「アルネウスさん。その、大分お疲れの様で」
「あぁ……はい、すみません。これをどう議員の皆様に報告しようかと考えると……」
F-2やF-15J改、あきづきやてるづきがパーパルディア竜母艦隊78隻を、ちょっとしたお遊びが如く撃破した戦いを見聞きして戻ってきた私たちは、ホテルの中で報告書の作成に取りかかっていた。
聡明な
しかし、一部を除いた帝国議会の議員さんの中に露骨には出さずとも、自国が最強と信じ過ぎるがあまり日本を含む文明圏外にある国を、かなり上から目線で見る人が一定数居る。
そんな中、ミリシアルどころか魔帝並みの超文明を、文明圏外の国が魔法を使わずに築き上げているなんて言ったとしたら、相応に荒れるのは間違いない。
魔帝の
「うーん……とにかく、見たまま聞いたままを正直に記し、報告書を作成しましょう。信じてもらいたければ、日本に何らかの形で派遣させなければ多分無理なので」
「そうなりますよね……でも、中々に荒れそうな気がします」
「でも皆理性はあるから、予想される最も面倒な事態にはならずに済むとは思うけどね」
「確かに。でなければ、議員になれる訳ありませんしね」
ただ、強烈な不安感みたいなものを感じた事はない。単に、その議員さんたちの皇帝陛下を慕い、神聖ミリシアル帝国に対し抱く信頼感が
このフェン王国沖での戦闘の報告書を、取った魔写や自衛官の人から聞いた戦闘機や艦船の性能、私やアルネウスさんの書いたメモを併せておけば、何だかんだで日本が列強相当とは理解してくれるだろう。
何なら、おまけとして日本の街並みや日本人との交流の様子を写した魔写、規格や動力源などの問題を無視し、ミリシアルでも普通に使えそうな民生品も追加する予定である。
「日本、良い所よね。人々は親切だし、治安も良いし、食べ物も美味しい、娯楽も沢山……どの国にも必ずある様に、きっと悪い面もあるとは思うけど、今度は旅行で来てみたいわ。食べ歩きと娯楽堪能……ふふっ」
などと考えていると、カームが突然語りかける様な感じで話し始めた。日本に来てから今に至るまでの数日の経験が、彼女にとってそれなりに気に入るものだったらしい。
まあ、この世界全体で見ても上位であろう食事の美味しさに、最上位であろう娯楽の多様さ、国内や外国旅行が大好きなカームが惹かれるのも無理はないか。
「カーム様らしいですね。でも、その気持ちは分かります」
「うんうん、私も遊びに行きたいとは思ってるし」
「あらそう? なら、いつか3人で旅行に行きましょうよ。当分後になりそうだけど」
「違いありませんね。仕事の忙しさもさる事ながら、交通手段の確立を筆頭とした色々な問題がありますし」
なお、カーム程ではないにせよアルネウスさんも気に入ったのか、彼女が提案した旅行の提案にも比較的前向きである。言わずもがな、私も同じだ。
それに、魔法と言う要素があるから一概には言えないけど、ミリシアルをより強く発展させる参考になる要素が、日本には多々眠っていると考えている。
いくら前世が日本人だった時の記憶が残っていても、しがない一般人だった私が覚えている事などたかが知れているし、新たに増えた物や知識について覚える事も出来るだろう。
と言うかそもそもの話、良いものや面白く楽しい出来事については、例え記憶にしっかりと残っていて新鮮味がなかろうと、繰り返し体験しても飽きない。
遥かに興味を惹く何かが出てくれば別だけど、そう易々と出てくるものでもないし、ましてや作り出せるものでもないのだから。
「今度、パーパルディアってどうなると思う? 今はまだ、地域紛争の域を出てないから何とかなるけど、講和とかするのかしら?」
「全面戦争になったら確実に向こうがボロ負けするし、今回の結果が伝わらない訳ないから大丈夫じゃない? 理性があれば、だけど」
「今までの性格から見て、そう簡単に方針転換出来るのかと疑問が尽きませんね。仮にしたとて、日本が受け入れるとは限らないですし」
「多分、最低限の要求として実行犯や指示者の引渡し、遺族への賠償金位じゃないですかね。他にも色々ありそうですけど」
「うーん……だとしても可能性は、正直低そうな気が」
大分話し込み、軽めの夕食を取ってからはパーパルディアの今後についての話題を主として、ミリシアルと日本の今後の付き合い方などについても話したりした。
(……)
アルネウスさんも言っていたけど、まず間違いなくミリシアル政府としても、日本を列強国として認める事は、今回の戦闘結果を見てもほぼ確実だろう。
無論、パーパルディア本国にはこの戦いで撃破した戦列艦や竜母、ワイバーンロードが多数残っているとは言え、相手が増えれば増える程日本も派遣する艦船や航空機を増やすだろうし、結果的には同じとなる。
しかも、そうなればイージス艦……魔帝で言う対空魔船に相当する艦船が出張ってくると考えれば、もっと酷い戦闘結果となるに違いない。
何なら、地球でも最高峰だった通常動力潜水艦の存在も忘れてはいけない。原子力潜水艦は……この世界の日本にもありそうにないので、取り敢えず除外しておこう。あまり露骨に探り過ぎて、変に警戒されてもいけないし。
「そろそろ話し疲れましたし、ここら辺で寝ましょう。明日には食糧や水などを詰め込み、日本を出てミリシアルに向かう日なんですから」
「了解。確かにね」
「右に同じくです」
こうして、最終的に全員の眠気やら疲れやらが限界に達するまで、色々と話し込んだりして過ごす事となった。
本作独自の種族に関しての質問
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多くして欲しい
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多くしても問題ない
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これ以上は望まない
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作者にお任せ