光の申し子   作:松雨

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日本国の力

 特殊輸送機マラーナで日本に向かった翌日から、観戦に向けた詳しい説明や隙間時間の観光、現地の日本人との交流などを行いつつ更に3日経った今日の昼間、私たちは護衛艦『あきづき』に乗り、フェン王国の戦場へと向かっていた。

 

 ミスリル級やゴールド級魔導戦艦は言わずもがな、マラカイト級防空巡洋艦やシルバー級魔導巡洋艦よりも小さく、それでいて速力もミリシアル巡洋艦の方が速い。

 

 しかし、護衛艦の説明時にも聞いた、対空対艦問わず非常に高い命中率と射程を両立させた艦砲、ミリシアルにはまだないミサイル(誘導弾)の射程と威力、レーダーの高い探知性能や強力な対潜装備、乗員の凄まじい練度、これらを合わせればたった一隻ですら相当な強さを誇る。()()()()()()()()()()()、である。

 

 にもかかわらず、あきづきの他にも『てるづき』と言う名前の、イージス艦程ではなくても強力なこの1隻が近い距離に居るのだ。

 

「気を抜き過ぎてはいけないと、心の中では分かっているんですけど……何と言うか、絶対に破られない無敵要塞の中に居る感じなもので」

「確かに。天地がひっくり返ろうと、魔導戦列艦如きではこの艦に近づく事すら叶わず沈められるでしょうし」

「2人共気が早いわね。まあ、かく言う私も同じなのだけど」

 

 つまるところ、ミリシアルでも今までに発掘出来た古代兵器をある程度の数動かし、油断せず全力で運用しなければ戦いにすらならないレベルの船に乗っている訳で、安心感と頼もしさは段違いなのだ。

 

 勿論、パーパルディアの魔導戦列艦の砲の射程距離にまで近づき、お遊び気分で砲撃とか言う馬鹿な真似をすれば別だけど、海上自衛隊がそんな事をするはずがない。だから、このまま変わらず仕事を果たせるだろう。

 

「ん? あの青い戦闘機……後ろから灰色の戦闘機も来たわね。両方とも凄い速度……あら、青い方が何か発射したわ」

「青い方はF-2、灰色の方は制空戦闘機のF-15J改ですね。まずはニシノミヤコ沖40㎞に展開中のパーパルディア竜母艦隊70隻の内竜母含む40隻をF-2の対艦誘導弾で撃沈、その後直衛のワイバーンロードをF-15Jで撃墜する流れになっています」

「なるほど。ちなみに、最高速はどの位なのでしょうか?」

「F-2はマッハ1.7、F-15J改はマッハ2.5です」

「攻撃機ですら音速超えとは……ははっ、凄過ぎて言葉も出ませんよ」

 

 そんな事を考えていると、天の浮舟よりも圧倒的に速くて青い戦闘機(F-2)が12機、そのすぐ後ろから5機の灰色の戦闘機(F-15J改)があきづきの上空を通過していく。

 

 F-2の方はすぐ、翼下から対艦誘導弾を竜母艦隊の居ると言う方に向けて発射していた。

 対象が鋼鉄艦でない上に、パーパルディアが誘導弾に対する防御能力を持たない以上、この時点で既に48隻の撃沈が決まった訳である。

 

 あまりにも距離が離れ過ぎているが故にその瞬間を見れず、実感出来ないのがあれだけど、魔導双眼鏡で見れる距離まで近づいて竜母から全騎発艦されれば、防げはしても非常に面倒だと思うし致し方ない。

 

「灰色の戦闘機も戻ってく……目標全部撃破したみたい?」

「そうじゃないの? 自衛官さん?」

「その通りです。彼らは彼らの任務を達成したので引き返しています」

 

 で、誘導弾を撃ったF-2が引き返してからそう時間も立たない内に、Fー15J改も飛んできた方向へと引き返していった。ミリシアル基準で考えると、とてつもない仕事の早さである。

 

 自衛官の人曰く、まだ30隻の砲艦が残っているため今から主砲で撃沈しに行くみたいだけど、戦闘機隊の仕事の早さを鑑みるに、これもすぐに終わるだろう。何なら、移動時間の方が長いかも知れない。

 

「……おおっ、始まったみたい」

 

 そんな感じで長い間大海原を移動していき、目標である残存艦を魔導双眼鏡でハッキリ捉える距離まで近づき、ある程度の時間が経つと、遂にあきづきとてるづきの主砲が唸りをあげた。

 

 何となく分かりきっていた事ではあるけれど、放たれた主砲弾は吸い寄せられていると言わんばかりに戦列艦にほぼ命中、当てられてからすぐに誘爆ないし真っ二つとなり、轟沈している。

 航空戦力は事前に排除が済んでいるため、こちら側が危害を受ける確率も、今のところはなさそうだ。

 

 もし、先程の戦闘機隊が竜母や飛んでいたワイバーンロード……一部居たらしい、大きく速いワイバーンも含め撃破していなければ、あきづきとてるづきの2隻のみで多数の航空戦力に加え、78隻の竜母艦隊と対峙しなければならなかったと考えると、凄いとしか言いようがない。

 

 まあ、仮にそうなっていたとしても、あきづき型護衛艦はイージス艦に匹敵するとも言われる位に防空性能が高いみたいだし、多少面倒になる程度で結局は変わらなかったとは思うけど。

 

「うわっ……もう終わったよ。にしても、実際にこの目で見てみると、凄いとしか言えないね」

「何と、何と言う速射と命中率! 主砲の放つ弾の分だけ、戦列艦が爆沈していくとは! これなら、空を飛ぶワイバーンロードも撃ち落とせると言うのも、信憑性が沸いてくるだろう」

「私もオロールと同じで、凄いとしか言えないわ。これだけ強い軍隊が居れば、日本人もきっと安心感が凄まじいでしょうね」

 

 そんなこんなで、魔導双眼鏡を通して竜母の全滅した戦列艦隊を見ながら話している間にも、凄まじい速さで浮いている船の数は減っていき、遂には私たちの乗っているあきづきの主砲が最後の戦列艦を轟沈させ、あっという間に任務達成となった。

 

 勿論、取るべきメモはしっかりと取り、見えづらいが沈みゆく戦列艦を魔写で撮ったり、軍船と言う事で許可を取って主砲発射のシーンなども撮ったりも出来たし、観戦武官としての仕事は十分に果たせたと言える。

 

(ふぅ……)

 

 こうして、役目を果たしたあきづきとてるづきの2隻は、そのままこの海域から離れていった。




初めての戦闘シーン描写でしたが、もし何らかの指摘や感想などがありましたら、よろしくお願い致します。

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