光の申し子   作:松雨

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本話に登場する兵器の名称の一部を変更しました。


破壊の雨

 ミリシアルの第零魔導潜水艦隊が、海中からグラ・バルカス帝国海軍の水上艦艇を一掃したのとほぼ同時刻、ラルス・フィルマイナにまた対してもミリシアルの『第零飛空魔導隊』が、空から攻撃を仕掛けていた。

 

『こちら、第零飛空魔導隊! 敵偵察機、および迎撃に上がってきた敵戦闘機の大半を撃墜完了! すみません、数が多くてもう少しかかります!!』

「了解。一応分かっているとは思うが、最新鋭戦闘機とは言え無敵ではない。油断は禁物だぞ」

『分かってますって!』

 

 まずは、地球で言うところの第2世代ジェット戦闘機に相当する能力を持つ、『エルペシオ5(制空魔導戦闘機)』が10機。

 

 諸般の問題により、意図的に射程がⅠ型と比べておおよそ半分、威力も6割とかなり抑えられているが、それでも航空機相手なら十分有効なクウ・ウルティマⅡ型(空対空誘導魔光弾)を、1機につき合計6発搭載している。

 

 敵の偵察機や、後に続く攻撃機の脅威となり得る迎撃に上がってきた戦闘機を排除し、制空権を確保する事が目的だ。

 

 また、地上の設備を破壊するグランドⅠ型(空対地誘導魔光弾)を1機につき4発、もしくは合計30個の『200kg魔導爆弾改(ミリジル)』を搭載している『ジグラント5(攻撃機)』が12機飛行している。

 

 エルペシオ5編隊よりも先に航空機搭載型の魔導電磁レーダーにより探知した、敵レーダー設備や対空陣地などを遠距離から狙い撃って支援しつつ、制空戦後に撃ち漏らしを残りの武装で叩く。

 

 そして、更に後に続く『ヴォルケーノ(戦略魔導爆撃機)』10機が、それでも残ってしまった残りの設備や敵地上戦力を含め、安全に更地に出来る下地を整えるのが役割だ。

 

 日本や魔帝には劣れど、その領域に片足を踏み入れている技術がふんだんに使用された機体および兵装であるため、航空攻撃に参加している軍人の間には、楽観的なムードが漂う。

 

 しかし、だからと言って油断丸出しの行為をするつもりは誰にもない。

 

 空対空誘導魔光弾で、かつ射程が80㎞あるクウ・ウルティマⅡ型。

 空対地誘導魔光弾かつ、射程が100㎞あるグランドⅠ型。

 敵のレーダーよりも遥かに高性能な、航空機搭載型の魔導電磁レーダー。

 

 死が間近に迫っている戦場で敵だけを殺し、自分や味方を死なせないばかりか、本土で暮らす戦う力を持たないか極めて小さな一般人の命を守る事にも繋がる。

 

 いわゆる『舐めプ』を決行した場合のメリットが、皆無どころかデメリットしかない。こんな状況で決行を決断する者は、愚かを通り越して破滅主義者の烙印を貼られると、皆が理解しているのだから。

 

「さぁーて、グラ・バルカス帝国の諸君! 侵略行為などをした己の愚かさを恥じるが良い!」

『ルージュさん、我々以外誰も聞いてませんよ』

「承知の上さ。それよりも皆、事前の訓練通りに動くぞ。良いな?」

『了解……さあ、覚悟しやがれ!! グラ・バルカス帝国の野郎共!!』

 

 そして、エルペシオ5の編隊10機が制空戦をやり遂げたタイミング、ラルス・フィルマイナの上空から敵戦闘機を排除し終えたとの通信を受け取った、ジグラント5の編隊12機は時速1000㎞に加速、残していたグランドⅠ型を発射しつつ爆撃のために投下ポイントへと向かう。

 

 ラルス・フィルマイナの広さは凄まじいもので、いくら先進的装備を揃えたジグラント5でも、ジビルを搭載したヴォルケーノの圧倒的積載量がなければ、更地どころか陥落させる事も難しい。

 

 しかし、彼らが欠ければいかにヴォルケーノ10機の編隊とは言え、作戦の成功に支障をきたす恐れがある。

 

 ミリシアル政府が、軍の上層部がグラ・バルカスの技術と物量を認め、脅威であると認識しているからこそ、最近出てきたばかりであまり数が多くない最新鋭の航空機を、ここまで出しているのだ。

 

『ラルス・フィルマイナ上空到達! 敵対空陣地、ほぼ完全に沈黙している模様!!』

「よし、事前の攻撃の成果は上々……死に体の対空陣地、滑走路、他重要施設と思わしき箇所を爆撃! 可能な限り破壊し、次に繋げ!」

『はいっ!!』

 

 そして、12機のジグラント5がラルス・フィルマイナの上空3000mへ到達すると、上官の指令と共に魔導爆弾(ミリジル)の雨を、強い恨みと怒りを込めて降らせ始める。

 

 グラ・バルカスの潜入特殊部隊の手により発生した、カルトアルパス魔導学院の襲撃事件にて亡くなった人の関係者が、今現在の攻撃に参加していたからだ。

 

 話を聞き、まるで自分たちも当事者であるかのように、遺族の軍人たちに同調する者が、少なからず存在していると言うのもある。

 

『対空陣地、完全沈黙!! 次行きます!』

『誰かを殺したらな、その誰かを慕う奴に殺されるかもしれないってのを思い知りやがれ!!』

『あの時の恨み……くたばれ、クソ野郎!!』

 

 無駄な動きは一切しない程度の理性を維持し、通常よりも優れた技量を持っているため、攻撃の命中率は訓練と殆んど変わらない。

 

 しかし、編隊間の通信ではおおよそ規律に厳しい軍人とは思えない、耐性がない者であれば聞くに堪えない罵詈雑言が飛び交っている。

 

 だが、この通信を聞いているはずの男性上官は咎めない。何故ならば、彼自身も遺族の内の1人であるためだ。

 

 あまりにも過剰な行為に走ろうとするなど、任務に支障をきたすレベルになってしまえば叱責していたが、実際そうではない。

 

 とは言え、他の軍人の見本には到底ならない振る舞いではあるため、全てが終わったら上官はその辺を改めて周知する事を決めていたが。

 

『魔導爆弾、投下し切りました! 私も後方へ下がります!』

『ヴォルケーノの奴ら、聞いてるか! 後はお前らに任せるぜ!』

『了解した! ありがとう、最後の仕上げは任せてくれ!』

 

 こうして、12機のジグラント5の編隊は全ての爆弾を投下、ラルス・フィルマイナの基地機能に多大なダメージを与えると、最後の仕上げを行うヴォルケーノの編隊へとバトンを渡していった。

本作独自の種族に関しての質問

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  • 多くしても問題ない
  • これ以上は望まない
  • 作者にお任せ
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