異世界チート三重奏《トリニティ》   作:naogran

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風が吹く草原に佇む太一。すると。

謎の声「ウフフ♪」

太一「っ!?」

彼にしか聞こえないあの声が再び聞こえた。

太一「そこに居るのか!?誰なんだ!?何故俺を呼ぶ!?」

謎の声『待ってるから。』

太一「待つって何を?」

謎の声『もうすぐだよ太一。もうすぐ・・・』

太一「なぁ!お前は一体・・・」

手を伸ばした瞬間。






太一「はっ!!」

ふと目が覚めた。先程の光景は、太一の夢の中だった。

太一「はぁ・・・またあの夢か・・・」

ベッドから起きて、窓を開けた。今日の天気は快晴。




2週間前。太一と凛と幹也は再びアズパイアの町に戻って来た。

冒険者登録を無事済ませ、恩人達との再会を果たした。

そして今は、Eランクの冒険者として小さな依頼をコツコツこなして行く日々を送っている。

慣れてしまえば異世界の暮らしはそう悪くない。

3人は今、宿屋ミスリルを宿泊地にしている。




太一「さぁ、今日も働きますか!」


第3話・駆け出し冒険者

アズパイアの町・宿屋ミスリル。

 

凛(エリステイン魔法王国は、西大陸北部にある世界一魔術が発達した国家である。人口2000万人、国民の約8割が基礎魔術を扱えると言われている。世界三大国家にも数えられるエリステイン魔法王国の国力はまさにこの魔術師の人口を多さ・・・)

 

太一「また朝から勉強か?」

 

凛「ん?」

 

勉強中の凛に太一と幹也が来た。

 

太一「律儀だな。この世界に来て一番いい事は試験が無いって事なのに。」

 

幹也「学校もなくて結構快適だ。」

 

凛「あのねぇ、冒険者としてこの国の事も少しは知っておかなきゃでしょ?」

 

太一「国ねぇ・・・あ!ここがアズパイアか。」

 

凛が読んでる本に記されてる地図を見た。

 

幹也「辺境の町って聞いてたけど、王都ウェネーフィクスがここだろ?結構距離があるんだな。凡そ100キロありそうだ。」

 

凛「そうなの。でもすぐ東にシカトリス皇国、ガルゲン帝国との国境があるでしょ?だから人や物の交流が盛んで古来よりエリステイン要衝の地として栄えて来たんだって。」

 

太一「へぇ〜。」

 

???「おはよう太一君。幹也君。」

 

太一「あぁ。おはようアルメダ。」

 

幹也「今日も良い天気だな。」

 

彼女はアルメダ。宿屋ミスリルの店主。

 

アルメダ「朝ご飯今すぐ持って来るね。今日のスープは絶品だよ!」

 

太一「それは楽しみだな!」

 

アルメダ「あ。後これ。さっきギルドの使いの人が来て、”太一君と凛さんと幹也君に”って。」

 

ギルドからの手紙を出して、太一に渡した。

 

太一「ギルドから?」

 

凛「ん?」

 

幹也「何て書いてるんだ?・・・え!?」

 

太一・凛・幹也「召喚状!?」

 

それは、ギルドからの召喚状だった。

 

 

 

 

 

 

朝食後。ギルドへ向かった。

 

太一「毎日顔を出してるのに、わざわざ召喚状まで寄越して一体何の用事だ?」

 

マリエ「こちらを。」

 

受付嬢のマリエから依頼書を渡された。

 

幹也「仕事の依頼?」

 

凛「スラム街の酒場の調査?」

 

太一「内容は・・・酒場に来る客の観察とバーテンダーへの聞き込み。報酬は銀貨7枚。それと持ち帰った情報の質によりプラス出来高払い。」

 

ジェラード「近頃、商店や荷馬車から盗まれた品物がスラムを経由して密かに街に運び込まれているとの情報があった。」

 

マリエ「密売者・転売先・物品の行方。3人にはそれを探って頂きます。」

 

