やっぱりヤンデレっていいよね?短編集   作:葉・緑・体

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 初めての小説
 違和感とかあったら教えてくれると嬉しいなぁ


高身長げき強パーティメンバーさん

 

 

 やあ!みんな!剣と魔法が飛び交う、冒険者ギルドがあるタイプのガチガチ中世ファンタジーに転生した男。ルカだ!

 前世の記憶では、俺は高校生だった。

 名前は覚えちゃいないが、そこそこに友達がいて、授業に文句垂れて、趣味のラノベを読む。そんな程度の人間だった。因みに死因は覚えていない。

 

 

 とまあそんな事は置いといて。

 この世界は、ファンタジーにしては珍しく、国が1つしかない。

 何百年も前に統一されたんだ。ちなみに国の名前はカルーシュ。覚えた所で意味はない。

 

 

 俺は、そのカルーシュの首都。王城が聳え立つ王都から程々に遠くに位置する、名も無き村で生まれたんだ。

 まぁファンタジーにお決まりの魔物なんかもいるんだが。

 村の周辺には、そんなに強い魔物も生息してなかったから、月一位の頻度で、ボアって弱い魔物が村の畑に迷い込んでは村の大人達にボコボコにされるくらいだった。

 因みにこの世界の魔物は食えないぞ。魔物の魔素と人間の魔素の性質の違いで反応し合ってどうたらこうたらで危ないらしい(by物知りな爺さん)

 

 

 だがな?こんなガチガチファンタジーに転生したなら、冒険者になって名を上げたいって思うのは男の性だろ?

 で、俺も例にもれず、冒険者に憧れて、成人ちょっと前くらいで、村から飛び出して、コツコツ貯めたお小遣いで王都に行って、冒険者になったんだ。

 あ、この世界では、成人も飲酒も20からな。で、俺は18歳。

 

 

 最初は大変だったさ。

 低ランクの冒険者なんて、何でも屋と変わんないからな。

 手紙を渡してくれ、だの、引っ越しの手伝いが、だの、ペットの散歩が、だのそんな程度の物しか無い。

 

 

 でも、前世では、バイトして無かったから、こんなのも中々新鮮で。

 3.4ヶ月位したらランクが上がって、王都の外に出る様なクエスト(薬草採取とか)も受けれる様になったんだ。

 あ、因みにこの世界の冒険者ギルドは、お決まりのアルファベット形式で決まってるぞ。F〜Aまで上がったら、その上にSがある奴だな。

 

 

 で、Eランクになってからは順調で、転生者特典で、なんか凄い力を発揮して、難しいクエストをこなしてランクを上げて、Sランクになった。

 

 

 なんてなってたらよかったんだがな。

 残念ながら、そうはならなかった。

 俺の物語の変わった所はここからなんだ。

 

 

 Eランクになってすぐ、受付の可愛いお姉さんから、ソロじゃ危ないから、パーティを組んでみては?ギルドはパーティメンバーの仲介もやってますよ?

 

 

 なんて、言われて。

 折角冒険するのに、1人じゃ寂しいだろ?

 だから、お姉さんにお願いして、仲介してもらったんだよ。

 あ、と言っても俺は前世から性欲は薄い方でな、別に可愛い女の子とパーティ組んでその中でなんやかんや有って仲良くなって、なんてのに興味は無かった。本当だぞ?

 

 

 で、その時に紹介して貰ったのが今のパーティメンバーでもある、リーズカル・アルトカフだ。

 身長は俺よりも高い182cm。因みに俺は170cm(165cm)。

 でも、結構猫背で、いっつも縮こまってるから、横に並んでもそんなに身長差は目立たない(と思いたい)。

 髪は、背中の真ん中位まである金髪で、めちゃめちゃサラサラしてる。これは最初から変わってない。

 性格は、結構陰キャっぽい。結構仲良くなったと思ってるんだが、いっつもえへえへ言って、俺の機嫌を窺ってる感じ。

 顔はめちゃめちゃ可愛い。見てると劣等感で泣きそうになってくる。

 

