ミリシアルの
この場で最も対空・対艦戦闘に秀でている古代発掘兵器9隻、それには劣れど優秀な魔導軽空母の艦載機による援護があるとは言え、凄まじい
「むぅ。分かってはいた事だが、充填が長すぎるぞ……どんな感じになっている?」
「魔力変換充填率10%……魔導回路、魔力電磁変換術式、砲身保護術式、魔核炉での不具合はないです。ただし、変換を高速効率化するシステムが作動していません」
「そうか……まあ、致し方ないな。致命的な不具合が出ないだけ救われている方だ」
ただし、主砲に関わる以外の兵装でも各種レーダーやソナー、3基の魔核炉から生成される魔力での移動は制限の対象外である。
また、海上要塞の別名の通り570mもの船体を誇る故に機動力はすこぶる悪いが、素の状態でも超弩級戦艦を超える防御力がある。
距離や弾種、命中箇所によってある程度上下はするものの、46cm砲を複数発耐える事が可能なのだ。
言わずもがな、時折直撃してくる巡洋艦や駆逐艦の主砲では傷すら負わないため、命中した際の爆発音や振動が艦内を駆け巡ったとしても、多少なりとも狼狽する者はいない。
「只今の充填率は35%、40%……おぉっ!?
「タイミング良くすり抜けて来たかっ! 被害はどうだ!?」
「戦闘に支障はありません、両方とも小破です! 人的被害はなし、主砲のチャージにも影響はありません!」
「なら良い。ただ、そろそろ対空誘導魔光弾の残弾が厳しくなってきたか? 敵がより一層必死になっているのもあるだろうが……」
しかし、流石に46cm砲から放たれる重量1.5tの徹甲弾が命中したとあっては、その破壊力によって主砲のチャージに支障が出る可能性が生まれる上、小破だとしても被害を与えられた事実に変わりはない。
魔導電磁結界展開と装甲強化をしていれば軽微寄りの小破、運が良ければ損害軽微で済んでいたと試算が出た以上、多少狼狽する者が出てもおかしくはなかった。
まあ、その2つの兵装が使用出来るのなら、自艦に搭載している
「ともなれば……よし、とにかく奴らから距離を取れ! 射程圏内にある間、各艦の砲撃は巡洋艦および駆逐艦に集中、快速艦艇による余計なかき乱しをさせるな!」
それ故か、旗艦級戦艦2隻との距離が13㎞を切ったタイミングで、司令官は混成殲滅艦隊全体に距離を離す命令を下し、46cm砲の徹甲弾が命中する確率を減らしにかかる。
あわよくば射程圏外へと逃れ、安全圏で主砲のチャージを完了させ放つまでを行うつもりでいた。
無論、それを行うといずれは敵巡洋艦や駆逐艦が15cm砲の射程圏外へと出てしまうが、全て承知の上である。
なお、パルカオンの主砲チャージを中断し、全兵装を再起動した後離し切るまで待つ手も考えなかった訳ではない。
ただ、電力変換効率を上昇させるシステムの他に、本来なら備わっているはずの溜電導機能も発掘時既に一部故障していた影響で、中断すると急速に溜めた電力が霧散してしまうために、一時中断が不可能なのだ。
ちなみに、敵旗艦級戦艦の最高速力が30ノットに対し、パルカオンは24ノットである。何も対策しなければ、巡洋艦や駆逐艦どころか戦艦にも余裕で追い付かれてしまう。
「敵旗艦級戦艦2隻、我が方よりも優速。距離を放すどころか迫られてます! 巡洋艦および駆逐艦は言わずもがなです!」
「だろうな! こうなったら主砲発射を諦め、ラスターを対艦攻撃に流用するしか……ん?」
しかし、2隻が海上では目と鼻の先である7㎞までは近づいてきたものの、それ以上は近づいて来ようとしなかったのもあり、司令官は腹を決めて再度の砲撃戦を決意、同時に軽空母や補給艦艦長へ遠くに行くように指示を下す。
「ちぃっ、またか! 被害報告!」
「艦尾に2発、重要装甲区画に1発、艦首に1発が命中! いずれも小破の範囲内! 人的被害は不明!」
「総合的には軽微か……主砲のチャージ率はどうなっている?」
「現時点では65%です。しかし、被弾による影響かチャージ速度が6割減少しました!」
「何だと!? だが、ここで止める訳にはいかん! すまない、皆何とか耐えてくれ!!」
ミリシアル側の砲撃命中率も上昇するが、当然の如く敵方の砲撃命中率もそれ相応に上昇、砲弾の迎撃用誘導魔光弾の残弾が少なくなっているのも相まって、パルカオンへの被弾がどんどん増えていく。
が、操舵する乗員の優れた腕前や司令官の指示、持ち前の要塞級の防御力が加わる事により、いずれの被弾も最小限の被害で抑えられていた。
とは言うものの、相手側の練度はミリシアルの第零式魔導艦隊および第一外洋派遣艦隊と同等、もしくは僅かに上回る程の腕前を持つ精鋭である。
このままでは命中率が際限なく高まり、主砲の発射が不可能となる可能性も比例して高まってしまう。
現状、主砲のチャージ速度が大きく減少する被害を受けているが故に、司令官以下砲撃に携わる乗員全員が頭の中でそう考えていた。
「司令官! 主砲のチャージ、完了しました! 艦首と艦尾の電磁加速砲、命令さえあればいつでも撃てます!」
決して小さくないトラブルに見舞われながらも、主砲のチャージを始めてから15分半経過した際、遂に完了を告げる報告が成される。
砲身に刻まれた魔導回路が蒼白色に淡く光り、チャージ開始と同時に現れた砲口の複雑怪奇な魔法陣も同様に輝きが増していて、綺麗なだけでなく凄まじい威力が秘められていると、乗員がそう思える程の威容を誇っている。
「ようやく来たか……艦首・艦尾
「了解! 目標、敵旗艦級戦艦2隻……今だ、撃てぇぇーー!!」
そして、その報告を聞いた司令官が命令を下し、艦長が命令を感情のこもった大声で復唱した瞬間、眩い
砲弾が秘めたる運動エネルギーに加え、強力な熱を伴う電磁エネルギーが内包された1発は、敵旗艦の艦首左方から後部主砲まで食い込んだ後に膨大な電磁エネルギーを解放、猛烈な雷と熱を伴う爆発を発生させ大規模な誘爆を多数誘発、即座に海底へと沈んでいく。
もう1隻についても、船体とほぼ平行に命中し重要装甲区画まで食い込んだ後に爆発、旗艦とほぼ同様の末路を辿らせていった。
「
「そうですね。ところで、この後はどうしますか?」
「無論、弾がなくなるか敵艦を沈め切るまで戦闘は続行だ。ただし、魚雷だけには注意しろ。出来るだけ、こちらの有効射程ギリギリを保て」
「了解!」
無論、敵がまだ残っている事からパルカオンの主砲で敵2隻を轟沈させた余韻には浸らず、司令官は即座に追撃の指示を下す。
旗艦級戦艦の砲撃にも勝るとも劣らぬ魚雷による攻撃がある事から、可能な限り有効射程ギリギリを保つようにと念を押していく。
こうして、全力の掃討戦を続ける事7時間、戦闘開始から11時間半、完全に日が沈んでしばらく経った時、ほんの僅かの降伏兵と海上で救助した補給艦に乗せた兵士を除き、グラ・バルカス海軍の極大規模を誇っていた艦隊は全て海の藻屑と化していった。
本作独自の種族に関しての質問
-
多くして欲しい
-
多くしても問題ない
-
これ以上は望まない
-
作者にお任せ