「なあ。神聖ミリシアル帝国と日本国、お前はどっちの方が脅威だと思う?」
「うーん……やはり、今戦争中のミリシアルですかね。私としては」
神聖ミリシアル帝国軍の第零潜水艦隊が、
彼らにとって、この世界における
勿論、ミリシアルを滅そうとして送り込まれた、約1000隻の大艦隊が返り討ちにあって海の藻屑と化した案件は、一部の軍上層部および皇帝を含む政府高官により、非常に厳しい罰則付きの箝口令が敷かれている事が理由で、輸送船を含む艦隊9隻の乗員は誰も知らない。
とは言え、戦争前に入ってきていた一部の各種情報、ムー大陸における戦況が芳しくないことはある程度の制限付きで流布されているため、ミリシアルはもとより日本に関しても、軍人の中では舐めてかかる者が大きく減少している。
「そうか……確かに、ミリシアルも我が国と同格。それに比べれば、前世界のケイン神王国など片手間で倒せる格下に過ぎんだろう。他の今世界国家に至っては、例外を除けば演習の的と言っても良い」
「なるほど。と言う事は、艦長は日本国の方を脅威と考えている訳ですね」
「ああ。情報源は不明だが、今戦争中のミリシアルが我が国よりも圧倒的に敵に回したくはないと、そう言っていたという情報が飛び交っている。その上、この民間書籍に載っている情報が……まあ、あれだ。残念ながら事実らしいが、荒唐無稽にしか思えんだろ?」
「……はっ? こ、これが日本国の……軍隊と言うのですか!?」
「そうだ。幸いにも、我が国は日本国とは積極的に対峙しない方針らしいぞ」
「でしょうよ。しかし……悔しいですね。日本国にとって、我が国が演習の的程度とは……」
しかし、それでも自国以外は等しく格下に見る軍人の数はそこそこ存在し、一般人に至っては情報制限やら直接戦争に関わる訳でもないなどの理由から、おおよそ半分強がこの世界の国家を下に見ていたのだ。
ただし、どのような理由であれ『戦争』を行えば、人材やら各種資源の消費量も凄まじいものとなるが、お金と時間も相当かかってしまう。
当たり前だが、前線で実際に敵に対してとは言え、国や仲間のために人を殺す仕事をしている軍人の精神面もある。
心から、戦争が出来るだけ長く続いて欲しいなどと言う願いを持つのは、軍事関連の産業で巨大な利権を得ている守銭奴か、狂人気質が強い人物か、国家を巻き込んだ破滅願望を持つ者くらいだろう。
「全くだ。だがまあ、数年でどうこう出来る差ではないし、今はミリシアルを念頭に――」
『本艦の後ろを航行中の駆逐艦【エーテル】より通信! 当該艦より7時の方向、距離2㎞まで魚雷が接近中な模様! なお、エーテルは回避運動を行ったものの、船体の動きに合わせて進行方向を変えてくるとの事』
「……一応聞くが、潜水艦の反応は?」
『ありません!』
「だろうな……クソッ!! 誘導魚雷に狙われるとは……日本国の仕業か!?」
そのような感じで、グラ・バルカス帝国本国へと向かう輸送船の護衛を行いつつも、比較的和やかなムードが漂っていたハマル艦内であったものの、突如として舞い込んできた鬼気迫る通信により、一気に深刻なムードへと様変わりしてしまう。
周辺に敵の駆逐艦ないし巡洋艦がおらず、雷撃機らしき機影も全く見えない状況での魚雷ともなれば、放ったのは潜水艦しかない。
帝国軍の駆逐艦や巡洋艦に広く行き渡っている最新式ソナーに全く反応せず、その上誘導機能のついている
「艦長! 確かに現状、ムー国にて日本国の軍……自衛隊と我が国の陸海空軍は衝突してしまっていますが、状況からして違うかと!」
「そうだったな。しかし、だとするとミリシアルしかないが……まさか、誘導魚雷を開発したとでも言うのか?」
「現状のミリシアルの技術では、不可能と言いたいところではありますが……件の、空中戦艦を擁する魔法国家の頂点でもあります。日本国との交流も凄まじいらしいので、色々とすっ飛ばして開発する事も、夢物語ではないかと」
「ええい、何と言う事だ!」
しかも、現状のグラ・バルカスでは狙われた場合、奇跡でも起こらない限り回避出来ない兵器である事も相まって、ハマル含む護衛の駆逐艦乗員は神に祈る事しか出来ないのである。
なお、だからと言って狙われてしまったエーテルの艦長含む乗員たちは、回避する事を諦めたりはしない。
本当に極低確率ではあるものの、回避運動をし続ければ回避に成功ないし致命傷を負わずに済むかも知れないからだ。
「ああっ!! 駄目です、エーテル回避出来そうにありません!」
「おのれ……おのれ、おのれぇぇぇーー!!」
『あぁぁぁぁーー!!』
だが、主砲や高射砲の砲撃による魚雷の破壊も含め、努力したエーテルが報われる事は全くなく、2発の誘導
ちなみに、ミリシアルの第零潜水艦隊が放ったこの誘導
水中では爆圧による艦船への影響も空気中より大きい上、命中したのが装甲も薄く、多数の魚雷を積んでいる駆逐艦である。
それ故に、この攻撃に耐えられる道理などなく、程なくして
『エーテル、轟沈しまし……なっ! 新たにエーテルを沈めたものと同じ魚雷を発見! その数推定8……いや、10!!』
そして、新たに入ってきてしまった魚雷探知の報告によって、ハマルの乗員を含む艦隊の乗員たち全員は、轟沈し死んでしまったエーテルの乗員について考える余裕が、一切なくなってしまった。
本作独自の種族に関しての質問
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多くして欲しい
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多くしても問題ない
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これ以上は望まない
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作者にお任せ