ライスシャワーのようでライスシャワーでないちょっとライスシャワーな転生ウマ娘   作:雅媛

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えい えい むん!!


2 『普通』のウマ娘

 のんびりコースを走っていて気付いた。話しかけられるわけない、ということである。

 初対面の人にお願いして併走まで持っていけるコミュ力あったらとっくにクラスメイトにお願いして今頃既に併走している。

 つまり、今やっていることは全くの無駄だということだ。

 日が沈み、星空が見えてくる時間になってそのことにやっと気づいた。

 

 うん、やっぱりクラスメイトにお願いしてみよう。

 これでも善良なウマ娘で通ってるし、一応クラス委員だし、話ぐらいは聞いてくれるだろう。おそらくトレーナーさんに聞いてから、ということになるだろうがそこで断られたらまあしょうがない。そのあたりはトレーナーさんの判断だし。

 マルゼンお姉様もいろいろ考えているみたいだし。

 

 クールダウンして帰ろうと思いながら、コースの隅で柔軟体操を始める。

 星空の下のクールダウンというのも乙だろう。

 長座前屈の記録をトウカイテイオーから奪うために前屈から始めていると、コースの中でまだ走っている人が居ることに気づいた。帽子が可愛い子だ。さすがにオーバーワークではないか心配になる。既にみんな帰ってしまうような時間帯である。私だって普段だったらとっくに帰っている。

 周りを見てもトレーナーさんらしき人もいないし……

 コースを回わってインターバルタイムに入ったらしいタイミングで声をかけてみた。

 

 

「あのー、すいません」

 

「ふえ?」

 

「もう遅いですし、帰らないんですか?」

 

「まだ自主トレのメニュー終わっていないので」

 

「いやいやさすがにやり過ぎでしょう。トレーナーさんとちゃんと相談してます?」

 

「任せるといわれていますから」

 

 

 にへら、と笑う彼女を前に私は危機感を覚える。

 自主練する子は一定数いないわけではない。いないわけではないが推奨されているわけでもない。なんせ、普段のトレーニングはトレーナーがちゃんと考えてくれているからだ。不足なんてあるはずがない。

 もちろん休暇中などの自主調整中ならばそういうわけではないが、彼女はそういうわけではないだろう。

 

 

「自主トレというにも限度がありますし、ちゃんとトレーナーさんと相談しないとだめですよ。ほら、今日は帰りましょう?」

 

「うう、でも頑張らないと勝てないし」

 

「頑張りすぎても勝てないです!!」

 

 

 彼女の手から、トレーニングメニューが書いてあるだろう手帳を取り上げる。

 ひとまず物理的に止めさせないとと思ったのだが、中身を見てぎょっとする。

 自主トレメニューがまだまだビッチリ書いてあるのだ。さすがに狂気を感じるレベルである。

 

 

「1日24時間じゃ、時間が足りなくて困ってるんですよね。どうしましょうか」

 

「このメニューの内容の方がどうしましょうかですよ……」

 

 

 ひとまず私では手に負えないし、マルゼンお姉様を呼ぼう。そう思ってスマホを取り出し、一つ分からないことがあるのに気づいた。

 

 

「あの、すいません、お名前を聞いても?」

 

「マチカネタンホイザです♪ よろしくね♪」

 

 

 自己紹介したタンホイザさんは、笑顔でそう答えた。




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