ライスシャワーのようでライスシャワーでないちょっとライスシャワーな転生ウマ娘   作:雅媛

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11 皐月賞 決着

第四コーナーで並びそうになった瞬間、ブルボンちゃんもスパートをかけた。

私に気付いたのか、予定通りかはわからない。

 

コーナーを抜け直線に入り、じりじりとブルボンちゃんに並び、そのまま併走を始める。

ここからは、意地と体力の勝負である。

少しずつ、ほんの少しずつ私の方がブルボンちゃんを突き放している、ように感じる。

でも本当にわずかな差である。何かのタイミングでどうひっくり返るかわからない。

 

既に息は上がっている。限界まで力を振り絞りながら一歩ずつ跳ぶ。

もうろうとしそうな意識を気合で押さえつけ、さらにまた一歩。ここで頭が上がれば一気においていかれるだろう。

グイっとブルボンちゃんが少しだけ前に出る。差し返してきたのだ。負けずに私も前に出るべく力を入れる。

 

 

抜け出せない。

 

引き離せない。

 

 

そんな競り合う私たちの前に、中山の坂が現れてた。

高低差2.2m 最大勾配の2.24%の坂である。

 

 

実際に中山の坂を見たことはあるだろうか。

見るだけだと案外大したことない、と思うかもしれない。

だが走ってみると無茶苦茶きつい。

下手に走るとつま先が地面に突き刺さって足を取られ大幅なタイムロスになる。

こういった坂の場合、攻略方法は二つある。

 

一つはストライド、1歩の幅を短くするのだ。

パワーが出しやすくなるし、坂道に脚を取られにくくなる。

もちろん欠点はあり、最高速度が少し落ちてしまう。ただ、坂道でそういう無理をするウマ娘は普通いない。

 

もう一つは気合で乗り越えるのである。精神論だ。

ストライドを短くしなければ脚を柔らかく使って前に出さないと坂道にとられるし、パワーも普段以上に必要だし、いいことはないが最高速度は維持できるのだ。

無茶な方法である。

 

そしてそれが勝負を分けた。

 

定石通り少しだけストライドを小さくしたブルボンちゃんに対して、私はむしろストライドを広げてさらに速度を上げたのだ。

一歩間違えば坂に脚を取られ転倒すらありうるが、この日のために私はどれだけ柔軟体操をしてきたかわからない。

坂を上り切った時点で、完全に1歩分だが私が前に出ていた。そこからゴールまでは100m

後ろから迫る音は聞こえるが、これなら届かない。

 

ゴール板を一番最初に通ったのは、私であった。

 

 

 

ライスシャワーは皐月賞を制したのであった。

 

 

 

 

 

大歓声の元、観客席に大きく手を振る。

もちろんファンサービスのためでもあるが、一番は後ろを見たくなかったからだ。

 

私は勝った。

私の夢のために勝った。

ダービーを無敗で制覇する。そのために勝った。それに後悔はない。

 

だが、それにどれだけの夢を踏みつぶさなければならないか。

ブルボンちゃんは三冠を目指していた。

タンホイザさんはGⅠ制覇を目指していた。

 

それらを踏みつぶした時、彼女らがどういう目で見るのか、怖くて確かめられなかった。

前のGⅠの時も怖かったが、今回は親しい友達も含まれているから恐怖はひとしおであった。

 

臆病な私は、手を振りながらそのまま検量室へと戻っていくのであった。

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