ライスシャワーのようでライスシャワーでないちょっとライスシャワーな転生ウマ娘   作:雅媛

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6 皐月賞トライアル 弥生賞 パドック

 弥生賞の日、私はいつものように朝一番のバスで中山競馬場にむかう。マルゼンお姉様の車には絶対に乗るつもりはなかった。

 早く着きすぎるのだが、そのあとはのんびり柔軟体操をしつつ、他の子とも話しながら自分の時間まで待つのだ。

 

 弥生賞は第11レース、15時40分スタートであり、それまでのレースのほとんどは未勝利かメイクデビュー戦だ。なので同級生がかなり待機場所に集まっていた。

 

 

「で、なんでみんな柔軟してるの?」

 

「GⅠウマ娘様にあやかろうと思って」

 

「いやなんの御利益もないよ?」

 

 

 クラスメイトの子も何人も出てるから、知り合いもそれなりにいる。

 一人黙々と暇つぶしに柔軟体操をしていると、なぜか知り合いが寄ってきて近くで同じことをやり始めたのだ。

 

 まあ怪我をしないためにも柔軟は大事だからいいと思うが……

 

 

「どうせだからやり方教えてよ」

 

「ムー、まあ構わないけど、時間どれくらいある?」

 

「30分ぐらいかな」

 

「じゃあ30分で終わる脚のストレッチね」

 

 

開脚前屈で股関節を伸ばすところから始めて、徐々に小さい脚先の筋肉へと移っていく。

30分もすれば一通り柔軟は終わった。簡単なメニューだが準備体操ならこれで十分だろう。

 

 

「いいんちょーって柔らかいけど、毎日やってるの?」

 

「私は毎日この3倍ぐらいはやってるよ。大体部屋でやってる」

 

「やっぱりまじめだなぁ、いいんちょーは」

 

 

そんな軽口を叩くクラスメイトの背中を見送る。この後彼女は見事メイクデビューで勝利をおさめていた。

 

 

 

水分を取って、甘いものを食べて、延々と柔軟しているうちにやっと私のレースの時間が近くなってきた。

割り当てられている待機室まで戻り、今まで着ていた準備運動用の体操着から、あらかじめ用意していたレース用の体操着に着替える。相変わらず少しきつくて、薄手で少し頼りない感じである。

ゼッケンをつけたら準備完了だ。私は装鞍所へと足を運んだ。

 

 

 

さて、今日のパドックは何をするか、少し悩んだ。

パドックというのは準備運動をする場所であり、同時にそれを見せることで体調をアピールする場だ。だが今回、私は柔軟体操やりすぎていて、正直もう十二分に準備ができている状態だった。

 

軽く足踏みをしてみるが、何も意味がない。

うーむ、何をするべきか。ファンサービスでもしてみるか。

 

ひとまずささやかな祈りでも歌ってみるかね。

 

 

「ん、ん……」

 

 

音楽もないのに急に歌い始めてみる。

周りがちょっと驚いているが、まあ始めてしまったのだからしょうがない。

というか、選曲ミスったな。テンションが下がる。

 

ただ、一度始めてしまったのだから結局1曲を歌いきってしまった。

 

拍手される中、私は照れながら、誘導ウマ娘のお姉さんの後をついてコースへと向かうのであった。




(上手いけど、なんでこの曲?)
(なんでこの曲?)
(声もあってるけどなんでこの曲?)


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