 

 

 名前に関してはこだわりがあるのか、リズって呼ばないと、色々面倒くさいから大人しくリズって呼んでる。

 苗字があるが、リズは貴族ではない。

 この世界では、馬鹿みたいな金額の金を払えば苗字が買えるんだ。

 だから、苗字は一種のステータスで、苗字がない貴族も少なくない。

 

 

 で、このリズの何がおかしいかって言うと、非常に簡潔。

 とんでもなく、強いのだ。

 どれくらい強いのか。

 実際の例を上げてみると、気合を入れた剣の一振りでドラゴンの首を落とした、魔法で山を作った、モーゼばりに海を割った、などなど色々ある。あいつおかしくね?って所を上げたらキリがない。

 

 

 因みにだが、この世界でのドラゴンは、今日のラノベで跋扈している、簡単に倒せる様なドラゴンじゃない。

 具体的には、この超大国カルーシュが数年を軍備に費やし、世界中から有力者をかき集め、正しく総力を上げて、やっと倒せる様な化け物なのだ。

 そんなガチガチの化け物の首を一振りで切り落としたんだから、リズのイかれ具合が分かると思う。

 

 

 で、そんなイかれ強者のリズと、パーティを組んだんだが、リズだって最初から強かった訳では無い。

 リズが覚醒したのは、パーティを組んで1ヶ月くらい経った日のクエストがきっかけだったと思う。

 

 

 王都を出て近場の森で、植物採集みたいな事をしたんだ。

 その時は効率とかを考えて、リズと別々で動いてたんだけど、それが良く無かったんだよね。

 ちょっと強めの猿みたいな魔物が出て、俺がボコボコにされたんだよね。

 片腕折れて、血を吐いて、って状態でなんとか逃げて、リズと合流したんだけど、正しく瀕死って感じの俺を見てリズが凄い顔を青くして、リズに背負って貰って王都に帰ったんだ。

 

 

 冒険者ギルドの保険?みたいなのに入ってたらしくて、治療費は出たんだけど、怪我が重すぎて、魔法で治すにも時間がかかるから、つって暫く入院してたの。

 最初の2.3日位はリズも毎日見舞いに来てくれたんだけど、そこから全く来なくなって、あ、リズ以外にも交友はあるから寂しくは無かったぞ?本当だぞ?

 

 

 で、退院して病院出た所で、リズが待ってたの。

 「え、えへ……。ちょ、ちょっと着いて来てく、くれるかな?」

 って言われて着いてったら、なんか豪邸があって。

 なんこれ?って聞いたら、「パ、パーティ活動の為に、ホームがひ、必要だと思ったの。ね?必要、だよね?ね?」

 ってすげぇガンギマった眼で言われて。ビビってそうだなって言ったのが運の尽きだったんだよ。

 

 

 「パ、パーティなら、い、一緒に住むよね?ね?ね?」

 って例のガンギマった眼で言われて、またまたビビって、そうだなって言っちまったせいで、リズと2人きりでこの豪邸に同棲してる。

 ガンギマリズの眼でね?って言われるとどうにも抵抗出来なくなる。

 捕食者の眼って言うのかな?逆らったら死ぬ感じがする。

 

 

 因みに、豪邸には数え切れない程の部屋があるのだが、俺とリズは同じ部屋で寝ている。

 これもガンギマリズアイのせいだ。だが、聞いて欲しい。

 同じ部屋で寝ているが、同じベッドでは寝ていないんだ。

 

 

 勿論最初は同じベッドで寝ようよ、とかガンギマリズアイ言われたんだがなんとか抵抗して、別のベッドで眠れる様になったんだ。

 流石にこの年で、そう言う関係でもない男女が一緒のベッドで寝るのは不味いよな?