幹也「俺達Eランクなのに、Dランク向けの仕事を寄越すとはどう言う訳だ?」

 

マリエ「本ギルドの規定によるとパーティであれば、1つ上のランクの依頼も請け負う事が可能です。」

 

幹也「あ、そっか。」

 

太一「え?そうなのか?」

 

凛「太一、最初に貰ったパンフレットちゃんと読んでないでしょ。」

 

太一「うい・・・」

 

凛「でもこの依頼。×が2つ付いてるって事は既に2度失敗してるって事ですよね?つまり次 失敗すれば・・・」

 

ジェラード「ウム。依頼する冒険者をCランクに上げ、見積もりを誤ったギルドが差額を保証せねばならん。」

 

太一「それで俺達にってか?意外とせこいな。」

 

ジェラード「オホン!兎も角、お前さん達はあのレミーアの弟子だ。強さはお墨付きどころか常識が尻尾を巻いて逃げ出す強さ。師匠はそう言って寄越したぞ?」

 

太一「レミーアさんが!?」

 

ジェラード「どうだ?やってみるか?成功すればDランクに昇格だぞ。」

 

太一・凛・幹也「っ!!」

 

 

 

 

 

 

ギルドを出て商店街を歩く。

 

太一「さて調査は夜にならないと出来ねぇし、久しぶりにゆっくりするか。」

 

凛「そう言えば、ここの所働き詰めだったもんね。」

 

太一「あぁ。最初の頃は悲惨だったよな。瓦礫の処理とかドブ浚いとか。」

 

幹也「芸能人で例えると下積みだったな。」

 

凛「うん。」

 

太一「レミーアさんの言い付けで魔力を使った身体強化は戦闘時のみ。しかも30までって釘を刺されてるしさ。」

 

凛「仕方無いよ。それ以上強化したら太一、人間卒業しちゃうでしょ?」

 

太一「そうだなぁ・・・っておい!」

 

幹也「人間卒業したら悪魔になっちゃうかもな。」

 

太一「怖えよ!!」

 

凛「あ、メリラの実だ!」

 

メリラの実を売ってる店へ走った。

 

凛「すみません!それ幾らですか?」

 

店主「はいよ。3つで銀貨1枚ね。」

 

凛「え?そんなに?」

 

太一「どうかしたのか?」

 

凛「メリラの実3つで銀貨1枚だって。」

 

幹也「銀貨1枚って大体1万円位か。それにしては高過ぎないか?」

 

凛「うん。先週はこの半値だったのに。」

 

店主「悪いなお嬢さん。メリラは今品薄でこれでも大安売りだ。」

 

幹也「え?メリラの実は町の名産品だろ?今品薄なのか?」

 

店主「あぁ。だが仕入れようにも肝心の品物が全然入って来ないのさ。近頃、急に町に食料を運んで来る荷馬車の数が減ってな。ここだけの話 ”町へ来る途中魔物に襲われてるんじゃないか”なんて物騒な噂もある位で。」

 

太一・凛「え?」

 

幹也「魔物?」

 

店主「実はメリラだけじゃない。今じゃ市場の殆どが品不足だ。魔物だか何だか知らないがどうにかして欲しいもんだよ。」

 

幹也「そっか・・・」

 

 

 

 

 

 

メリラの実を3つ購入した。

 

凛「良いの?高かったのに。」

 

太一「だって凛の好物だろ?」

 

幹也「俺と太一で割り勘したしな。」

 

凛「そうだけど・・・」

 

太一「それに、売れなきゃ店の人はもっと困るだろ?実際困ってたし。」

 

幹也「見てるだけで悲惨に思う。」

 

凛「うん・・・」

 

幹也「凛。今何考えているんだ?さっきの噂の事か?」

 

凛「うん。2人と同じ事。」

 

太一「だよな。」

 

 

 

 

裏路地でメリラの実を食べる。

 

凛「荷馬車が魔物に襲われてるって噂、本当だと思う。」

 

