

 

 

 

 

 

 

その後。草木に座って夜空を眺める凛に、太一と幹也が来た。

 

太一「凛、さっきからずっと何怒ってんだよ?」

 

幹也「まだ拗ねてるのか?」

 

凛「怒ってないし、拗ねてない・・・」

 

太一「嘘吐け。ガキの頃から一緒に居るんだぞ?」

 

幹也「怒ると無口になる。お前の癖だ。」

 

凛「・・・・・」

 

太一「俺達がした事で怒ってんなら謝るよ。何がいけなかったんだ?」

 

幹也「怒ってる理由を正直に話せ。」

 

凛「あんな事・・・」

 

太一・幹也「え?」

 

凛「あんな事もうしないで・・・」

 

太一「あんな事って?」

 

幹也「俺達が囮になった事か?」

 

凛「私を置いて死ぬような事・・・」

 

太一「あぁ・・・あれは成り行きって言うか・・・」

 

幹也「俺も。1人より2人の方が作戦が上手く行くかと思って・・・」

 

凛「バカ!」

 

泣きながら2人を怒った。

 

太一「あ!」

 

幹也「凛・・・」

 

凛「男だからとかカッコつけないで!私を・・・私を1人にしないでよ!」

 

太一「凛・・・ごめん約束する。これからは何があっても俺は絶対凛を1人にしない。」

 

凛「うん・・・」

 

幹也「俺も誓う。俺達は死なないって。」

 

凛「うん・・・」

 

太一「ヤバい事になった時は、必ず3人で協力して乗り切る。」

 

凛「うん・・・」

 

太一「よし、それで決まりだな。いつもの。仲直りだ。」

 

幹也「仲直りのお呪い。」

 

凛「仕方ないなぁ・・・もう・・・」

 

グータッチで凛と仲直りした太一と幹也。

 

 

 

 

 

 

翌朝。ラケルタ達の馬車に乗せて貰い、アズパイヤの町へ送って貰った。馬車の中で雑談して盛り上がった。

 

 

 

 

アズパイヤ町に到着した。

 

バラダー「ここがアズパイヤの町だ。」

 

ラケルタ「ここがメインストリート。王都ウェネーフィクスには及ばないけど結構賑やかだろ?」

 

メヒリャ「辺境だけど、エリステイン魔法王国の要衝の地。私たちもこの町を拠点にしてる。冒険者ギルドはこの先。目立つからすぐ分かるはず。」

 

幹也「ありがとう。」

 

ラケルタ「でも君達、本当に冒険者になるつもりかい?言っておくけど、それなりに危険な職業だよ」

 

凛「はい、分かっています。」

 

太一「それでも俺達には仕事が必要だし、自分達の力でちゃんと生活していきたいんです。」

 

幹也「まずは俺達に出来る事を全力でやる。少しずつだが、安定した生活を手に入れるにはそれしか無いんだ。」

 

ラケルタ「そっか。」

 

太一「本当にお世話になりました。」

 

凛「ありがとうございます。」

 

幹也「この恩、一生忘れない。」

 

3人は頭を下げてラケルタ達にお礼を言った。するとバラダーが太一に金が入った小袋を渡した。

 

太一「?」

 

バラダー「餞別だ。当面の暮らしに使うといい。冒険者になるならそれなりの装備も必要になるだろう?」

 

メヒリャ「遠慮しなくていい。私達にはこれがある。」

 

黒曜馬の角。

 

凛「皆さん・・・」

 

バラダー「俺達はミスリルって宿を塒にしてる。困った事があったら訪ねて来い。」

 

ラケルタ「またね凛ちゃん。」

 

メヒリャ「健闘を祈ってる。」

 

彼等は3人に激励して去って行った。

 

幹也「良い人達に会えて良かったな。俺達。」

 

太一「ああ。それじゃ!」

 

凛「行こっか!」

 

 

 

 

 

 

アズパイヤの町・ギルドに到着。

 

幹也「ここがギルドか。」

 

 

 

 

ギルドに入った。

 

受付嬢「初めて見るお顔ですね。冒険者の登録ですか?」

 

太一「あぁ、はい。」

 

幹也「色んな冒険者が居るなぁ。」

 

受付嬢「登録は3人で宜しいですか?」

 

凛「はい。」

 

受付嬢「種族はヒューマン?」

 

凛「ヒューマン・・・人って事でいいのかな?」

 

幹也「人って意味だし、それで良いだろう。ん?おい太一、何周囲を観察してんだよ。ゲームじゃあるまいし。」

 

