光の申し子   作:松雨

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安堵する日本国

 グラ・バルカス帝国が、神聖ミリシアル帝国を含むいくつもの国々に直接仕掛けた侵略戦争は、個々の差こそあれ決して少なくない爪痕を残している。

 

 歴史ある町や村の建物が破壊され、物資が略奪されてほぼ残されず、理不尽から国を守ろうとした軍人や戦いに巻き込まれた民間人の命が、無惨にも失われたりなど。

 

 無論、帝国軍全体としてそうだったとは言えず、戦争中との点を差し引いた上で、まさに悪鬼の所業と表すべき行為も行われたりしていた。

 

 また、直接侵略を受けていなかったいくつかの国々に関しても、無関係とは言えない。

 当該諸国に何らかの理由で滞在中であり、なおかつ避難する選択肢を取れなかった自国民が巻き込まれ、殺されてしまっていたためである。

 

 ただし、各々のどうにもならない事情により、残念ながら自国のみでは謝罪と賠償を求めるのが難しい国ばかり。

 

 なので、そういった場合にはミリシアルないしムー政府が協力し、彼らを経由してグラ・バルカスの外交団をコンタクトを取り、話し合いの場を持つ流れが出来上がっていた。

 

「これで、ひとまず全て解決に向かいましたね。梶崎(かしざき)首相」

「うむ。グラ・バルカスも、古代兵器をも持ち出した本気のミリシアルにこっぴどくやられたお陰で、180度方針を転換。これで、侵略戦争の恐怖に怯えずに済むだろう」

 

 ムーにて行われたグラ・バルカスの侵略戦争により、自国民の命を奪われた日本も、ミリシアルの協力で外交団とコンタクトを取った国々の1つである。

 

 ちなみに、グラ・バルカス外交団がミリシアルでの条約締結を済ませてから、件の戦艦で日本の横須賀を訪れて実際に各種条約の締結を成功させるまでには、4ヵ月と10日もかかっていた。

 

 距離の遠さによる、グレードクエーサーを含む船団の燃料や、食料の補給にかかる時間の必要量の多さ。

 

 各国との条約締結の仕事による精神的負担から来る、外交官の体調不良による大病院への入院。

 

 圏外文明国の区分に入る国家との戦争や、国内の自然が豊かな場所を中心に少しずつ目撃されるようになった、とある2つの種族と魔法的構造物への対応。

 

 後者に関しては、日本にとって完全なる未知かつ予想外の要素だが、今現在に至るまでこれらが原因の人的被害は軽微で(死者・重傷者は出ておらず)、平常時に戻ったミリシアル他2ヵ国にも調査の協力を要請しているため、そう遠くない内に対応方法が確立する見込みだ。

 

 他にも、政治的な問題など細かな要素を含めると多数の問題が発生し、それの対処に追われていた事もあり、ここまで時間が必要となってしまったのである。

 

「ええ、ホッとひと安心です。にしても、流石は世界最強の魔法国家と言われるだけはありましたよね。ミリシアル」

「そうだな。しかし、そんな彼らよりも圧倒的に厄介で強力な忌むべき古の魔法帝国が、この世界には存在していた。そして、いずれ必ず復活するらしい」

「彼らの遺産である、空中戦艦と海上要塞。あんなのが敵に回るなんて考えたら恐ろし……いや、実際にクルセイリース大聖王国で、発掘されたと思われる空中戦艦が敵になってましたね」

「ああ。ミリシアルからの情報提供を基に、しっかり自衛隊に用意させておいて本当に良かった。でなければ、どうなっていたか……」

「自衛隊員を大勢、殉職させていた可能性もありますよ」

 

 ちなみにだが、日本はクルセイリース大聖王国との戦争に2個護衛隊群と1個潜水艦隊、更に先進技術試験艦も投入している。魔帝の古代兵器であるパル・キマイラを、強く警戒していたためだ。

 

 その結果、ほぼミリシアル8世の提供したスペック表通りの凶悪な性能を発揮したパル・キマイラを、犠牲者なしで海の藻屑とする事に成功している。

 

 更に、経済的負担増や国内の反対意見の存在を承知で防衛費、および研究開発費の増額を決定、次にあるかもしれない魔帝の古代兵器との相対に備え、軍備の増強ペースを上げた。無論、国民生活への影響を最小限に抑えてはいるが。

 

「ところで、首相。ミリシアルより先進11ヵ国会議……もとい、先進12ヵ国会議への出席要請が来ておりますが、如何致しましょう?」

「無論、出席すると返事を返しておいてくれ。一応だが、注意事項とかは伝えられていないか?」

「えっと、どうやら参加国は自国の最新鋭艦隊を引き連れてくると、絶対的な決まりがある訳ではありませんが、通例となっているとの事。無理強いはしないけど、日本も念のため則った方が国益には適うだろうと、駐日列強諸国大使も全員が口を揃えて言っています」

「ふむ……地球では、国際会議に艦隊を引き連れるなどあり得ないが、ここは異世界。実際にやり合うのでなければ、郷に入っては郷に従えの精神で行かなければならないか。いずれは、地球のような感じになるのが理想だけどな」

 

 そして、梶崎首相やその秘書他数名の大臣による会議の話題は、ミリシアルがホストとなって開催される先進11ヵ国会議もとい、先進12ヵ国会議へと移り変わっていく。

 

 グラ・バルカスとミリシアルの戦争さえなければ、既に1年程前に開催されていたはずの、この世界の列強諸国やそれに準ずる国々が集まり、世界運営について話し合う唯一の国際的会議。

 

 本来なら参加は11ヵ国であったものの、唐突に表舞台に現れこの世界基準で凄まじい超文明を誇り、局地的とは言えパーパルディア皇国軍をあっさり打ち破った実績から、日本も招待されている。

 

 加えて、グラ・バルカスともムーのオタハイトにて対峙し、これも鎧袖一触で打ち破っている事から、ミリシアル国内では尚更招待すべきとの声が上がっていたのだ。反対意見に関しては、極々一部を除いて完全に消え去っている。

 

 なお、この世界で残した実績の大きさと言う面では、グラ・バルカスも該当はしているものの、流石につい最近まで侵略戦争をしていた国を招待するのは如何なものかとの事で、招待は見送られていた。

 

「さてと、次は――」

「失礼します!! 件の魔法的構造物が、都内最大の自然公園敷地内に()()()()、いきなり出現したとの報告が入りました!」

「「「……」」」

 

 そんなこんなで話し合いが続き、話題が次のものへと移り変わろうとした刹那、唐突に舞い込んできた報告によって会議が中断される事となってしまった。

本作独自の種族に関しての質問

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