太一「確かに引っ掛かるよな。」

 

幹也「噂にしちゃあ、出来過ぎてるように思える。」

 

太一「奪われた食料がスラムに流れてるとしたら、俺達が受けた依頼とも繋がって来る。」

 

凛「気を引き締めて行かないとね。」

 

幹也「Dランクの冒険者が2度もボコられた相手だ。けど、これだけは言える。」

 

太一・凛「?」

 

幹也「俺達は負けはしないって。」

 

太一「ああ。」

 

凛「うん。」

 

 

 

 

遠くから3人を見るフードの人物が居た。

 

 

 

 

 

 

夜になり、スラム街の酒場へやって来た。裏路地から様子を見る。

 

幹也「お〜お。中は賑やかなパーティーやってるみたいだ。」

 

 

 

 

3人が酒場に入った。

 

太一「邪魔するよ〜。」

 

幹也「こんばんは〜♪」

 

入って来た3人を、客達とバーテンが見た。3人がカウンターに座る。

 

太一「えっと、エールを3つ。」

 

バーテン「そんな弱い酒はねぇな〜。」

 

客A「だとよ!ガキは水でも飲んでとっとと帰んな!」

 

客B「お嬢ちゃんは置いてけよ。俺たちがタップリ遊んでやるからさ。」

 

幹也「そっかぁ〜。しゃあない。ほんじゃ水!俺ミルクね!」

 

客達「・・・・・」

 

バーテン「・・・・」

 

水2つとミルクを出した。

 

バーテン「肝が据わってるじゃねぇか。その度胸に免じて特別だ。」

 

太一「そいつはどうも。」

 

幹也「いっただきま〜す。」

 

バーテン「にしてもお前ら、よくそんななりでここまで来れたな。」

 

太一「ん〜。俺達バカだからさ、こう言う空気が好きなんだよ。」

 

幹也「ここを通る時、楽しそうなパーティーがここから聞こえたからな。」

 

凛「身の守り方くらい知ってるわ。」

 

周囲を見ると、沢山の酒や料理が出てる。

 

凛「太一。幹也。」

 

幹也「ああ。」

 

太一「所で噂で聞いたんだが、ここじゃ表で流れてない物が手に入るんだって?」

 

バーテン「何の話だ?」

 

凛「知ってるでしょ?町の市場は品不足で困ってるの。おかげで物の値段もどんどん上がってる。」

 

幹也「だから俺達も1つ商売しようと思ってさ。もし何処かでそいつを仕入れる事が出来れば、裏で捌いて大儲け出来る。市場より安くすれば尚更だぜ。」

 

バーテン「よしな。素人が手を出す事じゃねぇ。」

 

凛「ここでは何でもお金で買える。そう聞いてきたんだけど?」

 

大量の金貨が入った袋をカウンターに置いた。

 

客達「!!!」

 

凛「映画とかだと大抵食い付いて来て上手く行くんだけど・・・」

 

太一「まぁフィクションだからな。それに・・・」

 

客達は金じゃなく太一と凛と幹也に食い付いてる。

 

凛「こっちが食い付いて来たみたい・・・」

 

幹也「ノンフィクションになっちまったな・・・」

 

太一「しょうがねぇなぁ。」

 

幹也「んじゃ、ちょっくら遊んでやりますかな?」

 

 

 

 

バトル開始。

 

客達「ぐあっ!ぐはっ!ぎゃあああ!!」

 

 

 

 

バトル終了。

 

客A「し、知らねえよ!」

 

幹也「おい、まだしらばっくれる気か?良い度胸だなぁ。」

 

客A「本当に知らないんだ!!ここで知り合った男に頼まれたんだ!良い仕事があるって!」

 

客B「酔ってたし、いちいち名前なんか聞いてねぇよ!」

 

客A「それに言われた場所に俺らが行った時にはもう襲われた後だった!馬車と積み荷しか残ってなかったんだよ!」

 

太一「本当か?」

 