 まあ、妥協条件として、2週間に一回くらいベッドを交換してるし、俺が寝ている時に、勝手にリズがベッドに入ってくる事もある。寝ぼけていたらしい。

 

 

 とまあ、家の事は置いておいて、冒険者としての話をしよう。

 リズと同棲を始めて、最初。

 Dランクになるちょっと前くらいまでは一緒にクエストに行ってたんだが、この頃にはもうリズは現在の化け物の様な力の片鱗を見せていたんだ。

 

 

 魔物が出れば、即斬首するし、薬草採取のようなクエストも魔法を使って、一瞬で集める。

 簡単に言えば、俺が行く必要無かったんだよね。

 で、リズもそれに気付いたのか、4.5回クエストに行った後からは、クエストに付いていこうとすると、何かと理由を付けて断られ、ホームで待ってろと言われる様になった。

 

 

 で、そこから1年という時間を過ごしたのが、現在の俺。

 この1年で色々変化はあった。

 取り敢えず俺の普通の1日を紹介しよう。

 

 

 

 

 

 「お、おはよう。ルカくん。えへへへ。よ、よく眠れたかな?」

 

 俺のベッドの横にしゃがみ込み、ニヤついた表情のリズに優しく揺すられ起こされる。

 

 「朝ご飯。で、出来てるよ?えへ。頑張った、よ?」

 

 「そうか」

 

 いつも、俺よりも早く起きてご飯を作ってくれているらしい。

 リズが頑張ったと言う時は、褒めて欲しいと言う意味なので、ベッドに寝転がったまま、適当にリズの頭をぐしゃぐしゃに撫でる。

 

 「えへへ……嬉しいなぁ?ルカくぅん」

 

 2.3分撫でたら、ベッドから起き上がり、リビングへと歩いて向かう。

 

 「な、何してるの?ルカくん。け、契約。でしょ?ね?ね?」

 

 忘れていた。

 先週か先々週くらいに言われ、無理矢理結ばされた契約がある。

 その内容を要約すると、俺、ルカは近くにリズがいる場合、リズが満足するまで極力全てをリズに任せる。と言う物。

 

 

 正直言うと、何だこの契約。以外の言葉が出てこないが、リズ本人はとても嬉しそうにしている為、どうしようもない。

 それに、この契約は、ファンタジーにありがちな、破ったら魔法的な何やかんやで、みたいな奴なので無視すると言うのも出来ない。

 無視すると、体が痺れて動けなくなる。

 

 

 何でそんな契約結んだんだ?って思うだろ?

 俺もそう思うんだが、言い訳させてくれ。

 この契約をリズが持ちかけて来たのは、早朝だったんだ。

 いつもなら寝てる様な時間に起こされて、頭回ってない中で、例のガンギマリズアイで名前書いて、って言われたら、碌に内容も見ずにサインしちゃったんだよ。

 しかも、あの時のリズ、いつもと違って、全くキョドって無かったし。こわ。

 

 

 それに、契約書の端の方に小さく、この契約は両者の同意の下でしか破棄出来ないって書いてあったし、この魔法を発動したのは魔法激強リズなので、誰かがこの魔法を上回る魔法で、契約魔法自体を消して、契約の効力を消すと言う事も出来ない。

 

 

 話を戻すが、この契約のせいで、リズを極力頼らなくてはならない。

 リビングに移動するだけだし、別に頼る要素はなくね?そう思うだろ?

 俺もそう思ってた。

 

 「えへへ。じゃ、じゃあ行くよ」

 

 背後から俺の腹に手を回し、バックハグの様な形で俺を持ち上げる。

 リズは筋力も身長も、軽く俺を凌駕するので、抵抗しても意味はない。

 母猫に首根っこ咥えられて運ばれる子猫の様になっている。

 リズは俺をこうやって持ち上げた時は、いっつも俺のつむじの当たりに顔を当て、深呼吸する。今回も例に漏れず、心配になるレベルで深い深呼吸をしている。

 そのままリビングに運ばれて、椅子に座らされ、リズの作った食事をあーんされながら食べる。

 

 「え、えへへ……。お、美味しい、かな?今日のはね?じ、自信がね?あるんだよね?ど、どう?」

 

