「オロール君、随分と嬉しそうにしてるじゃないか。と言う事は、何か素晴らしい報告でも持ってきたと?」
「そりゃあもう! きっと驚きますよ!」
「分かったわかった。とにかく、落ち着きたまえ」
観戦武官としての任務を終え、帰り道も何事もなくミリシアルまで帰って来れてから1週間、私は非常に重要なある資料や書類を手に持ち、ルーンポリスの魔帝対策省メテオスさんの下を訪ねていた。
かねてから行っていた魔帝製兵器のリバースエンジニアリング、その中で最も私が力を入れていた魔導電磁レーダーの解析が、遂に完了したためである。
なお、カルトアルパス魔導学院に解析用として置いてあるそれは、使おうと思えばすぐに使える状態にある。
とは言え、例外を除けばあくまでも解析が完了しただけであり、
しかし、私の用意したこの膨大な解析結果を記した資料、それらを可能な限り分かりやすく解説したものを記した書類、その他細かな注意点などを書いたメモさえあれば、時間はかかれど修理も可能だ。
当たり前だけど、各種誘導魔光弾や魔導電磁妨害装置など、強力な兵器を即生産可能となる程の成果ではないものの、1歩前進したのは間違いない。
「すみません。それでは、こちらの資料をご覧下さい」
「ふむ……!? なんと、もうここまで来たというのか!」
「はい。私を助けてくれた皆様のお陰です。これで、1歩前進しましたね」
「何を言っている? 1歩なんてものではない。2歩3歩……いや、もっと進んだと断言しよう。これは、皇帝陛下に良いご報告が出来るぞ……!」
メテオスさんに言われ、興奮していたのを何とか収めて、結界で保護した鞄にしまっていた各種資料や書類を提示した瞬間、今度は彼が先程の私みたいに興奮し始めた。
流石は私以上に超エリートで優れた大魔導師、かつ技術者なだけあって、特に追加の解説などをしなくてもかなりの速度で、資料や書類に書いてある事を理解してくれている。
皇帝陛下にも、ミリシアル内でトップクラスの信頼感を寄せられているメテオスさんの様子を見るに、もしかしたら今までよりも更にリバースエンジニアリングの進む速度が、早くなるかも知れない。
「あの。追加費用、出ると思います? いや、今の予算でも十分やっては行けてるんですけど……」
「この成果だ。すぐにとは行かないかも知れないが、必要とあらば費用だけでなく、人員も間違いなく出るだろう」
「それと、カルトアルパス魔導学院に置いてある解析用のレーダー、あれ今すぐにでも使える状態なのですが」
「おぉ!? ならば、ユニバース級対空魔船『ディアン』1隻が使用可能……今日は実に素晴らしい日だねぇ」
そして、今提示した資料や書類には書いていない事、私の働く学院に置いてある解析用魔導電磁レーダーについてを含め、色々と話しておくべきと判断した内容についてもいくつか話したりもした。
まあ、そうは言っても魔導電磁レーダーを装備し、艦船とは独立して敵機の迎撃を試みてくれる分速3000発の
何せ、未だにアトラタテス砲の発射する光属性のエネルギー弾の特性、実体弾の様に質量を持つと言うとんでもない仕組みを、解析しきれていないのだ。
単純に、魔力を光属性のエネルギーに変換する術式では、特別な回路を組んだ物理的コアへの付与がなければ効力を発揮出来ず、色々四苦八苦して試しているものの、成果が出ているとは言い難い状態である。
そう言う意味では、発射する弾が普通に物理的な核を持つ125mm単装速射魔光砲の方が、楽と言えば楽ではあるけど……まあ、そうは言っても今のミリシアルにとって超魔導技術の塊ではあるから、解析し終える事が出来てはいない。
「ああそうだ。ところでオロール君、最近はしっかりと休んでいるのかね? 何日か寝込んだと技術者の伝で聞いた時は、実に肝が冷えたよ」
そんな感じで言うべき事が終わり、頭を下げて立ち去ろうとした瞬間、メテオスさんから尋ねられるとは思ってもいなかったあの時についてを尋ねられたため、一瞬だけ頭の中が空になってしまう。
咎める……と言うよりは、実に困った奴だと呆れの籠った心配の思いが込められている感じだろうか。
言い方はちょっとあれだったけど、目を見れば悪意などの負の感情が一切ないと、何となくそう思えている。
ただし、体調を崩して以降はそれ以前の様に休まず仕事をするなどはせず、しっかりと取る時は取っている。学院長さんや、私の部下の子たちに聞かれても大丈夫な位には、である。
「あー……勿論ですよ、メテオスさん。今はしっかり休んでいて、仕事のし過ぎで体調が悪くなったりなどはしていませんよ」
「ふむ、そうだったか。なら良いが……無理は止めたまえ。君に倒れられると、ミリシアルにとって多大なる損失となる。艦船などとは違って、代わりが利かないのだ」
「はい、誓います。カームや部下の子たち、学院長さんたちとも約束しましたから」
と言う訳で、堂々と休んでいるから問題ないと答えた上で、メテオスさんからの忠告に対しても、これからもそれを続けていくと強い意思を示してから改めて頭を下げ、この場を立ち去っていった。
突然で申し訳ありませんが、作者の長期休みが終わった関係で、今後毎日更新が厳しくなりました。
そのため、間が空く事が増えると思いますが、ご了承頂ければ幸いです。
本作独自の種族に関しての質問
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多くして欲しい
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多くしても問題ない
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これ以上は望まない
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作者にお任せ