客B「俺達はそいつを町に運んだだけで・・・」

 

太一「で、何処に運んだ?」

 

幹也「答えねえと全身骨折の刑に処するぞ?」

 

客A「町の入り口まで。その先は知らねぇ。ちぃーとばかし荷物をちょろまかしただけでさぁ。」

 

客B「嘘じゃねぇ!信じてくれ!」

 

バーテン「その辺にしときな。確かにそいつらが盗んだものはこの店で捌いた。だがその程度の事はここじゃ日常茶飯事だ。”余計な事は深追いすんな” それがここのルールだ。金は要らねぇ。帰ってくれ。」

 

 

 

 

 

 

酒場を後にした。

 

凛「結局、大した情報はなかったね。」

 

カウンターに置いた袋の中身は、金じゃなく釘とか石とかのガラクタだった。

 

太一「あぁ。Dランクの冒険者をぶちのめした連中にも見えなかったしな。」

 

凛「だよねー。」

 

人気のない夜道を歩いていると。

 

幹也「・・・なぁお2人さん、何か感じないか?」

 

太一「ああ。完全に感じてる。」

 

凛「うん。店を出てからずっとだよね。」

 

幹也「どうやらこっちが本命みたいだな。じゃあ・・・レッツゴー!!」

 

3人が走り出すと、フードを纏った人物が屋根の上から3人を走って追い始めた。

 

幹也「お!カモのお出ましか!」

 

前方に3人の人物が立った。その3人の正体は、女だった。

 

太一(女?)

 

幹也(くの一か?)

 

2人の女が迫る。太一と幹也が前に出た。

 

太一「っ!!」

 

剣で女のナイフを防いだ。

 

幹也「よっと!!」

 

蜘蛛の糸で剣を形作ってナイフを防いだ。

 

太一(速い。にしても相手が生身の人間ってのは・・・)

 

幹也「ちぃーとやり難いな。」

 

女達が下がった。

 

凛「って言ってる場合?ここで何とかしなくちゃ依頼は完了しないでしょ?」

 

太一「だな。しかも俺達を襲って来たって事は、奴ら自身が貴重な情報源になり得るって訳だ。」

 

凛「有力情報については、プラス出来高払いよ。」

 

太一「そいつは結構。」

 

幹也「じゃあそいつを持ち帰って金持ちコース歩こうぜ。」

 

太一(目的は敵の捕縛。本来なら強化は10って所だが・・・)

 

女A「っ!!」

 

1人の女が太一に迫る。だが太一は避けて女を転ばせ。

 

太一「はぁっ!!!」

 

張り手で女を突き飛ばした。女は壁に激突して倒れた。

 

太一「しまった!少しやり過ぎたか!?」

 

もう1人の女が迫って来た。

 

幹也「おっと!」

 

蜘蛛の糸を飛ばし、女を束縛した。

 

女B「っ!?」

 

束縛された女は身動き出来ず、地面に倒れた。

 

幹也「悪いな、これも仕事だ。少し快眠取らせてやるよ。」

 

パンチで女を眠らせた。

 

太一「よぉ、下っ端に戦わせて大将気取りのお前。形勢逆転だがどうする?」

 

女C「・・・!」

 

幹也「もしかして下っ端の力がなきゃ戦えない腰抜けになっちまったのか?」

 

凛「・・・あ!太一!幹也!」

 

壁に激突した女が爆弾に火を点けて投げた。

 

幹也「爆弾!?」

 

爆弾が爆発し、周囲に煙が撒かれた。

 

幹也「クッ!スモークグレネードか!」

 

凛「風よ!」

 

風魔法で煙幕を吹き飛ばした。しかし2人の女の姿が何処にも無かった。

 

凛「逃げられたみたいね・・・」

 

幹也「だが1人は確保出来た。今回の仕事の有力情報だ。」

 

凛「この人達、結構強かったよね。」

 

太一「あぁ。本気で俺達を殺しに来てた。」

 

