光の申し子   作:松雨

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文化交流祭(前編)

 魔帝対策省の会議に呼ばれて参加した日から1週間、長期休み前の仕事の追い込みも済ませた私は、ビアやビアの友人たちと一緒に日本との文化交流祭が行われている、『マナポリカル魔導大館』へと足を運んでいた。

 

 その会場とはミリシアルのみならず、主に第一から第三文明圏の国々の大衆文化を解説・体験したり、時折各々の技術力を誇る展示物の展覧会が開かれる場所であるため、敷地内の広さはルーンポリス随一である。

 

 無論、文化交流祭だけあって文化関係以外の技術力を誇示するような展示物、例を挙げるなら戦車や戦闘機などの兵器、家電製品を筆頭とした生活用品は存在していない。

 

「映画やドラマ、アニメにゲーム、マンガに小説にスポーツ……他にも色々とあるようで。どうやら日本の皆さんは、この文化交流祭に相当力を入れてきたみたいですね」

「ミリシアルも色々出してるけど、文化面でもここまで凄いなんてビックリだよ。異世界からの転移国家、彼らの主張を頑なに信じない人も、流石に思い知るだろうなぁ」

「ですよね! これは、長い歴史を辿り続けた果てに作り上げられたもの。日本がもし、この世界に元からあった国ならば、既に名も知れた列強……いや、もしかしたらここまで発展出来てなかったかも?」

「ええ、恐らくは」

 

 しかし、観光や仕事問わずに来訪してくる日本人のマナーの良さ、他国と比べた場合の金払いの良さ、ムーのオタハイトの件も相まって、対日感情は良好なまま推移している。

 

 無論、どの国にも必ず存在するよろしくない人は発生しているものの、自浄作用が働いているお陰で大きな問題とはなっていない。実際、私もそのような光景を1度だけ見た事がある。

 

 更に、ミリシアル政府と日本政府の尽力により、ルーンポリスやカルトアルパスを中心とした都市、比較的田舎の町にも向けた宣伝が強力に行われていたため、この祭りに興味を抱くミリシアル人は多かった。

 

 分かりきってはいたけど、何かしらの理由で来たくても来れない人が相当数居ると想定しても、マナポリカル魔導大館を訪れる人の数は凄まじい。

 

 分野がまるっきり違うから何とも言えないものの、ここで働く人たちもきっと、追い込み中の私と同等かそれ以上に忙しい思いをしているだろう。

 

「あっ、すみません。日本の方、これ落としましたよ」

「おっと……これは失礼。ありがとう、お嬢ちゃん」

「いえいえ。たまたま、気づいたものですから」

 

 日本人の方も、ミリシアルの広報担当者や駐日大使館の面々を中心に行った宣伝活動、マイカルでのミリシアル軍の立ち居振舞いか効いているからか、その数は外国人の中でも一段と多い。

 

 そうは言ったものの、私の中ではどうにも外国人と接している感覚になりきれない。頭の中でしっかり理解出来たつもりでも、同じ国に住む人たちと話している感覚が抜けないのだ。

 

 ただ、その分交流をする際に緊張しにくくなる分、大なり小なり有利に働く。いつぞやカルトアルパスで私が案内した外交官、観戦武官で日本に行った時の外務省や自衛隊の人、あの男の子を含めた民間人、などである。

 

 まあ、外務省・自衛隊・外交官の人たちに関しては前世でも殆んど関わりがないし、うっかりやらかそうものならミリシアルの顔に泥を塗る羽目になる以上、緊張感は3割増しだった訳だけども。

 

「ねえ、ビア。オロールさん。『日本食』のブース、気になるから行ってみない?」

 

 色々と敷地内を回りつつ、何から体験してみようか考えていると、ビアの親友『クエリア』さんから日本食の方に行ってみないかと提案された。

 

 お寿司から始まり、ラーメンやうどんやお蕎麦などの麺料理、おでんに天ぷらに味噌汁と言った、料理名を聞くだけで食欲が湧いてきそうな面々が揃っているらしい。

 

 と言うか、既に良い匂いが漂ってきているのと、懐かしさの二段構えのお陰で食欲が倍増しである。

 当然、どの料理ブースにも人だかりが出来ていて時間はかかりそうだけど、この様子だと1日目が終わるまで列の長さは変わらないだろう。

 

「私は良いけど、他の皆はどう? 後、オロールさんはそれで大丈夫?」

「私たちは良いよー! つい先日、日本旅行行った子から、特にラーメンが美味しいって聞いてから気になっててさ!」

「日本食……ええ、勿論大丈夫ですよ。どのみち提案されずとも、私の方から提案してましたので」

 

 気分はもとより、断るに値する理由も全くなかったためクエリアさんの提案を了承、他の皆も乗り気だった事もあり、まず最初にラーメンの列へと並ぶ。

 

 しかし、最初から分かってはいた事だけど、ラーメンブースはありとあらゆる料理の中でも上位に位置する程、凄まじい人だかりが出来ている故に、中々私たちの番が回ってこない。

 

 加えて、日本でもトップクラスの味を誇るラーメン店、その中でも最高クラスに優秀で拘りが強い職人さんが作っているらしく、相当に時間がかかると看板には書かれている。

 

 現に、他の日本食ブースと比べた場合でも、職人さんの人数的な面もあるだろうけど、明らかに遅いのだ。

 

 ただ、その分どれだけ美味しいのだろうかと、期待値がどんどん上がっていく。前世の記憶を探ってみても、1度たりとも寄った事のない店なだけに、余計にそう思えてならなかった。

 

「次のお客様、お待たせして申し訳ありません。それでは、ご注文をお伺いいたします」

「いえいえ、とんでもないです。えっと……」

 

 事前に渡されたパンフレットに書かれたメニューを見ながら、何ラーメンを頼もうかと皆で考えたり、他愛もない世間話をしながら待つ事1時間と少し、私たちの番が回ってきたため、声をかけてきたスタッフさんに全員分の注文を代表して私が伝えた。

本作独自の種族に関しての質問

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