ライスシャワーのようでライスシャワーでないちょっとライスシャワーな転生ウマ娘 作:雅媛
日本ウマ娘トレーニングセンター学園、通称トレセン学園はウマ娘専門の中高一貫校であり、全国に複数あるウマ娘専門校の中でも文句なしに日本一の学校である。
当然入学試験も難しく、学力試験、走力試験、面接試験の三つの総合評価で入学の成否が決まる。
そんな難関校に、私は首席で合格してしまった。
正直学力に関しては自信があった。前世知識があるし、ウマ娘世界と前世の違いが面白すぎて歴史なんかもかなり深く学んでしまったし、両親にトレセン学園に入りたいことを話したらとても良い家庭教師を頼んでくれたので試験対策もばっちりだった。
これに関してはトップになれるんじゃないかとなんとなく期待していたのは否定できない。
一方で、走りについては全く期待していなかった。
確かに今までずっとトレーニングを重ねてきたが、その目的は美容である。マルゼンお姉様みたいに美人のボンキュッボンになるためでしかない。マルゼンお姉様と血縁でもあるのだからきっとなれると信じていたが、現実は悲しいことにロリ巨乳が完成しただけであった。
閑話休題、トレセン学園に入ってくるのは全国の選りすぐりのウマ娘である。各地で行われる小学生向けの大会で優勝した子が山ほどいる世界である。
そんな子たちに比べて私はレースなんて全く出たことがない。正直走るのは好きでも、他人と競うことに興味がなかったので、そう言ったレースに全く出たことがなかったのだ。だから、自分の実力なんて全く知らなかったし、走るのに真剣な子らに勝てるなんて思っていなかった。
だがふたを開けてみれば私がタイムトップである。正直かなり驚いた。とはいえ、これなら三冠も余裕だな、とはならないのだが。
試験の内容は、ダートの1600mを走り、そのタイムを比較するというだけである。レースではないので駆け引きもなく、単なる徒競走だ。確かにタイムがいいことはレースでも有利だが、レースもしたことのないレースナメクジの私では、実際のレースになったら駆け引きに負け続けコテンパンにされるだろう。
だが、なんにしろ試験は徒競走であった。そして、今まで黙々と一人で走る練習をしていた私は、各地の同期の強豪と比べても遜色ない実力であったということである。
最後に面接は…… まあ無難に終わらせることができただろう。
理事長の秋川さんは、なぜか私の胸を見ながら「驚愕」とかかれた扇子を開いており、それを秘書の人らしい駿川さんにたしなめられていたのが印象に残っているぐらいである。面接の成績は公開されないのでよくわからなかった。だが、面接含めた私は総合評価で私は主席として合格したのであった。
好成績での合格で、両親が喜んでくれたのはそうだが、それ以上に喜んだのが母方の親戚一同だった。
本家のお家に遊びに行くことなんて今までほとんどなかったから知らなかったが、うちのお母様は超名家、クリ家のウマ娘だったらしい。
私もお母様も名前にクリが入ってないからそんなのわからなかったが、本家の御当主は変則三冠を成し遂げたクリフジおばあちゃんである。直接血のつながりは薄いが、二冠を取ったクリノハナさんは私の大伯母に当たるらしい。お金持ちの家だと思っていたが、本当に名家であった。
とはいえ本業の海運業は好調だが、ウマ娘の家としてはすでに終わっているというのが世間からの本家の評価であった。なんせ、トレセン学園に入るウマ娘がすでにほとんどいないし、いても全然成績を残せていない。そんな中で、私がトレセン学園にトップで合格したのだから、それは期待が否が応でも高まっていた。
だが、私は正直レースにはそこまで興味はない。トレセン学園に入ったのは、半分は有名ウマ娘ちゃんたちとお友達になるためだし、半分は将来の人脈、学歴のためだ。
私と同世代が誰になるかはわからないが、前世通りならおそらくミホノブルボンやマチカネタンホイザ、サクラバクシンオーやニシノフラワーが同期になるだろう。それが非常に楽しみであるし、仮に全く違うウマ娘が同期になってもそれはそれで楽しそうである。
また、そう言ったことを置いておいても、トレセン学園は日本有数のウマ娘のお嬢様学校である。どの子もどこかの会社の社長令嬢だったりと、お嬢様ばかりである。そう言った子らとの人脈はバカにできないし、また教育環境もいいので真剣に勉強すれば学力も身につくだろう。
そんなことを考えてトレセン学園を選んでいるので、自分がレースで走ることは全くイメージしていなかったのだ。なので、正直あまり縁がない親戚に期待されてもどうしていいかわからずにもにょもにょした気持ちになってしまった。
そんな私の気持ちを察してくれたのだろう。両親も、パーティをしようとする親族一同に断りを入れて、近い身内だけのお祝いをしてくれることになった。
「うーん、レースかぁ……」
「何か不安?」
「不安じゃなくて、戸惑いだね…… レースは未勝利に勝てればいいかな、ぐらいで思ってたから」
レースに対して不安なんて正直何もない。勝つことをそもそも目標にしていなかったので、勝てるかどうか、などということは不安に思う材料にはならなかった。
ただ、予想以上に周りが期待して、戸惑いが強いのは疑いもなかった。正直両親やマルゼンお姉様が期待するならば、もうちょっと頑張ろうと思うが、そういうわけでもないのでよけい戸惑いばかりが膨らんでいく。無視してもいいんだけど、何か心に引っかかる。
「ライスちゃんは、走るの嫌い?」
「好きだよ。お姉様に教えてもらうのも好き。でも、レースで勝つっていうのが全然イメージできない」
「今までレースに出たことないものね……」
「なんとなく勝ってみたい気持ちがあるけど、でもそこまですごいあるわけじゃないし、そもそも勝てるのかどうかもわからないから…… お姉様、私、頑張ったらどれくらい勝てるかな?」
「ライスちゃんなら、頑張れば何でも勝てると思うわ。ダービーだろうと、有馬だろうと」
「そっかー」
レースというのは努力だけではなく素質も必要な世界だ。
だが、マルゼンお姉様がそういうならば、おそらく私には素質はあるのだろう。
頑張ればどれにも手が届くのか。そう思うと、一つ望みが思いついた。
「じゃあ私、日本ダービーを目指す。無敗で日本ダービーに出て、それで勝つの」
「…… そう、それはすごいわね。がんばってね」
「違うよ、お姉様。私だけじゃなくて、お姉様も頑張るの」
「わたしも?」
「だって、今までずっとお姉様が教えてくれたんだもの。学園に入ってもトレーナーとして私を支えてね♪」
思いついたのは日本ダービーだった。マルゼンお姉様が、参加したくて、それでも参加できなかった大レース。そこで、お姉様のように走り、お姉様のように勝てば…… そんなことを思った。
マルゼンお姉様がURAに入ったのは、制度の改革のためだというのは私も知っていた。二重国籍だったお姉様はクラシック登録ができなかったのだ。そんな制度は今でも続いている。後輩たちが悲しい思いをしないように、それを変えるべくお姉様は頑張っているのだ。
それに対して、私が何ができるのかは全くわからない。わからないが…… 一緒にダービーを目指すなんて楽しいのではないだろうか。
「はあ、仕方ないわね」
「わぁい♪ お姉様大好き」
ふわっとした思いが形作られる。
学園での目標もできた私は、明日からの学園生活に胸を膨らませるのであった。
同室は誰にしようか
-
ミホノブルボン
-
ヤマニンゼファー
-
トウカイテイオー
-
マチカネタンホイザ
-
ダイイチルビー
-
ナイスネイチャ
-
メジロマックイーン