幹也「仲間を平気で見捨てる辺り、ただ金で雇われたプロの殺し屋・・・つまりアサシンって訳か。」

 

凛「殺し屋!?じゃあ私達を脅して調査から手を引かせる事が目的じゃないって事?」

 

太一「分からん・・・でも取り敢えず。」

 

凛「どうする?このままギルドに届ける?」

 

太一「そうだな。」

 

幹也「ギルドまで俺の蜘蛛の糸で運搬するか。」

 

 

 

 

 

 

冒険者ギルド・地下牢。

 

女「・・・?」

 

ジェラード「気が付いたか?」

 

女「!?」

 

その女は椅子に縛られている。

 

ジェラード「生きているのが不思議か?仕事をしくじったアサシンには通常2つの道しかない。追って来た仲間に口封じされるか、自ら死ぬかだ。安心せい。ここには秘密裏に運び込んだゆえ追ってはこない。お前さんが襲った少年に”ここで保護してくれ”と頼まれているのでな。」

 

女「!?」

 

ジェラード「拾った命 どう使うかはお前さん次第だ。よく考えるといい。」

 

女「どうして・・・」

 

 

 

 

 

 

数日後。宿屋ミスリル。

 

宿泊客A「おい、アレ見ろよ。」

 

宿泊客B「へぇー!噂通りの美人!」

 

アルメダ「あ、おかえりなさーい!3人にお客さん来てるよ!」

 

太一『お客さん?」

 

ミューラ「太一、凛、幹也。久しぶりね。」

 

凛「ミューラ!」

 

幹也「あれま久し振り!」

 

客人の正体はミューラだった。

 

ミューラ「おめでとう。Dランクに昇格したそうね。」

 

 

 

 

その後ミューラに昨日の夜の出来事を話した。

 

ミューラ「成る程。魔物の増加と町の食料不足、更には物品の横流しと3人を襲ったアサシン・・・何処がどう繋がるか分からないけど、気になる情報ね。」

 

凛「捕まえた族と酒場の一件については、ギルドマスターにお任せしてあるから、取り敢えず心配なさそうだけど・・・」

 

太一「って言っても町の物価はどんどん上がってるんだよな。」

 

幹也「メリラの実なんか、先週まで銀貨1枚で3個買えたのが今はたったの1個になっちまった。ここ数日で3倍になるなんてどう考えても可笑しい。このままじゃ俺達の他、客さん達も心配になる。」

 

ミューラ「伝え聞いていたよりずっと状況は深刻そうね。だけどメリラの実、凛の好物についてだけは解決出来るかも知れないわ。」

 

凛「どう言う事?」

 

ミューラ「実は今日3人に会いに来たのは、パーティを組む為なの。」

 

太一「パーティー?」

 

ミューラ『太一、凛、幹也。私と組んで仕事する気はない?」

 

幹也「俺達と?」

 

 

 

 

 

 

パーティーを組んだ後、馬車で何処かへ向かった。

 

ミューラ(この私がまさか誰かとパーティを組むとはね。)

 

 

 

 

 

 

何故パーティーを組むと言う話になったかと言うと、先程の会話の後にて。

 

ミューラ『最近、北の森で収穫期を迎えたメリラの実がごっそり盗まれると言う事件が頻発しているそうなの。』

 

凛『つまり泥棒のせいで極端な品薄になっていたのね。』

 

太一『それが値上げの原因か。』

 

幹也「犯人もメリラの実が大好物って訳か。」

 

ミューラ『しかも連中はかなり腕の立つ魔術師を護衛に付けていて、農夫では太刀打ち出来ない。それでギルドに依頼が来たって訳だけど。依頼内容はメリラ畑の巡回警備の護衛と犯人の捕縛。そして魔術師の撃退。で、報酬は銀貨500枚。』

 

太一『500!?』

 

幹也『マジかよそんなに!?』

 

凛『すっごーい!』

 

 

 

 

 

 

そして現在に至ると言う訳である。

 