 リズの料理は文句の付けようが無いほどに美味しい。

 前、王族御用達とか言う、めちゃめちゃ高そうなレストランに連れて行かれたのだが、そこの料理に勝るとも劣らないレベルだ。

 

 「きょ、今日は。ね?帰って来れないからね?ね?ちゃ、ちゃんとまっ、待っててね?ね?家でね?お願い、だよ?」

 

 今日は久しぶりにリズがいない日だ。

 遠くの方の地域で強い魔物が出たらしくて、それの討伐に行くんだとか。

 あ、言って無かったが、俺とリズのパーティでのランクはなんと、驚異のSだ。

 リズ個人のランクもS。

 俺のランクはD。

 そりゃあクエストに行く、どころかギルド自体行ってねえからな。

 

 「こ、これお小遣い。ね?お、置いていくから、ね?使って、ね?ね?」

 

 リズがクエストに行く時とかは、必ず俺にお小遣い、と言ってかなりの金額を渡してくる。

 具体的には、慎ましく生活すれば、数ヶ月持つくらい。

 それをクエストに行く度に渡してくるんだから、使い切れず、貯金した金額は一生生きて行ける位になっている。

 Sランクにもなれば、クエストの依頼金も桁違いになるみたいだ。

 

 

 「じゃ、じゃあ行ってくるからね?ね?ちゃんと家で待っててね?ね?ぜ、絶対。だよ?」

 

 「わかってる。いってらっしゃい」

 

 

 この後は、適当に食べ歩きして、家帰って寝るくらいで1日が終わる。

 

 

 これは大体先月くらいの事なのだが、俺の日常はこんなものだ。

 さて、勘のいいガキである皆さんなら気付いていると思うが。

 俺。唯のヒモなのである。

 しかも、ノーマルヒモでは無く、エクストラヒモだ。

 

 

 最近は常々思うのだが、こんな唯のクズ、というか、リズの人生の障害にしかなってない生き方は恥ずかしく無いだろうか?

 リズは正真正銘の力を持った人だ。

 それに対して俺は唯の人。

 一緒にいるべきでは無いと思う。

 と、言ってはいるが、実際の所を言うと折角ファンタジー世界に来たんだから、色々な所を旅してみたい、って思いが大きい。

 

 

 と言う事で、用意したのがこちらになります。

 ① 久しぶり過ぎて、場所も覚えていなかった冒険者ギルドに行き、貰って来たパーティ解散用紙と、パーティ脱退用紙。

 ② 使い切れなくて、溜め込んできた大量の金

 ③ 「流石に俺クズだよね」とか、「一緒にいるべきじゃ無いと思うんだよね」とか、「正直足手纏いじゃね?」みたいな事を書いた別れの手紙。

 ④ 家を出た後に、最低限必要な物を入れたリュック。

 

 

 ①に関してだが、ギルドに行って見たら、解散用紙と脱退用紙があって、どっちの事かわかんなかったから、一応両方持ってきて、両方記名してある。

 

 

 これで十分だろう。

 今、リズは出掛けている。何でも、新しい魔道具を買うんだとか。

 多分分かると思うが、補足すると、魔道具ってのは魔法が込められた物全般を指す呼び名だな。

 魔法強者のリズなら、要らないんじゃね?とか思うが、リズにも使えない魔法はあるんだろう。

 

 

 で、今俺が悩んでいるのは、リズの帰りを待って、ちゃんと話をしてからこの家を去るか、もう、十分な用意はしてあるから、早速この家を出るか。

 まあ、手紙を書いた事からも分かると思うが、俺の気持ち的には、もうこの家を出たい。リズと話をしてからだと、契約のせいで、ある程度運んで貰わなきゃいけなくなるからな。恥ずかしい。

 

 

 と、言う事で、早速この家を出ようと思う。

 今の時間は正午ちょっと前くらい。

 澄み渡る様な空と輝く太陽が、まるで俺の心境の様だ。

 

 

