「貴女は、誰?」
「、、、」
まるで繭の様な薄く発光しているソレに、彼女はいる。
「教令院の者たちではないのね、迷子かしら、、」スゥ、、
近付いてきた彼女は、未熟ながらも圧倒的な神々しさを纏っていた。それもそうだ、目の前にいるのは神なのだから。少し戸惑いながらも、
「ぁ、っと、、」
「、、初めまして、私は麻依と申します」
「、、ワタクシは」
そう言った後、彼女は考え込むような仕草で目線を下へ向けた。知らぬ人間に名を言うのは憚れるのだろう。
「存じています。我が国の神、クラクサナリデビ様」
「!なぜ、、?」
「自身の国の神を忘れるわけないですよ」
「いえ、そうではなくて、、」
「信じられない」なんて、彼女の顔に書かれている。それもそうだろう。今のスメールは現草神のナヒーダではなく、先代のマハーデッカデヴァータを未だ信仰しているのだ。
言い方は悪いが、信仰されてない神…名前など忘れ去られてると思うに決まっている。
「私はドニアザードさんの知り合いなのです。彼女からあなた様の話を聞いていたのです」
「幼少期、クラクサナリデビ様に救われたと言っていました」
「まぁ、、!あの子は今どうしてるのかしら、、?」
「来る花神誕祭の準備をしております。あなた様の生誕を祝うために、グランドバザールの皆は力を入れていますよ」
「そうなの、、?」
「えぇ」
それを聞いた彼女の喜びは顔には出なかったが、雰囲気から嬉しいと感じ取れた。
〔 やっぱり可愛いなこの幼女、、 〕
――――――――――
201:名無しの旅人
ナヒーダたそは可愛いねェ〜〜!!
202:名無しの旅人
イッチ、ナヒーダちゃんをオレにください…
203:名無しの旅人
>>202あげませんッ!!
――――――――――
〔 コイツらは騒がしいな、、 〕
「、、ねぇ、何故貴女はここに居るの?」
「ここは教令院の者、、ごく少数の者たちしか入れない場所よ」
漸く本題だ。思いのほか自分は待ち望んでいたのかもしれない、だいぶ大袈裟な反応になってしまった。
「そこですッ、クラクサナリデビ様、、!」
『、、ナヒーダ』ボソッ
「?」
「ナヒーダで良いわ。その呼び方は長くて、言いにくいでしょう」
断ろうかとも思ったが、彼女の言った事は的を射ていた。それに相手は神でもある、折角の好意を無碍に出来る程の度胸はない。
「分かりました、ナヒーダ様」
「烏滸がましいのですが、あなた様の力で外に連絡をしてほしいのです」
「外に、連絡、、?」
「えぇ、ドニアザードさんは夢の中でナヒーダ様と繋がったと言っていました」
「なのでまた彼女の夢へ繋がっていただけたらなと、、」
我ながら運臭い言い回しだ。しかし、これ以外の方法が見つからなかった、申し訳ないが利用させてもらう。
「貴女自ら、連絡をとれないの?」
「あぁ、、うんと、、」
〔 そもそも外に出られないんだよなぁ、、 〕
「?なにかあるの?」
「いやッ、、!アハハ、、」
、、カツンッ
「ハァッ!!」
何か誤魔化せないかと模索しているところ、外から誰かの靴音が近付いてくる。ここに入って来れるヤツは(ほぼ)一人しかいない。ソイツにバレるのはマズい、すぐさま彼女へ手短に伝えなければ。
「、、?」
コソコソッ
『ナヒーダ様、人が来たようなので私は隠れます』
『どうか私が居たことを秘密にしてくださいッ、、!!』
「え?どうしたの?」
『私がここに居るってバレたらマズいのでッ、、!失礼します、、!』
困惑している彼女を置いて、繭の裏側まで移動する。身体を倒して息を潜めた。
「えっと、、」
『オネガイシマース、、!』
ギィッ、、!
重い扉が、開かれる音がした。
カツ、カツンッ、、
「、、フンッ、今日は起きていたか」
聞き覚えのある、、具体的に言えばふとした時に耳にしてるぐらい聞き慣れてる声がする。
「、、、」ギュッ
「まぁいい…一つだけ聞く、ここに人が来なかったか」
「アザール」教令院の大賢者でファデュイと新しい神を作ると言う取引をしている張本人。
めっちゃ詳細を省けばナヒーダちゃんの被害、大体コイツの所為。
「、、、」
〔 お願い、ナヒーダちゃんッ、、! 〕
身体を縮め、手を絡めて祈る。
「黙りか…」
カツンッ
彼が動き出した。仕方ない、バレる覚悟で退散しなければ、、。
「、、いいえ」
「ピクッ、、」
「本当だな?」
「ええ、誰も来なかったわ」
『、、いつも通りよ』
〔 ナヒーダちゃん、、 〕
彼に彼女の最後の声は聞こえてないだろう、そもそも聞こうとすらしない。
この「いつも通り」がどれだけ彼女を蝕んでいるだろうか。
「最初からそう言えばいいものを、、」
足音が段々と遠ざかってゆく、間一髪と言ったところか。
ギィ、、
重い扉が音を立てて閉まっていく。それはまるで、世界との繋がりを断つように。
「、、行きましたか?」
「ええ」
ヒョコッ
「、、ハァ〜…助かったぁ、、」
「大丈夫かしら、、?」フワッ、、
動悸のする胸を抑えてる所へ、彼女は心配そうに近付いてきた。
「フゥッ、、だ、大丈夫デス、、」
「ありがとうございました、、ナヒーダ様」
「ねぇ、何故彼は貴女を探していたの?何処から来たの?」
「うぅッ、、」
「、、い、言わないなら協力してあげないわよ」
そう言って目を細めながら見下ろしてくる。正直全く怖くないが、協力してもらえないのはだいぶ困る。
「ぅあ、ッ〜〜、、」
「い"、言います、、」
次の更新は(多分)ないです。