ミューラ(ほんと意外。ずっと1人で出来たし、1人でやって来た。だけど、こう言うのも良いものね。)

 

 

 

 

 

 

夕方。北の森に到着した。3人の農夫が出迎えてくれた。

 

農夫A「冒険者の皆さんですね。よく来て下さいました。」

 

農夫B「これで大切なメリラを盗む輩を一網打尽に出来る。」

 

農夫A「マギルだ。」

 

農夫B「ライテだ。宜しく。」

 

農夫のマギルとライテが太一と幹也に握手をする。

 

太一「ああ、どうも。」

 

幹也「宜しくな。」

 

マギル「定例の巡回は朝行いますが、まずはメリラの畑に皆さんをご案内しましょう。」

 

ライテ「さぁ、どうぞ。」

 

カシム「私がギルドに依頼したカシムです。」

 

依頼人のカシムが太一と幹也に握手をした。

 

太一・幹也(!?)

 

握手した時、太一と幹也が何かを感じた。

 

カシム「どうかしました?」

 

太一「あぁ・・・いえ。」

 

幹也「何でもない。」

 

カシム「では、私達も畑に。」

 

凛「えぇ。」

 

太一「・・・・」

 

幹也(あのカシムって男。農夫のはずなのに、何か違和感が・・・)

 

 

 

 

 

 

メリラの実の畑。

 

太一「へぇー、メリラの実ってこんな山の中で育てられてたのか。」

 

マギル「本来外の方には明かさないのですが、北の森にはこうした農園が数ヶ所点在しています。」

 

ライテ「代々守ってきた大切な土地だ。メリラは栽培が殊の外難しくて。」

 

マギル「先日被害に遭ったのがここです。ようやく次の実が出来て来ましたが・・・」

 

凛「はっ!」

 

持っている杖が眩しく光った。

 

ミューラ「凛?」

 

太一「何か引っ掛かったのか?」

 

凛「来る。」

 

杖を山奥の方へ向けると、光が増した。

 

マギル「盗人か!?」

 

ライテ「くそっ!また来やがったか!」

 

凛「待って下さい。違う。こっちに向かって来ているのはもっと大きなもの・・・人ではない。」

 

ミューラ「皆さんは私たちの後ろに。危険を感じたらすぐに逃げて下さい。」

 

マギル「いやしかし・・・」

 

太一「その為に俺達が居るんです。」

 

凛「来る!近いわ!」

 

幹也「来やがれ。」

 

右手首から蜘蛛の糸を引っ張る。

 

遠くから巨大な足音が響いた。その足音の持ち主が姿を表した。

 

マギル「なっ!?」

 

ライテ「何だあれは!?」

 

 

 

 

巨大なオークと、オーガの尖兵だった。

 

 

 

 

カシム「オーガとオーク!何故こんな所に!」

 

幹也「?」

 

太一「ミューラ、でかいのは俺と幹也が。ミューラは猪を片付けてくれ。」

 

ミューラ「分かったわ。」

 

幹也「凛!守りと援護頼むぜ!」

 

凛「了解!」

 

ミューラ「さぁ、行くわよ!!」

 

オーガに向かって走るミューラ。

 

ミューラ「ハアアァァァ!!!」

 

剣が1体目のオーガの首を斬り落とした。今度は2体目のオーガの右腕を斬り落とし、ジャンプして剣を逆手に持って、オーガの項を突き刺した。そして3体目のオーガの胴体を切断した。

 

太一「流石!幹也!こっちもやりますか!」

 

幹也「よっしゃ行くぜ!!」

 

2人がオークに向かって走る。

 

 

 

 

マギル「本当に大丈夫なんですか?エルフのお嬢さんはまだしも・・・」

 

凛「大丈夫ですよ。ああ見えて太一と幹也は強いですから。」

 

ライテ「しかし見た事もないあんな化け物と・・・」

 

カシム「・・・・・」

 

 

 

 

オークが幹也に向けて棍棒を振り下ろすが。

 

幹也「あらよっと!!」

 

蜘蛛の糸を飛ばし、オークの首に付着させて飛び、そのまま後ろへ回ってオークの頭上に乗った。

 

幹也「そんな危ないおもちゃで遊んじゃメッだぞ?」

 

両手首から蜘蛛の糸を飛ばし、オークの両目を目潰しした。

 

太一(ナイス幹也。これで奴は何も見えない。じゃあ強化は30・・・いや35にして一発で決める!)

