光の申し子   作:松雨

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マイカル沖大海戦(前編)

「ちっ、雷撃機の数が多いな……全砲門、次の1射は雷撃隊へと向けよ! 魚雷を落とされる前に、何としてでも止めろ!」

『了解……全砲門、低空の雷撃隊へ向けなさい! あれを逃せば、我々だけでなく、皆の命がないものと思え!』

 

 主砲や魔導対空砲による、航空機迎撃の先陣を切った極大輪形陣前方の十数隻の1隻、屈指の対空火力を誇る防空巡洋艦『ローズクォーツ』は、敵機からの集中砲火を受けていた。

 

 陣形のかなり前に陣取っているのもあるが、タイミング悪く自艦の近くに居たのが改装済みとは言え、旧式化している巡洋艦や戦艦ばかりで、彼らの僚艦防空も一部担っているのも無視出来ないだろう。

 

 だが、旗艦含めた派遣艦隊の中で一定数存在する、生産体制がつい最近整った魔導電磁レーダーの搭載艦であり、試験的かつ魔帝のものよりもかなり劣化しているとは言え、魔導射撃指揮装置も搭載されている。

 

 そのため、魔導対空砲や対空魔光砲の数は魔導戦艦に劣れど、命中率の高さで同等の対空火力を生み出していた。

 派遣艦隊全体で見てみてもトップクラスであるので、グラ・バルカス帝国の航空攻撃隊にとっては脅威でしかなく、集中攻撃を受ける最も大きな理由となってしまっている。

 

 無論、対空砲火を上げている艦船はローズクォーツだけではないが、各種兵装の性能が日本や魔帝レベルに達していない以上、撃墜しようと莫大な量の弾幕を張ってさえ、当てるだけでも相当な難易度となる。

 

 なお、ミリシアルの最新鋭防空巡洋艦でさえ数千発、下手すれば数万発に2~3発当たれば御の字と言えるレベルだ。

 

『うわっ!? 艦長、爆弾が重要防御区画(バイタルパート)に2発命中……!』

「クソ! 大丈夫か、イスカ砲術長!」

『命中はしましたが、戦闘行動継続は可能です! しかし、一部対空兵装の破損に火災の発生、主砲1基の砲身湾曲に加え、結構な死傷者も増えてしまってます! あっ、言い忘れてましたけど、運良く私は無傷ですよ!』

「そうか。2発で中破に死傷者、キツい奴をもらってしまったようだ。皆、すまない……と、感傷に耽っている場合ではないな。艦内外問わず手の空いている者は速やかな消火活動、ならびに負傷者の医務室への搬送を行え!」

 

 なので、数機程度であればまだしも20機近くの、技術的に同程度の敵機から集中的に狙われてしまえば、防ぎ切れずに攻撃を受けてしまうのも無理はなかった。

 

 分類的には巡洋艦であり、防御力に関しては魔導戦艦より劣ってはいたものの、一応前級にあたるシルバー級魔導巡洋艦の改装前よりは、最新鋭の装甲強化システムも併せるとそれなりに防御力は高くなる。

 重要防御区画への命中かつ中破ではあるが、耐えられた事実そのものは何らおかしな話ではない。

 

 これがもし、正しい回避行動を取った事を含めて何か1つないし2つ以上欠けていたとするならば、もっと酷いダメージを受けていてもおかしくはなかったと言える。

 

『味方戦艦の支援砲撃も相まり、雷撃機7機の撃墜成功! しかし、敵爆撃機が更に8機爆弾投下コースに入りました! ああっ、右舷から更に6機雷撃機が! なお、我が艦以外に対しても援軍を更に送ってきている模様!』

「ちぃぃ!! 両舷対空要員はギリギリまで敵機迎撃継続、重要防御区画に集中装甲強化はそのままに、回避行動を取れ! 最悪、爆撃よりも魚雷回避を優先せよ!」

 

 中破相当のダメージを負いつつも、味方艦やローズクォーツの艦長含めた全員が奮闘し、第1波とも言うべき雷撃隊を撃墜はしたが、これで終わりとはならなかった。

 

 もはや、頭がおかしいとしか考えられないその圧倒的な物量で、オタハイト沖では日本国海上自衛隊第4護衛隊群と潜水艦隊、他地方ではムー国陸海空軍の死にもの狂いでの抵抗に対処しつつも、ミリシアル派遣艦隊と戦う艦隊や航空隊に、援軍を送ってきたからである。

 

『ああ!! 魔導巡洋艦ロンド、雷撃により大破……自力航行不能!』

『巡洋艦フーテ、火災と喫水線下からの浸水によりもはや手の施しようがありません!! 艦長、退艦命令を発しました!』

『駆逐艦クアン、誘爆により轟沈! ……クソッタレ!!』

 

 そのせいか、対空火力に乏しい旧式改装艦艇を中心に徐々に被害が拡大していき、遂には大破轟沈する艦が出て来る領域にまで踏み込まれていく。

 

 この魔導通信は、当然の如く派遣艦隊全ての艦で聞こえるように設定されているため、故障でもしない限りは聞こえるようになっていた。

 

 当然、ローズクォーツの()()()に故障している装置は1つもないため、通信機を介した悲痛な叫びや怒鳴り声、強い意思が込められた言葉が聞こえてきている。

 

 可能ならば助けに行きたいと言う思いは彼ら彼女らにはあったが、自分たちでさえギリギリの戦いを強いられていて、なおかつ近場の味方を守る必要性が未だにあった。

 故に、この場を離れる訳にはいかず、皆が皆断腸の思いを抱きながらやれるべき事をこなしている。

 

『すまない、少々手こずったが故に援護が遅れた!』

『数も多かったし、まあまあ強かったからねー。さてと、これ以上被害拡大させないためにも、遅れた分しっかりと僕たちが援護しますよ!』

 

 しかし、ちょうどこのタイミングで、グラ・バルカス帝国海軍を攻撃しに行った攻撃隊を護衛していた、エア含む超精鋭の制空戦闘機隊が僅かに数を減らしつつも戻ってきたために、この状況が一気に変化していく事となっていった。




もはや宣言を守ってないも同然の時間の投稿となってしまい、すみません。

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