イージスシステムより総合的な性能自体は劣るが、同様の機能を誇るガラヴァードシステムを搭載し、防御結界を展開するマーナアイアスシステムを含む、多数の次世代兵装を搭載している、現代の第零式魔導艦隊旗艦のカダリナン。
同艦隊の
パッと見て分かる強さではなくなっているため、演習前まではシルバー改級よりも少し大きい程度の船体に、分かっていても一抹の不安を覚える者も少なくなかった。
「本艦の
「うん、他のシステムや装置はどんな感じ? 特に、敵味方を識別するやつ」
「大丈夫です。他の新システムはもとより、敵味方魔導識別装置も日本国艦隊と艦載機をしっかり『味方』と判定しております。戦闘行動に支障はなく、射程距離に入り次第誘導魔光弾の発射は可能だと言いましょう」
「なら良かった。カルトアルパスの魔導技師は優秀だし、事前のチェックでも問題はなかったけど……まあ、こう言うのに関しては臆病な位がちょうど良いって言うからね」
「違いないでしょう。例え故意でなくてもやってしまえば、せっかくの友好的関係にヒビを入れるばかりか、ボコボコに叩き割るも同義なので」
「護国の盾で花形なこの艦隊が、国を陥れる事になりかねないなんて……おお、怖い怖い」
しかし、演習が始まってすぐにカダリナンが発揮した能力の一端、自分自身や日本の先進護衛艦隊、新型の早期警戒機などからもたらされた情報を正確かつ即座に処理し、魔導と科学の垣根を越えての共有を行った点。
そして、その情報を最新鋭の魔光巡洋艦や魔光駆逐艦はもとより、第一次改装済みの艦艇へ共有するための戦術魔導データリンクにより、第零式魔導艦隊の全ての艦艇がカダリナンと同等の正確な情報を、リアルタイムで確認出来るようにした事。
艦艇に搭載されている各種兵装の能力までを、同等の領域に引き上げたりするといった事は不可能だが、正しい情報の有無や伝達速度はそれだけで戦いの行く末を大きく左右する。
直近では、神聖ミリシアル帝国とグラ・バルカス帝国との戦争が、その最たる例だと言えるだろう。
無論、相対している相手との技術力や物量があまりにもかけ離れていたり、戦争の目的が何によるかであったり、それを活用する側の人間に相応の能力や意思がなければ、この限りではないが。
『敵機、射程距離範囲内……
『敵艦からも多数の誘導弾の投射あり! 主砲、40㎜対空レールガン……専用コンデンサーへの蓄電率100%! 発射態勢整っています!』
『よし……主砲、撃ちぃ方始め! 絶対に撃ち漏らしたりはするなよ! 後、ミリシアル艦隊との目標重複にも注意!』
「こちらも射程距離に入りました。リナン司令官、どうかご指示を」
「我が国初の誘導魔光弾による敵機、および誘導魔光弾迎撃……よし、やるよ! 全艦、クウ・ウルティマⅠ型発射! 日本の誘導弾との目標重複には気を付けてね!」
『承知しました……命令復唱ぉー! 全艦、クウ・ウルティマⅠ型発射! 目標、敵機及び敵誘導魔光弾!』
およそ2分後、
技術的な都合上、最大射程である210㎞で放てなかった日本の先進技術試験艦主砲、40㎜対空レールガン1基も唸りを上げ、マッハ8もの超速かつ6~7秒に1発の特殊弾が放たれ、誘導弾や敵機を爆散させていく。
衝撃波などから、1射で2つの目標を撃墜する活躍も見せていたのもあり、ミリシアルの第零式魔導艦隊の面々はただただ唖然とするばかり。
なお、ミリシアルは次世代戦闘機や攻撃機を載せられるよう改装した、
空母艦載機も参加させた大規模なものも予定にはあるが、それは最終日であると決められているため、両国の艦上戦闘機は空母と共に待機中であり、今日の対空演習には参加していない。
「命中、命中せず……命中せず! 想定よりは撃墜出来ていますが……現状、日本の新旧入り交じる対空誘導弾やレールガンの命中精度には及びません」
「日本の稲葉司令曰く、演習仕様の誘導弾や標的機も対レーダー性能だけは最新式に近づけたって事だったし、
「確かに、誘導兵器を扱ってきた経験値が圧倒的に違いますしね。しかし、日本の対空レールガン……命中精度は勿論の事、えげつない連射性能してません?」
「うん、間違いない。おおよそ7秒弱で1発、口径は小さくともあの弾速なら、状況によっては対艦戦闘もこなせる。クルセイリースとの戦争で相対したらしいパル・キマイラを倒すには、うってつけの装備だったのかも……っと! 」
そんなこんなで迎撃が始まってから9分経つと、レーダー上は猛威を振るっていた標的機や演習用対艦誘導弾の大群は、既に2割を切っていた。
撃墜出来た割合だけを見れば日本の先進護衛隊群の方がかなり高いが、ミリシアルの第零式魔導艦隊も次世代兵器を扱ってきた経験値の少なさの割には、威力の高さも相まって迎撃率は高い方だったと言える。
『いやぁ……にしても、ミリシアルの最新鋭艦隊は凄まじいですね』
『全くだ。話には聞いていたが、この世界で最強と呼ばれるのも納得だ。もう少し時間があれば、地球でもやっていけるだけの力もつけられるだろう』
これには、先進護衛隊群司令官の稲葉を含めた日本の海上自衛隊員も驚き、演習の報告書にこの事実を記すと共に、自国も良い意味で負けていられないと、いざと言う時に助け合える
ちなみに、魔帝について現状得ている各種情報や各国の様子を鑑みた場合、日本政府上層部は将来
なお、これは数年以内に復活して対峙する事を想定しているため、復活時期が後にずれればずれる程、リスト入りする国は増えていくし、場合によっては減る可能性もゼロではないが。
『最後の敵機、ミリシアルの誘導弾により撃墜! 探知範囲内に、他の敵機や誘導弾は確認されませんでした!』
「ふぅ。短いようで、体感的には長い時間だったなぁ……」
そうして、両国艦隊は全力で向かってくる敵への対処を続けていった結果、おおよそ20分が経過する頃には、レーダー上から全ての敵機や誘導弾の反応を消す事が出来ていたのであった。
本作独自の種族に関しての質問
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多くして欲しい
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多くしても問題ない
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これ以上は望まない
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作者にお任せ