太一「あぁうん。あんまりそれっぽいんで驚いてた。」

 

幹也「お前なぁ・・・」

 

受付嬢「では、契約の詳細につきましてはこちらをご覧下さい。」

 

契約の詳細が記された手帳を渡した。

 

太一「何だよこの文字読めん・・・」

 

3人は日本人で異世界の文字は読めないと思いきや。

 

凛「”冒険者ギルドについて”。」

 

幹也「契約の詳細は・・・」

 

太一・凛・幹也「読める!!」

 

何故か読めてしまった。

 

太一「どう言う事だ?」

 

幹也「何で俺達、異世界の文字が読めるんだ?」

 

凛「分からないわよ。でも考えてみればこの世界の人達と普通に会話してるよね・・・」

 

幹也「言われてみればそうかもだけど・・・」

 

受付嬢「それでは最後に、魔力の適性検査を行います。」

 

水晶玉を出した。

 

太一・凛・幹也「え?」

 

受付嬢「冒険者になるには魔力が必要です。魔力が無い方は残念ながら登録する事は出来ません。難しい事は必要ありません。こちらの水晶に軽く触れて頂くだけです。」

 

太一・凛・幹也「・・・・」

 

受付嬢「どうかされましたか?」

 

太一「い、いえ・・・」

 

受付嬢「ではどうぞ。」

 

凛「はぁ・・・やってみる。」

 

まずは凛が水晶玉に触れる。

 

幹也(適性検査つっても、俺達に魔法なんて皆無なんだよなぁ〜。)

 

凛「・・・・」

 

太一・幹也「・・・・・」

 

しばらくしても、水晶玉は反応しない。

 

凛「はぁ・・・やっぱり、そう上手くは・・・」

 

幹也「ん?」

 

水晶玉に赤、黄、青、緑。4色の光が出現した。

 

受付嬢「ま、待って!凛さんあなた一体何者ですか!?」

 

凛「は?」

 

受付嬢「太一さん幹也さん!まさかあなた達も・・・!?」

 

太一「えっと・・・話が全然見えないんですけど・・・」

 

幹也「何があったのか説明を・・・」

 

受付嬢「水晶玉に手を!」

 

幹也「じゃあ、俺から。」

 

次は幹也が水晶玉に触れてみる。すると。

 

”シュルルルルル!!”

 

突然蜘蛛の糸が現れて、水晶玉が包まれた。

 

太一・凛・受付嬢「え!?」

 

幹也「な、何だこれ!?蜘蛛の糸!?どうなってんの!?太一、お前も!」

 

太一「あ、ああ・・・」

 

最後は太一。水晶玉に触れた瞬間。

 

”バリバリ!”

 

蜘蛛の糸が破れ、水晶玉にヒビが入った。

 

凛・幹也・受付嬢「え!?」

 

太一「え!?」

 

受付嬢「そ、そんな・・・!ちょ、ちょっとここでお待ち下さい!」

 

何か異常事態が起きたのか、受付嬢がその場を後にした。ギルドの冒険者達が3人を見てる。

 

幹也「皆こっち見てる・・・」

 

太一「あぁ・・・これってもしかして・・・」

 

凛「面倒な事になった?」

 

 

 

 

しばらくすると。

 

冒険者A「おい見ろよ。」

 

冒険者B「うへぇ、直々のお出ましかよ。」

 

冒険者C「おまけに金の剣士も居るぞ。」

 

階段の上から受付嬢と、髭を生やした男、そして金髪の美女が下りて来た。

 

太一・凛・幹也「・・・・・」

 

ジェラード「問題の3人とはお前さん達の事かね?ギルドマスターのジェラードだ。」

 

太一「ギルドマスター・・・」

 

凛「偉い人だよね?」

 

幹也「多分な。」

 

ジェラード「生憎だが、今ここでお前さんたちを冒険者登録する事は出来ん。」

 

太一「え!?どうしてだよ!?」

 

凛「登録出来ないって・・・それじゃあ仕事も出来ないって事ですか!?」

 

幹也「俺達無職のまま!?」

 

ジェラード「慌てるでない。ミューラ。」

 

ミューラ「えぇ。」

 

金の剣士と呼ばれる少女ミューラ。

 

ジェラート「お前さん達にはこれから、彼女ととある場所に行ってもらう。然るべき助言が得られる所にな。」

 

太一「とある場所って?」

 

幹也「どう言う事だ?」

 

凛「そんな・・・何の説明も無しに言われても・・・」

 

ジェラード「行けば分かる。行かねば冒険者にはなれない。」

 