 さて、清々しいのは素晴らしいが、清々しいだけでは生きて行けぬ。

 問題は金は全額置いて行ったから、一銭も金がない事だ。

 ギルドでクエストを受けて、日銭を稼ぐのも良いが、その方法には、難点がある。

 それは、リズと遭遇しかねない、という事。

 家を出て行った直後に、その家主と出会うとか気不味いよな。

 次点では、この世界でのハローワーク的なところに行って、短期のバイトを紹介してもらうか。

 これも、悪くは無いが、結局王都で生活を立てる事になるから、冒険ができない。

 

 

 ふむ。どうしたものか。

 こんな時は気分転換だ。気分転換すれば、いい案が浮かぶって村の物知りなじっちゃが言ってた。

 ってことで、気分転換にそこら辺を歩き回る。

 王都の中心にある、王城から、四方に伸びている大通り、そこをぶらぶらと歩いているのだが、やはり冒険者、と言った風体の人間が散見される。

 やはり、ギルドでクエストを受けるしか無いのか?

 

 

 あ、思い付いた。

 普通に旅をすればいいんじゃ無いか?

 野宿すれば宿代はかからないし、食料は、ちゃんと冒険者やってた頃の余りの干し肉がリュックに入っている。

 1日2日分位しか無いが、1番近い街までなら、余裕でもつ。

 うん。それがいい。

 

 

 思い立ったが吉日と言うし、早速隣の街に出発する事にする。

 隣の街は、王都から見て、若干南西の方。南西の門から王都を出て、笑顔の素敵な衛兵さんに挨拶していざ出発!

 

 

 「デュワッァ!」

 

 

 門を出て、数分歩いた当たりで、急に殺気?覇気?みたいなの感じて、背筋が一気に冷たくなったんだが。

 まぁそれはいいとして、めっちゃ変な声出たんだけど。

 何?「デュワッァ!」って。初めてこんな声出たんだけど。

 まあいいや。

 今の俺は新天地を目指して旅する、一介の冒険者ルカ。

 こんな事を気にする様な者では無い。

 

 

 それにしても、「デュワッァ!」ってなんだ?

 

 

 

 

 

 私は普通の人間では無い。

 この国。カルーシュの暗部。そこが主導して、計画していた、人工メアリー・スー計画。

 素質ある幼児に、過去の英雄の魔素などを入れる事で、現代に英雄を再誕させる。もしくは、その英雄をも超す者を作る、と言う物。

 私はその計画の被験者にして、4人程いる成功作の1人。

 と、言っても私が4人の中で1番の成功作だったが。

 計画の実験や検査などで苦しむ日々。

 嫌気が差した私たち4人で、研究所を脱出しようと試みた。

 残念ながら、逃げ出せたのは、私1人。他の3人は皆死んでしまった。

 逃げ出した私は、木を隠すなら森の中、と言う言葉に倣い、最も人が多い王都へ向かった。

 色々あったが、なんとか王都に着いた私は日銭を稼ぐ為に冒険者を始めた。

 

 

 私が彼と出会ったのは、今から約1年前。正確に言えば、12ヶ月と11日。

 ギルドでパーティを組んだ方が良いと言われ、必要が一切無かったから断っていたが、一回会うだけでもと言われ続け、うざったくなったから、しょうがなく会ったのが始まりだった。

 

 

 私と同じくらいの年齢で、あまり明るい性格では無いだろう。と言うのが、正直な第一印象だった。

 不躾な視線だったり、私の高い身長を恐れない、珍しい人だった事も覚えている。

 この人なら別にいいかなと思ってパーティを組んだ。

 私の吃ってしまう喋り方を気にしないのも、有難かった。

 

 

 パーティを組んで、1ヶ月程は、何も無かった。

 ただ、数日に一回、クエストに行き、報酬金を分配するだけ。

 だが、私を普通の人間の様に扱ってくれる、彼の心意気は非常に暖かかった。

 

 

 忘れもしない、彼と出会ってから、1ヶ月と10日目。彼と言った16回目のクエスト。

 近隣の森の植物を採集するクエスト。

 この森には、そんなに強い魔物が出ない為、効率的にクエストを達成する為に、彼と私で別々に採集していたのだが、それが良くなかった。

 

