光の申し子   作:松雨

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統合基地『ラルス・フィルマイナ』

 グラ・バルカス帝国が、異世界の軍勢を迎え撃つためにレイフォリアに作った、陸海軍統合基地『ラルス・フィルマイナ』。

 

 上層部の方針転換によって進んでいた空軍の統合もつい最近に成され、ミリシアルとの戦争や日本との衝突以降始まった最新鋭の兵器搬送も着々と進んでいた。

 

 攻守共に最強クラスを誇る基地であるため、決して落ちる事はないとの認識が本国でも基地の人員でも大半を占めている。

 

「クソっ……やってくれたな、ミリシアル!」

「まさか、30隻を海の藻屑とされるとは驚いたぞ。想像を絶する強さらしいな、ミリシアルの潜水艦は」

「本当に、ミリシアルの潜水艦の仕業なのでしょうか? 日本でなくて?」

「この世界で、潜水艦を所持している敵は日本及びミリシアルのみ。現状、日本とはムーのオタハイトにて戦闘があった以降の衝突はない……ここから推測するに、ミリシアル以外にこれは不可能だ。それに、日本の性格を良く考えてもみろ」

「あー……しかし、そうなるとミリシアルは日本には劣れど、それに近い技術を会得した事になりますね」

「全く、冗談じゃないぞ! 誘導魚雷など、どう対策しろと言うのだ!? ある意味誘導弾よりも厄介だぞ!?」

 

 しかし、今現在この基地の人員……会議中の司令官『ファンターレ』含む、陸海空軍幹部の面々から末端の軍人まで、ほぼ全員が抱いていたそんな認識が大きく揺らいでいた。

 

 グラ・バルカスの技術力では探知出来ていなかったものの、ミリシアルの第零潜水艦隊所属の潜水艦7隻による通商破壊により、多数の艦艇が呆気なく撃沈されてしまった事が周知されてしまったからである。

 

 とは言うものの、撃沈寸前の艦艇との通信などを含めた状況証拠と、これまでの情報を活用して行った推測により、自ずと正解には辿り着いてはいたが。

 

「グレード・アトラスター並みの大きさの戦艦(ヴァーテイン)空母(アロンダイト)、アンタレス改を超えるらしい速度の艦載機(エルペシオ4)、馬鹿みたいな加速と速力を誇ると報告が挙がっている駆逐艦(サファイア)。これだけでも厄介な国だと言うのに、まだふざけた兵器があるのか!?」

「まあ、未だに訳の分からん魔法の極致であろう()()()()を擁する国家だ。その程度は出してきてもおかしくはない。日本との交流も盛んだしな」

「ですよね……あれ? 良く考えたら、空中戦艦ならぬ海中戦艦(潜水艦)とかもあったりしません? ミリシアルに」

「「「……」」」

 

 なお、これによって本国とレイフォリア間の物資の海上輸送が事実上不可能となり、旧型から最新鋭大型輸送機による空路での輸送のみとなってしまっている。

 

 船舶に比べて積載量や耐久性が大きく劣ってしまう上、いかに馬鹿げた物量と優れた技術力を誇るグラ・バルカスでも、タンカー並みの耐久性や積載量を誇る航空機などは造れない。

 

 何なら、対立中のミリシアルは勿論の事、この異世界で隔絶した技術を持っている日本ですら、そんなものを造れる訳などないのだ。

 

 唯一可能なのは、件の空中戦艦を造った国である古の魔法帝国(ラヴァーナル帝国)のみだが、現状この異世界には存在していない。

 

 ちなみに、日本と対立中のクルセイリース大聖王国の飛空艦は、積載量の面のみで言えばミリシアルや日本の航空機よりも上であるものの、魔法帝国には全ての面において敵わない。

 

『こちら……せよ! 応答……頼む、応答して……』

「「「っ!?」」」

 

 ミリシアルによるものと考えられている潜水艦に対する対策、今後の輸送計画や援軍要請などについての話し合いが行われている最中、有線によって強固に繋がっている周辺の基地の1つより、ノイズ交じりの通信が会議室へと届く。

 

 全て聞き取る事は出来なかったが、状況からして明らかに緊迫していて、ただ事ではないと素人でも理解が出来る。当然、司令官であるファンターレが出ない選択をするはずなどなく、即座に通信を繋げた。

 

「ファンターレだ! どうした、一体何があった!?」

『ミリシアル……超大型――』

『司令官……ミリシアルが、ミリシアル……が貼り付けられた……ような戦闘機が……がっ!?』

『超大型攻撃機の爆撃により、……喪失!! ……の威力が高過ぎ――』

 

 しかし、その通信に答えようとした瞬間、同時多発的に別の周辺基地からの緊急性の高い通信が届き続けると言う悪夢のような事態に、ファンターレや他の参加者は唖然とする。

 

 無論、彼らも全員何とか状況を把握しようと動き始めるが、その通信は1つまた1つと消えていき、数分もしない内に全ての通信が途絶えてしまう。

 

 ラルス・フィルマイナ全体に警戒体制を敷くように命令を下した事以外、殆んど何も出来なかったものの、ミリシアルによって大攻勢が仕掛けられた事だけは把握した。

 

「ミリシアルの戦闘機、ですか。アンタレス改では荷が重いですね」

「ああ。それに、超大型攻撃機……嫌な予感しかしないな」

 

 周辺基地が同時多発的に攻撃を受けて、この統合基地だけが攻撃を受けない道理はない。

 

 何せ、この場所はグラ・バルカスのムー大陸攻略における最大の矛であると同時に、本国へ敵を寄せ付けないための最大の盾でもある。

 

 つまり、ここを落とされてしまえばミリシアルに、本国攻略の最大の拠点とされてしまうのだ。

 

『司令官っ! 偵察機が青い尾を引く追尾する光に撃墜……ああっ!? レーダーが同様の物体に破壊されました!!!』

「ぐっ、やはり来たか……」

 

 案の定、ラルス・フィルマイナにもミリシアルによる、苛烈な攻撃の手が一気に忍び寄ってきたのであった。

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