太一・凛・幹也「・・・・・」

 

ミューラ「あら?そんなに私が信用ならないのかしら?」

 

幹也「いや、俺達初対面だけど・・・」

 

 

 

 

 

 

その後。ミューラに連れて来られた場所は、山奥の小さな家。ミューラがドアにノックする。

 

ミューラ「ただいま戻りました。

 

???「おう、帰ったか。」

 

ドアを開けたのは、1人の女性。

 

凛「っ!!見ちゃダメ!!」

 

太一「のわっ!痛いって!指が目に!」

 

幹也「おい凛苦しい!!見ないから放して!!」

 

凛「ちょ、ちょっとダメだから!あの・・・えっと・・・!」

 

ドアを開けた女性は下着姿。凛は太一の目を手で覆い、スクールバッグで幹也の顔を埋めた。

 

ミューラ「もう!なんて格好をしてるんです!」

 

???「私の家だ。好きな格好をして何が悪い。」

 

ミューラ「お客様です。」

 

???「お?おーよく来たな。ここの主のレミーアだ。歓迎するぞ 少年少女。」

 

 

 

 

服を着たレミーアがミューラと太一達3人を招いた。

 

レミーア「成る程。ギルドの計測器ではお手上げだったと言う訳か。」

 

ミューラ「えぇ。それでギルドマスターからレミーアさんにお願いしたいと。」

 

太一「それで俺達は何をすれば・・・」

 

レミーア「これを試して貰う。」

 

渡したのは、木で出来た円形の板。

 

凛「これは?」

 

幹也「板?」

 

レミーア「それは魔力量と魔力強度を測るものだ。私が作った。魔力量とはその者が持つ事の出来る魔力の容量、魔力強度は言葉の通りだ。」

 

太一「やっぱRPGみたいだな。」

 

ミューラ「アールピージー?聞いた事ない言葉ね。」

 

太一・凛・幹也「あ!」

 

凛(太一!)

 

幹也(余計な事言うなよ!)

 

太一(わりぃ・・・)

 

レミーア「まぁよい。要はお前達がどれ位強い酒をどれだけ入れられる器か、それを知る為の装置だと言う事だ。」

 

彼女が左手で魔法を発動した。それと同時に、3人の持つ魔力を測る道具が光った。

 

レミーア「その者の力を示したまえ。」

 

すると板に文字が出現した。

 

太一「文字が!」

 

凛「凄い!」

 

幹也「浮き出た!」

 

浮き出た文字をレミーアが読む。

 

レミーア「っ!」

 

文字を読んだレミーアの表情が変わった。

 

ミューラ「レミーアさん?」

 

レミーア「いやこれは驚いた。」

 

凛「あの・・・何か可笑しな事でも?」

 

太一「まさか魔力量0とか!?」

 

幹也「嘘!?」

 

レミーア「フフフ。魔力が0だと?よくもまぁ。」

 

ミューラ「嘘っ!?こんな数値って・・・!」

 

魔力量を見たミューラが驚いた。

 

幹也(一体俺達の魔力量って・・・)

 

太一「それで、俺達は冒険者になれるんですか?」

 

レミーア「あぁ、なれるだろうよ。」

 

太一・凛・幹也「・・・!」

 

3人がホッとした。だが。

 

レミーア「ただし太一、凛、幹也。お前達には今日から私の弟子になって貰う。」

 

太一・凛・幹也「え?えぇぇーーーーー!?」

 

突然弟子宣言。

 

 

 

 

 

 

その夜。ある城にて。

 

男「では召喚術の妨害は成功したと?」

 

部下「はっ!しかし術者が強力ゆえ狂いを生じつつも術式自体は発動した模様。」

 

男「迷い人の探索は?」

 

部下「すでにあらゆる町に網を張っております。数日の内にも一報が届くかと」

 

男『それは良い。あのお方も期待している。励めよ。」

 

部下「はっ!」

 

男「異世界からの迷い人か・・・」

 

その男の手には、破られた木の葉が握られていた。

 

『END』




         キャスト

      西村太一:天崎滉平
       吾妻凛:高橋李依
      雲居幹也:佐藤元
      ミューラ:田中美海
      レミーア:大原さやか

     ジェラード:魚建
       受付嬢:鎌倉有那
      バラダー:紀ノ貴紀
      ラケルタ:田丸篤志
      メヒリャ:七瀬彩夏

        兵士:八木岳
           中村源太

       謎の声:久保ユリカ
     ローブの女:末柄里恵
       謎の男:下野紘

次回・魔術修行
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