光の申し子   作:松雨

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アンケートへのご回答、ありがとうございました。独自用語・兵器集は完成次第、最新話と共に投稿します。


外交官と魔導技師

「お二方、如何でしょう? カルトアルパスの街は」

「とても素晴らしい港町だと思います。流石は、世界に名だたる超大国ですね」

「右に同じく」

 

 カルトアルパスの街を出歩き、お財布を落とした事で日本人……財布を拾ってくれた方の『柳原(やなぎはら)』さんと『峯山(みねやま)』さんにバッタリ会った私は、しっかり方々に許可を得た上でミリシアル外務省の人主導の街案内に、一時的ながら加わっていた。

 

 自己紹介の仕方や物腰の柔らかい対応、非常に整った身だしなみや私たちの話の聞き方など、前世の記憶と一切変わらない日本人の振る舞いそのもので少し嬉しかった。

 

 勿論、今世で最も好きな国(ミリシアル)には劣るものの、2番目か低くとも3番目には好意的に思えている。いずれ旅行で、そうでなく仕事でも良いから1度日本に行ってみたいと、改めて決意を固める位だ。

 

「なるほど。貴殿方の国も、色々苦労なさっているのですね」

「はい。如何せん、魔法など空想の物語上でしか存在しない、地球と呼ばれる異世界から転移してきた国家なもので」

「なるほど。確かに、そう思えば色々と辻褄が合いそうで」

「それに、この世界の常識も我が国の常識と大きくズレがありまして……1番近い列強、パーパルディア皇国とはそれが原因で小規模衝突を起こしたりと、大分苦悶しております」

「と言う事は、お怪我なされた方もいらっしゃったり?」

「幸い、1人の負傷者すら出ませんでした」

「それは凄い……良かったです。()()()

 

 にしても、やむを得ない事情があれどロウリアと対峙した時の様に、襲いかかってきたパーパルディアの魔導戦列艦を沈め、ワイバーンロードを撃墜した以上は、あの性格からして十中八九穏便な国交樹立とはならないだろう。

 

 むしろ、調子に乗った蛮族がどうたらこうたらとのたまい、絶対に飲めない要求をしてくる可能性が高い。

 仮に何かあっても、武力で負ける事など天地がひっくり返ってもあり得ないとは思うけど、外交官の人の安全が保障されるかが不安である。

 正直なところ、国交樹立しようとするのは止めた方が良いのではと言いたい。

 

 まあ、流石にパーパルディアも他国の外交官を害そうとはしないと思うし、そもそも無関係の人間でしかない私が、他国同士の付き合いにああしろこうしろと命じる権利などないのだ。

 

「オロールさん? 大丈夫ですか?」

「ああ、すみません。少し考え事をしていただけで、私の体調は問題ないです」

「そうですか。なら良かった」

 

 ただ、それでも国交樹立のために派遣された、外交官の『朝田(あさだ)』さんと『篠原(しのはら)』さんの身が心配なのは変わりない。

 

 なので、案内の途中で2人がトイレに行った隙を見計らい、ミリシアル外務省の人に()()()()、パーパルディアの危険な側面を併せて、気をつけてと伝えて欲しいとお願いする。

 

 当然理由を尋ねられたけど、外交官ですらない自分が外務省を差し置いていけしゃあしゃあと、彼らから聞かれてもないのに他国同士の外交に口を出すのは如何かと思ったからと答えたら、納得してもらえた。

 

「あらまあ。私と同じですね、峯山さん」

「私と同じ……もしかして、オロールさんも?」

「はい。昨日まで、仕事仕事で休まずにいたせいの体調不良で、ずっと寝込んでまして。今日は完全復活したので、気分転換に出歩いていたんですよ」

「えっ。それでは、我々に構わず――」

「心配いりません。日本の方々とのお話、とっても楽しいですから。嫌でなければもう少しだけ、続けさせて下さいな」

 

 2人が戻ってきた後は、柳原さんが何気なく公開した峯山さんの愛国心の強さと、その仕事狂いぶりにシンパシーを感じたり、美術館や歴史博物館などに立ち寄り、色々と話しながら少しでも良い印象を持ってもらえる様に立ち回りに気を付けた。

 

 にしても、お財布を落とすと言う誰でもやりがちなミスをしたために、会議の合間の技術誇示を目的とした街案内に遭遇出来たとは、久々の幸運だ。良い気分転換にもなったし、実に良い日と言える。

 

(……まあ、ちょっと忙しくなる程度なら良いや。その分しっかり休めば良い訳だし)

 

 しかし、その分どこかでしわ寄せが来そうでもある。休日終了後に忙しくなるとか、この人たちと別れた後にちょっとしたトラブルに巻き込まれるとか、である。

 

 まあ、今考えても仕方のない事ではあるし、つい先程の様に体調不良だと誤解されて更に気を遣わせるなど論外なので、自分の不運については彼らと一緒に居る間は考えない事としよう。

 

「さてと……ミリシアル外務省の方々に日本国外交官のお二方、許可を取ったとは言え、色々とすみませんでした」

「いや、問題ないさ。許可を出したのはこちら側で、なおかつ魔導技術的な解説については、君の方が断然優れていたからな」

「我々も同様です。そもそも、会議の合間の街案内でミリシアル外務省の方々と居ただけなので」

「そう言って頂けて何よりです。では、また機会があれば」

 

 カルトアルパスでめぼしいところも、そうでないところも大体軽く周りきったところで、流石にこれ以上は私の出る幕ではなくなったため、彼らに向けて挨拶をしてからこの場を後にした。

 

 途中で割り込んだ以上、日本の外交官2人にカルトアルパスはもとより、神聖ミリシアル帝国の印象を良くしようと立ち振舞いなどには気を遣ったので、多分大丈夫に違いない。

 

 かなり後の話になるだろうけど、民間交流が始まったら恐らくこのカルトアルパスの街は、今以上に賑やかで楽しい街になるだろう。

 勿論、良い事ばかりではなく、交流が本格化していくにつれて色々な問題が発生するのは間違いないとは思う。

 

 魔導文明と科学文明、列強国と文明圏と文明圏外、日本で暮らす一般人にとっては、この辺りの知識や感覚が大分違うのだ。でもまあ、その辺の心配はあまりせずに居ても良いだろうけど。

 

(……)

 

 こんな事を考えつつ、普通に歩き回ったりして疲れた私は、何となく入ったお店で適当に服を何着か買ってから、自宅への帰路へとついた。

本作独自の種族に関しての質問

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