一部はぼかされているものの、ミリシアルの国営放送及び各種民間のマスメディアより知らされ始めた、グラ・バルカス帝国との戦争状況に関する情報により、一般人の間で楽勝ムードが強く漂い始めてきた頃、魔帝対策省含むミリシアル政府上層部や各省庁は色々と慌ただしくなっていた。
もはや恒例となった、日本国からの衛星写真提供が2週間前にいつも通り行われた際、そこに爆弾級の写真が10枚以上も紛れ込んでいたためである。
今のところは自国の領域内でしか見つかっておらず、当然稼働させているのも自国しかないとの認識でいたにも関わらず、他国でも古代発掘兵器が見つかったと知れば、そうなるのも無理はないだろう。
「メテオスさん。これ、どう見てもパル・キマイラですよね?」
「うむ。しかも、こっちの衛星写真に写っているのはパルカオン……まあ、可能性としてはない訳ではなかったが、出来れば杞憂で終わって欲しかったねぇ」
「本当ですよ。そりゃあ、各所で仕事が増える訳ですって」
「友好国なら良かったのだが、見つかった場所が場所……全く、戦争中に迷惑な話だ。勿論、日本国は悪くないが」
「かたや、愚かにも日本国に喧嘩を売り、絶賛戦争中の『
それだけならまだしも、実際に稼働させていて戦争にも使用可能な確率が高いと、想定されてしまったのだ。
完全な性能を発揮出来るのか、各種誘導魔光弾や誘導魔雷を筆頭とした兵器がどのくらいあるのか、リバースエンジニアリングがどの程度終わっているか、他にも大小様々な問題が生え出てきている。
しかも、古代発掘兵器を含む魔帝が絡む問題は魔帝対策省に集約されるため、各省庁の中で最も残業時間と手当が多くなってしまっていた。
それ故にメテオスを含む、そこで働く職員たちが若干文句を言いながら仕事をしても、誰も注意をする人は居なかったのだが。
「まあ、我が国は最悪同じ古代発掘兵器を矢面に立たせる選択肢を取れるし、日本国の方は言わずもがなだ。科学文明国家故に超兵器はなくとも、パル・キマイラ1隻程度なら余裕で対処可能だろう」
「あー……確かに。それにしても、本来なら1隻でも敵に回ればとてつもない脅威となり得る魔法帝国の超兵器群を、普通にどうにか出来る日本国、彼らですら前世界では最強ではなかったのが恐ろしいですよね」
「魔帝並みかそれ以上の超大国が跋扈する世界、地球。こんな事を言うのは良くないが、魔帝の転移先がその世界なら良かったねぇ」
しかし、現状超兵器を所有しているクルセイリース大聖王国と呼称される国家は、ミリシアルとの距離が非常に遠い上に対峙している国が日本だ。
もう1つのアニュンリール皇国の方は、比較的距離が近いものの現状軍事侵攻の傾向は見られず、時折演習を行うために動いていると思われる程度である。
ミリシアル政府としても、グラ・バルカス帝国との戦争中にこれらの問題に取り組む余裕はなく、日本からも特に援軍云々を言われたりはしていない。故に、優先順位は低めにすると言う事が決まっていた。
「すみません、メテオスさん。その書類は、パル・キマイラのスペック表?」
「ああ、これかね? まさに君の言うとおり、パル・キマイラのスペック表だ。魔帝の遺跡から出土した資料を元に、搭載可能性のある武装も載せておいてある」
「やはり……そんなものを何故こんなところに?」
「日本国へ提供しろと、皇帝陛下より勅命が下ったのだよ。それとなく日本政府から相談があったらしい」
「なるほど。負けはせずとも、自衛隊の犠牲者が出る可能性が高くなり、少し不安があると言う事ですね」
ただ、日本にとって敵側にパル・キマイラが存在するのは、当たり前だが非常によろしくない。日本政府より、可能ならスペックを大体で良いので教えて欲しいと要望があった事もあり、スペック表の提供が決まっている。
今までに対峙した事のあるロウリア王国やパーパルディア皇国とは違い、その技術方式は違えど自国とほぼ互角の技術力を持った相手となるのだ。不安に思うのも無理はないだろう。
勿論、教えるべきではない情報は友好国とは言え、教えることはない。実際の運用方法、制御システムの内訳、他に細かなものもいくつかはある。
「まあ、そうだろう。日本はパル・キマイラを筆頭とした古代の超兵器を所持、実際に運用している国家は我が国だけだと思っていたらしいからねぇ」
「おまけに、異世界からの転移国家かつ純粋な科学文明国家。そりゃあ、不安にもなりますね。この世界に来てからある程度の時は経っているとは言え、地球に居た期間に比べれば……」
「まだまだ短い。その点を鑑みれば、彼らの適応力は目を見張るものがある」
「確かにその通りですね。もしかしたら、絵や小説やアニメなどで最初からある程度慣れていたのかも?」
「あり得るね、それは」
そもそもの話、パル・キマイラの単なるスペック表ですら本来であれば、ホイホイ公開するようなものではない。
ミリシアル8世含む、政府上層部の面々がそれでも提供しようと決意したのは、ミリシアルにとってその位日本が信頼出来る国と認定しているからだ。
まあ、日本が自国の
「メテオスさん、本当に良かったです。日本と友好関係を結べて」
「そうだねぇ。もしも、当時のロウリアやパーパルディアみたいに敵対していたら、総力戦になった挙げ句に滅んでいたかも知れない」
「我が国の外交官が色々と間違えたりしなくて、本当に良かったですよ」
「うむ、間違いない……さてと、行くとするか。外出の用意をしたまえ」
ミリシアル政府が日本との初対面時、道を誤らなかったことに内心で感謝をしつつ、用意したスペック表を日本大使館へと届けるため、メテオスと魔帝対策省の職員は外出の準備を整え始めるのだった。
本作独自の種族に関しての質問
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多くして欲しい
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多くしても問題ない
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これ以上は望まない
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作者にお任せ