 

 血塗れで、瀕死の彼を見た時、自分も死んでしまうかと思った。

 彼が死んでしまう。そう考えたら、上手く呼吸ができなくなって、視界が暗くなって、急に周囲が極寒のようになった。

 彼が死んでしまう。その危機に瀕したとき、私は彼への愛を自覚したのだと思う。

 どうしようどうしようと、慌てていた所に、彼をああしたのであろう、猿の様な魔物が、気持ち悪い笑い声を発しながらやって来た。

 

 

 彼に恐れられてしまうからと、隠していた魔法の力で、あの猿の四肢を捻り潰し、生きたままゆっくりと全身を圧迫し、押し潰した所で、やっと落ち着いた。

 まあ、彼になら、隠さなくても良かった気はするが。

 

 

 理性を取り戻した私は、急いで彼を抱き抱え、ギルドに走った。

 幸い彼はギルドの保険に加入していた様で、即刻ギルド付属の病院に入院し、医療魔法を掛けてもらう事が出来た。

 自分は怪我をしないからと、医療魔法を覚えていなかったのには、非常に後悔し修練したから、今ではこの国でもトップレベルの医療魔法を使えると思う。

 

 

 このまま冒険者を続けていては、またいつか、彼が死にかけることが、いや、死んでしまうかもしれない。

 だが、私の力が有れば、冒険者が最も手軽に稼ぐ事が出来る仕事となる。

 そこで考えたのが、なんとかして、彼をクエストに行かせない様にして、私がクエストを達成し、金を稼ぐというもの。

 我ながら名案だと思った。

 

 

 彼が宿暮らしをしていては、何かとやりづらい。

 なのでまず、家を買う事を考えた。

 たが、家を買うには金が足りない。家は1日2日で買える様な物では無い。

 ならどうすれば良いか。再び私は考え、思い付いた。

 私自身のしがらみも振り払い、尚且つ金を稼ぐ手っ取り早い方法。

 

 

 私は意気揚々と、あの忌々しき研究所を強襲した。

 私の力が有れば、研究所の抵抗など、有って無い物と同じだった。

 物の数時間で研究所の中にいた生物を全て殺し、金になりそうな物は全て奪う。

 何かしら金に買える手段が必要だと思っていたのだが、かなりの額がそのまんま現金で置いてあったので、有り難かった。

 現金を全て持ち出し、魔法を使って、完全に研究所を破壊し、さらにその上から土を降らせ、埋めた。

 

 

 彼との同棲生活を想像しながら、ルンルンで王都に走る。

 私の脚力を持ってしてもあの研究所と王都は遥か遠く離れている。片道で丸一日かかる。

 

 

 王都に着き、金持ち向けの不動産屋へ向かう。

 多少、目移りする家もあったが、新しい家はもう決めてある。

 並の貴族の邸宅よりも、遥かに広い豪邸。

 本来なら、研究所から得た金程度では全く足りないが、この豪邸は訳ありの建物だ。

 何でも、幽霊が住み着いてしまっているのだとか。

 だが、私がこの家を選んだのは、この幽霊が理由だ。

 魔法を使えば、この幽霊を使役する事が可能なんじゃ無いか、と思っている。

 使役出来れば、魔法で幽霊の視界を覗く事で、いつでも彼の姿を見る事が出来る。

 

 

 目論見は成功した。

 かなり高位の幽霊であったが、大した問題では無かった。

 多少交戦する必要があるかと思ったが、無理矢理魔法で使役する事ができた。

 それに、本命の視界を覗く事も、簡単に出来た。実際に見ている様だ。

 この幽霊は、魔法で強化し、彼に気付かれない様に、背後をついて回ってもらう。これで完璧だ。

 

 

 必要最低限家具を屋敷に運び終わった日に、丁度彼が退院した。

 ギルドの前で待っていると、彼が出て来た。

 久しぶりに見る彼の姿に、思わず飛び付きそうになったが、我慢した。

 断られては、元も子もないので、多少、ホントに多少だぞ?彼を威圧しながら屋敷へ連れて行く。

 