 

幹也「ちょいと借りまっせ。」

 

蜘蛛の糸で棍棒を持って、後ろの木をダッシュで登り、天辺から大ジャンプする。

 

太一「行くぜデカブツ!」

 

幹也「俺達からのプレゼントだ!」

 

太一・幹也「おりゃぁぁああああ!」

 

オークの眉間に太一のパンチ、オークの脳天に棍棒が命中した。オークとオーガの討伐完了。

 

 

 

 

 

 

その夜。メリラの実農場の小屋。

 

ミューラ「ええ、そう。凛が指摘する通り、北の森は本来オークやオーガの生息地じゃないわ。」

 

太一「って事は、やっぱりアイツが怪しいな。」

 

幹也「ここが家じゃないオークとオーガを知ってる時点で怪しさプンプンだぜ。」

 

凛「つまり今日の襲撃自体、仕組まれた可能性があるって事?」

 

太一「あぁ。そんな気がする。」

 

幹也「その原因を絶てば解決だな。」

 

ミューラ「太一、凛、幹也。今の段階で結論を出すのは早計よ。メリラの盗難と今日の事がどう繋がるかは、相手の出方を見てからでないと・・・」

 

太一・凛・幹也「おぉ・・・」

 

ミューラ「何?」

 

太一「いや・・・まぁ・・・」

 

幹也「何て言うか・・・その・・・ね?」

 

凛「ミューラったら、真面目な顔して結構過激な事言うんだ。」

 

ミューラ「はぁ?」

 

凛「だって、相手の出方を見るって事はこっちから仕掛けてやろうって事でしょ?」

 

ミューラ「まぁそう言う事になる・・・のかしら?」

 

太一「乗った!」

 

凛「私も!」

 

幹也「賛成だ!」

 

ミューラ「太一、凛、幹也・・・良いわ。私達を侮ったらどうなるか、目に物見せてやりましょう!」

 

 

 

 

 

 

その後。幹也は部屋で1人考え事をしている。

 

幹也(あのカシムって野郎、農夫の癖に違和感出してたな。けどこの違和感の正体は何だ?)

 

 

 

 

外では、小屋を見る蜘蛛が居た。

 

蜘蛛「・・・幹也・・・」

 

その蜘蛛から声がした。

 

 

 

 

 

 

森の奥。赤い光が禍々しく光っていた。そこでは、人間達と大量の魔物の亡骸が横たわっていた。

 

謎の女「フッ♪よし、吸え。」

 

人間達と魔物達の亡骸から血液が一滴も残らず、女の手に吸収された。

 

謎の女「フッ、アレに食わせるにはこれで充分だろう。あぁ・・・たまんねぇ・・・疼いて来やがった・・・だが今はまだ・・・お楽しみは明日。待ってろ冒険者度も。私が逝かせてやるからさ。」

 

フードを被った女が透明になって姿を消した。この女の正体は一体・・・

 

『END』




         キャスト

      西村太一:天崎滉平
       吾妻凛:高橋李依
      雲居幹也:佐藤元
      ミューラ:田中美海

       カシム:下野紘
       謎の女:日笠陽子
       謎の声:久保ユリカ
        蜘蛛:伊藤美来

     ジェラード:魚建
       マリエ:鎌倉有那
      アルメダ:杉村ちか子
       マギル:江頭宏哉
       ライテ:原田琢磨
        店主:八木岳
      バーテン:藤原聖侑
       冒険者:田中廣義
      アサシン:真野あゆみ

次回・真紅の契約
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