 

 ちゃんと屋敷で一緒に住むと、彼も言ってくれた。

 だから、これからは、

 クエストから帰って来た私を、彼がおかえり、って迎えてくれるんだろうな。

 とか、クエストに行く時に、いってらっしゃい、とか言ってくれて、夫婦みたいに過ごすんだろうな。

 と思ったのだが、彼がクエストに一緒に行く、と言ったのだ。

 

 

 そんなに私を想ってくれているのかと思って嬉しくなって、一緒にクエストに行っていたのだが、彼と行った通算21回目、同棲を初めて、5回目のクエストの時、彼が躓いて転んで、怪我をしてしまったのだ。

 その時私は理解した。

 私では、彼を完全に守る事が出来ないと。

 だから、それからは絶対に彼に危ない事はさせない様にしている。

 料理は勿論、家事は全て私がやってるし、彼を見守る為の幽霊は3体に増やした。

 そこからは彼が怪我をする事は全く無いし、病気にかかったりもしていない。

 

 

 彼と出会ってから10ヶ月と7日が経った日。

 彼が、この生活に軽い不満を抱いたようだ。

 どうやら、彼は私の邪魔になっているのではないか?と思っているらしい。

 何を言っているんだ?という話である。

 彼が私の邪魔になんかなる訳が無いのに。

 だが、彼がそう思ってしまっているのは事実。どうすれば、彼にそんな事は無いと示せるだろうか。

 そう考えたのだが、暫く答えは出なかった。

 

 

 彼と出会ってから、10ヶ月と15日が経った日。

 私は1つの案を思い付いた。

 私が契約魔法を込めた契約書で、彼が私に頼らなくてはならない、という契約をすれば良いのでは無いか、という物だ。

 そうすれば、彼に邪魔では無いと示せるし、私は、彼に頼られて嬉しい。

 しかもこれは、いつか、彼が私の元から離れてしまう様な場合になった時の、保険にもなるのだ。

 彼が、私に頼らなかった場合、体が動かなくなる様にすれば、彼は私から離れられなくなる。

 

 

 そして、彼と出会ってから、12ヶ月と10日。昨日だ。

 ここ最近は、彼の不満が溜まっている様だから、契約を乱用し、彼の世話をし続けたのだが、駄目だった様だ。彼はこの愛の巣から出て行ってしまった。

 幽霊で見ていたから、何をやっているのかはわかっていたのだが、実際に手紙や、パーティの解散用紙等をみると、感情が抑えられなくなった

 何もしていないのに、全身が震えるし、呼吸が苦しくなる。

 備えてあった、彼の使用済みの服を鼻に押し当て、必死に吸う。

 甘美な香りが、頭全体に広がり、あまりの多幸感に、全身が弛緩する。

 夢中で吸い続け、理性を取り戻した時には、暗い夜になっていた。

 

 

 わかった。

 何故彼が私の元から、離れようとしていたのか。

 最初は、私に頼っている状況が、申し訳無いと思っている、と予想していたのだが、それは違うのだろう。

 きっと、私に何かが足りないのだ。

 だから、彼は私から離れて行こうとする。

 もし、私に足りない、その何かが、私が満たせる物なら、満たして彼を引き留める。

 もし、私に足りない何かが、私に満たせない物で、彼が離れて行ってしまうと言うのなら、彼を屋敷に閉じ込めてでも、私は彼と一緒にいたい。

 

 

 彼に付けていた幽霊の場所へと、走って跳ぶ。

 10分もしないで、彼の場所へと着いた。

 王都から、そこそこ離れた、道の途中。

 いくら安全だとはいえ、多少の危険があるにも関わらず、彼は警戒など一切せずに、ぐっすりと熟睡していた。

 この安心しきった小動物の様なところも彼の魅力だな。

 

 

 彼を抱き抱え、家へと運ぶ。

 彼の持っていた荷物は、幽霊に運ばせる。

 こんなに熟睡しているのに、起こすのは酷だから。そう思った私は、取り敢えず今日は、家に連れ帰って、足りない何かの話は明日する事に決めた。

 彼を私のベッドに寝かせ、折角だから添い寝する。

 彼の可愛らしい寝顔を見つめながら、眠りに就いた。

 

 

 

 

 

 何故だ?

 俺の記憶が確かなら、俺は街道で、眠りに就いた筈。

 なのに今いるのは、いつもの見慣れた家。知ってる天井だ。

 いい匂いのするベッドで、リズに絡み付かれた状態で、横になっている。

 抜け出そうとしても、リズが全然離れない。抜け出そうとした瞬間だけ、力が強くなるのだ。

 家出して、ルンルンで隣の街へ向かった記憶は夢なのか?

 

 

 「おはよう。ルカくん」

 

 「あ……お、おはよう」

 

 

 考え込んでいると、リズが急に目を開いた。

 いつもと若干違うリズの様子にちょっとキョドってしまった。

 なんか、今日のリズはキョドっていない。

 それにちょっとだけ、目がキマっている。

 あれは夢じゃなくて、本当の記憶だったのか?

 

 

 「起きて直ぐで悪いけどさ、ルカくん。これ、何かな?」

 

 「アッ」

 

 

 上体を起こしたリズが見せて来たのは、非常に見覚えのある紙2枚。

 俺の名前が記入されている、パーティの解散用紙と脱退用紙。

 あの記憶は夢じゃなかったんだなー。

 まあ、ちゃんと話し合えばわかってくれるよな。

 

 

 「いや、な?ほら。やっぱりさ、俺要らないと思うんだよね。だってさ、家で待ってるだけだしさ。それに、あの、冒険、とかしてみたかったんだよね。リズに頼り切りってのも悪いからな?」

 

 「そうか。やっぱりルカくんは、そう思ってたんだね」

 「お金、かな?それとも、そういうことをしてなかったから、かな?それとも、まだまだ尽くし足りなかったから、かな?どれだい?」

 

 「……は?え……いや、あの、だから、リズに頼ってばかりじゃ申し訳な「いいよ、嘘付かなくて。……不満。だったんだろ?な?教えてくれよ?何が足りなかったのか?どうすれば、君は私と一緒にいてくれるのか」

 

 「え……いや、あの」

 

 「もしかして、私が恐ろしい、のか?私の力が、怖くて、それで離れて行こうとしてるのか?なあ?そうなのか?ルカくん」

 

 「あ……あの。ね?違うんだよ?話、落ち着いて話、しよ?」

 

 

 ガンギマリズアイで、迫ってくるリズの迫力で、本能的に、体が後退りする。

 そして、その瞬間。全身が痺れた様に動かなくなる。

 

 

 「ぁ…ああぁ!やっぱり!やっぱりそうなんだ!君は、ルカくんは、私の力が恐ろしくて、逃げようとしてるんだ!」

 「でもね、ルカくん。忘れてたの?……契約。この契約があれば、君は私から、逃げられ無いんだよ?この契約がある限りね?君は、自分の力で動く事も出来ないんだよ?」

 「あぁぁ。良かったぁ。契約があって。あ、そうだ!もう一個、契約結ぼ?奴隷契約、って言うんだけど。いいよね?」

 「ただ、君の行動全てに私の許可が必要になって、私から一定距離以上離れようとすると、全身に激痛が走る様になるだけだからさ?ね?いいよね?ね?ね?」

 「うん、そうだよね?君が何も言わなくても、私はちゃんとわかるから。安心して?ちゃんと、これからの君の全ては、私が支えてあげるから」

 

 

 

 「ずぅっと!一緒だからね?ね?」

 

 

 

 

リクエスト書いた後、どっちを書いた方がいいか

  • 今までの話の続き的な感じのやつ
  • 今までのと関係無い新しいやつ
  • アンケート機能ってすごいね。感動してる
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